本日は能『花月』より森田研作さん撮影の舞台写真をアップ致しました
6/5(月)横浜能楽堂で行われた、りんぷうの会・能楽写真クラブAZ共催の能楽撮影会より
シテ(=主役のこと)は喜多流能楽師の出雲康雅先生です
ごく簡単に解説させていただくと
『花月』の主人公は見目麗しい美少年で
京の清水寺界隈で評判の遊芸人です
『花月』は能の中でもそれほど大曲ではありませんが、
花月少年が軽やかに小歌を謡い曲舞(くせまい)を舞い、
芸尽くしを見せる祝祭的な趣の強い楽しい曲です
冒頭写真は花月が鶯を射る真似をして見せるシーンで
『花月』の一番の見せ場、ハイライトになります
弓矢を手にして舞う正面から撮影の舞台写真が
割りとスタンダードで、森田さん撮影のこの写真のように
真横からシテをとらえた作品は珍しいと思いますが
端正な横顔と相まって、舞台の清冽な空気感が
画面からより強く伝わるように思います
掛け値無しの美少年・花月の華麗な舞姿
日本では古来より「衆道」(しゅどう、男色のこと)は一般的で
特に異端視されるものではなかったとのこと
『花月』にはそうした中世の美少年趣味が投影されてもいるようです
また、現代の感覚からするとかなり奇異な感じがしますが
花月少年は七歳の時に天狗にさらわれ
親元を離れて流れ者=遊芸人になってしまったという設定です
治安が悪く戦乱などで子供が人さらいにあって、
「天狗にさらわれた」とか「神隠し」などと行方不明になるのは
恐らく日常茶飯事だったのでしょう
能ではそうした親子の哀しい生き別れを主題にした曲が
いくつかありますが(特に有名なのは名曲『隅田川』)
『花月』では親子が運良く再会しラストでは
仲良く二人で旅立って行きます
羯鼓(かっこ)を打つ花月
こちらは「いかにも」という『花月』の定番カットではありますが
表情が上品で可愛らしく、生き別れの父親と奇跡の再会を
果たした嬉しさが画面からも感じられます
森田さんは以前も当ブログで何回か作品をご紹介しておりますが
商品撮影(いわゆる物撮り)からミュージシャンの撮影(←アー写とかジャケ写というらしいです)まで
何でもござれの経験豊富なプロカメラマンです
◆森田さんのこれまでに掲載の過去記事から
「遊び心」写真 by 森田研作
意外な写真シリーズ 花写真篇
ニューサマーオレンジ(日向夏)の写真篇
能楽写真にも「森田カラー」が色濃く反映されているように思いますが
いかがでしょうか
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