林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

英語と日本語の間に数学がある(”=” その6補足)

2010年07月31日 | 英語学習
いま、柳瀬さんの 文法・機能構造に関する日英語比較のための基礎的ノート― 「は」の文法的・機能的転移を中心に ― という論考を読んでみた。ディテールに興味深い点があるのだが、ここでの関心は数学力”=”だけなので、ほんの論点だけをとりあげる。

柳瀬さんの論点を取り出すとつぎのようだ。

副助詞「は」は本来的には文章の「主題」を表す言葉のはずなのに、「主語」を示す言葉であると誤解されやすい。そのため日本人は、英語を書いたり話したりするときに、I am coffeeといった非文を産み出やすい。こんなふうに日本語特有の助詞や語順が、英語を書くときに「転移」してしまうのである


柳瀬さんは、最後の方で次のように書いている。


>「は」をあくまでも主語(しかもbe動詞)として理解したら上記の「 」文は《 》のように解釈されかねない。Be動詞での同定の意味を「=」で表現するなら以下のようになる。 (←強調はrinkaanによる)

> (1) ’ 「今日はテストだ」 ⇒ 《今日=テスト》
> (2) ’ 「今日は面白かった」 ⇒ 《今日=面白い》
> (3) ’ 「松阪はレッドソックスだ」 ⇒ 《松阪=レッドソックス》
> (4) ’ 「僕はコーヒーだ」 ⇒ 《僕=コーヒー》
>

私は、この文章にやや違和感を持つ。たしかに”=”を「は、○○である」と漠然と理解している生徒は多い。だが、「は、○○だ」を”=”であると考える生徒は少ないからだ。

つまり、
 ”=” ⇒ 「は、○○である」と理解することはできる。
だが 「は、○○である」 ⇒ ”=”という逆の流れは、なかなか成立しない。

だから「今日はテストだ」 ⇒ 《今日=テスト》というふうにはならない。


仮に、 「今日はテストだ」 ⇒ 《今日=テスト》という置き換えられたとしよう。そうすれば、さすがにある程度以上の学力の生徒ならば、ちょっとオカシイナとわかるはずだ。そして、Today is a test.といった非文作成には、躊躇するだろう。

というわけで、上の柳瀬の表現にはあまり賛成できない。(あくまでも表現の問題かもしれない。だが、このあたりは厳密に詰めておきたい)。


むしろ、”=”のロジックそのものが、生徒の頭には無いのが大きな問題ではないか。be動詞の意味を「=」で表現し表象する発想する余地がほとんどなく、したがって、《今日=テスト》で良いのかな?と考えたりしないのである。日本語と英語とが、無媒介に、論理なしに、結びついているといっても良い。

私見では、”=”のことを生徒に意識させられるならば、超初歩的なbe動詞と一般動詞の弁別だとか、初歩的英作文などは成功するはずである。(だが、これが、非常に難しい)。


=と≠の理解こそが、日本人に英語を理解させるときのポイントになるのではないか。また、=と≠をつきつめることは、論理的に思考する訓練にもきわめて重要なのではないのか。私はそんな風に思っている。(たとえば、出口の一連のロジカルシリーズをみよ。あるいは、福嶋隆史の「「本当の国語力」が驚くほど伸びる本」なども参照したい)。

ただし大急ぎで付け加えれば、日本語が非論理的で英語が論理的だという、例の議論に逆行するつもりはない。念のため。

女子の理系進学について

2010年07月30日 | 数学学習
本人、または、親御さんの希望で、理系大学に進学を希望する女子生徒さんが当塾に訪れるケースは案外多い。

昨年の短期直前過去問指導を受講した高三生は、かなり優秀な理系学部志望の女子学生だった。志望校の東京農業大学に進学したが、将来的には大学院にも進み、研究成果をあげるだろうなと偲ばせてくれた。

だが、ほとんど無理な理系大学を志望する女子も、また多いのである。数学が絶望的にできず、a+bがしらないうちにabになってしまうのに、獣医学部を志望する女生徒もいた。

あるいは、ごくごく簡単なベクトル方程式、つまり教科書レベルの数学2Bレベルすらできないのに、数3Cも勉強してMARCHを狙いますという女生徒もいた。

一般論として、桜蔭などの御三家レベルは別であろうが、私立女子校の数学はかなりレベルが低いのである。学校のレベルにあわせていては、一流理系大学には合格できるものではないのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

親の期待もあろう。お父さんが理系なので娘も理系に進学してもらいたいとか、理系ならば就職率がよいだろうとか、女の子なのでぜひとも薬学系に通ってもらいたいとかだ。

獣医になりたいとなどと願う本人の夢もあろう。(獣医志望の女生徒はかなり多そうだ。実をいえば、私の娘はまだ小学校の中学年だが、やはり獣医志望である)。

だが、理系は安易に考えてもらっては困る。獣医志望ならば、一番優しい日大獣医学科でも早稲田の教育学部(理系)レベルの学力は必要だ。ふつうの理系学部に進学するのだとしても、Fランク大学では無意味だ。日大・北里大、東農大などのしっかりとした大学を目指してもらいたい。その覚悟もしてもらいたい。

同時に、受験戦術も十分に考えておこう。理系といっても生物・薬学看護系ならば、多くの大学では数3までは不要だ。どうしても、東大や旧帝大系に進みたいというのでなければ、無理に数3を履修する必要はない。

また、女子大の理系学部は隠れた人気があるので、探っていく価値がある。たとえば相模女子大は、一般的にはFランク大学である。つまり希望すれば誰でも合格できる大学だ。しかし、管理栄養学科だけは資格の取れるので、人気学科なのである。だが、なんと数学が不要なのである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

直前になって慌てるのではなく、しっかりとした判断が求められている。理系学部を目指すのであれば、夢を追いつつ、しっかりと計画を立ててがんばってもらいたい。

英語と日本語の間で(書き直しその6の補足)

2010年07月29日 | 数学学習
等号(=)が理解できないという件の補足ですが、前回はうまく数式が表示されませんでしたので、もう一度やりなおします。

等号を理解しないか否かは、たとえば、分数や不等式をやらせるとすぐにわかる。両辺を割ったり、かけたりしたても、平気で等号をつける。あるいは、

 A =  B
 

=3A = 3B

あるいは、 


    A < B

= 10A < 10B


なんでも=をつけていはいけないと指導するも、普通レベルの学力の生徒にはよくわからない。逆に、

  (A-B)(A+B)
  A~2 ー B~2

みたいに=を書かずに計算式だけを進めることになりがちだ。


こんな具合だ。

おそらく、=とういものを、まったく形式的なもので、論理的な意味のない記号ととらえているのだろう。もちろん、”=”と、”⇔” [←数学で用いる記号の,同値のつもりです]との区別は全くついていない。

中堅校レベルでもこういう実態だから、さらに下の生徒ではもっとひどい。よって「AとBはイコール(=)だよ」と何度いっても、なかなか理解できないと思われる。なにしろ=というのが「は、○○だ」という風にしか理解していないからだ。


もっともある程度できる生徒、あるいは元生徒である先生にとっては非常に簡単すぎる問題でしかない。だから、多くの生徒がつまずいている問題が理解できない。つまり、be動詞と一般動詞の区別が付かない大衆日本人の世界について、理解できないのである。

おそらくその結果であろうが、この問題を解消しようと努力する英語教育の大学人は、ほとんど存在しないのだ。困ったことである。

英語の勉強はどうしたら楽しくなるのか?

2010年07月29日 | 英語学習
「英語の勉強はどうしたら楽しくなるのか」と高三生に質問された。本人は、毎日の英語の勉強がつらいのだそうだ。

大変よい質問である。だが、答えるのは、それほど簡単ではない。とはいえ、どうしたら英語が楽しくなるのか、後で再度しばらく考えてみた。


(1) 英語の音声面を楽しむようにすること

外国語学習を楽しくなるためには、やはり音声面が大事なのではないか。具体的にいえば、徹底的に聴いてみること、何度も何度も音読をくりかえしてみることだ。

理由はよくわからないが、しっかりと音読集中学習に励んだ生徒は、英語を学ぶことが好きになるケースがしばしばあるのだ。昨年のSくん、今年のFくんはそうだった。また、いつもはダラダラとして勉強をしていないNくんも『5STEPアクティブ・リーディング 』という音読重視教材を渡したら、またたくまにやり遂げてしまった。同様にOくんも『東大英語長文が5分で読めるようになる 』の大量の英文をすぐに仕上げてしまった。

英語が楽しめないと語ってくれた高校生は、音声面が苦手だったのだ。ここに重大な鍵があるのだと思う。


(2) 英語力は必ず伸びると信じてがんばること

英語はやはり努力である程度まで伸びます。だから、それを信じてがんばることなのではないでしょうか。

実をいうと、私にも英語学習で辛い時期がありました。今から考えると、伸び悩んでいたのは語彙力増強を怠っていたからなので、それさえやれば実力は伸びたのです。独学では疑心案議になって辛いときがあるかもしれませんが、指導者がいる人ならば、先生に学習方針を提案してもらい、実力が確実につくのだと保証してもらうとよいのです。


(3) 英語のテキストに関心を持つこと

英語で書かれたり話されたりしたテキストを解読したいという気持ちが、やはり最終的には一番大事なのではないかと思います。国語でも英語でも、教科書「で」学ぶのか、教科書「を」学ぶのかという議論がありますが、要は、どちらも大事でしょう。

最近の英語の教科書は昔のものと違ってたいそう興味深いものばかりです。その内容に、もっと興味を持ってもよいではないですか。もちろん、ネットでも、雑誌でもおもしろいのはたくさんあるはずです。

ただし洋楽を聞き流すというのでは、絶対に英語の実力にはつながりません。意味を理解しながらテキストを聴いたり読んだりしなければ、無意味なのです。


余談ですが、英語の問題で、ボブ・マレーとかレゲエ、エリック・クラプトンがでてきたのですが、これらの名前をある生徒は全然知りませんでした。時代が変わってしまったのでしょうか。ちょっとショックでした。

最近の若い子が知っている英語圏の有名ミュージシャンというのは、いったいどういう歌手とかなのでしょう? こういうのに疎くて、全くわかりません。(私はSadeのファンだったりするのですが、もちろん誰もしらないんでしょうね)。


週刊現代の記事(付録)

2010年07月28日 | 受験
以前の週刊現代の記事については、ネット上で見つけました


日刊サイゾーより

第2位は、最近、楽天、ユニクロなどが、社内公用語を英語にすると発表したことに、「何か違うんじゃない?」と疑問を呈した「現代」の記事。

 それに対して、能力はありながら、英語が不得意だということで、実力より低い評価を受ける社員が出てくれば、社員のモチベーションが下がり、経営に悪影響を及ぼす可能性があるのではないかと、経済ジャーナリストの松崎隆司氏などが疑問を呈している。

 本田技研の伊東孝紳社長は、「日本国内で英語を使おうなんて、バカな話だ」と一刀両断。お茶の水女子大学名誉教授の藤原正彦氏は、英語をマスターすることは大変なことだし、そのために、読書や思索を犠牲にして勉強しなければ英語は上達しない。その結果、仮に社員の英語力がアップしても、他の重要な能力は身につかず、会社全体の活力も失われてしまうと警告する。

 アシスト社のビル・トッテン氏は、楽天やユニクロが目指す国際化志向そのものがおかしいと、こう言う。

「(中略)ビジネスがグローバル化する時代は終わりつつあると思います。(中略)これからの世界のビジネスは、グローバルではなく、ローカルに向かっていく。だから日本人も、英語より日本語を磨いた方がいい。そもそも今の日本人は、日本語が弱すぎます」

基礎英語3

2010年07月27日 | 英語学習
間違って『基礎英語3』を購入してしまった。しかし、成果がないわけではなかった。

阿野幸一講師の基礎英語3はマトモな番組なのである。木村松雄の『基礎英語1』とは全然違う。

要するに、特別の秀才・天才でなくても良いのだ。しっかりと勉強をしている中学三年生ならば、英語を勉強できるようになっているのである。つまり、進学校に進むことを考えている中学3年生向きである。トップ10-20%の生徒向きだともいえるが、私はそれを非常に好ましく思う。

木村松雄のように、トップ1%未満の生徒を対象に、NHKの放送授業を組み立ててはいけない。特別に英語ができる生徒は、ラジオ講座の飛び級すればよいのだけなのだ。(基礎英語1は、本来ならば、基礎英語3よりもはるかに易しいはずなのに、そうなっていないのである)

これにたいして、NHK基礎英語3の講師の阿野幸一さんは、中学生が英語力を向上できるように真剣に模索しているようだ。「中学校英語を「使える英語」「自分のことばで発信できる英語」にレベルアップすることを目指します」という言葉に嘘はなさそうだ。


NHKは、講師の人選をしっかりとやってもらいたい。

英語と日本語の間で(その6)

2010年07月26日 | 教養英語
日本語力を使って英語の文法を説明するというのは、所詮無理のある試みだ。それは分かっている。だが、そうせざるをえないと思われる事情もあるのだ。今回は、そのことをメモ的に書いておこう。

まずは次の説明だ。


私は、○○です。 




I am ○○.

こうして、私=I=主語、○○=○○=補語、です=am(be動詞)と説明する。もちろん批判も予想される。

たとえば、日本語に主語があるといえるのか?というのは、よく言われる話だ。しかも、日本語に補語があるのかとか、「です動詞」とか批判されたら、私たちはさらに非常にキビシくなるわけです(笑)。

さて、広島大学の柳瀬さんの「文法・機能構造に関する日英語比較のための基礎的ノート」をよむと、日英比較の興味深い議論がある。ある意味で、です動詞派にとってはキビシイ議論です。

中学生はしばしば “Today is/was test.”や “Today is/was interesting.”と言う。高校生が、“Matsusaka is Red Sox.”や “Tokyo is many people”といった英文を書く例も珍しくない。あるいは実話か笑い話かは不明だが、何を飲みたいか聞かれたビジネスマンが “I’m coffee.”と言ったとか、自らの専攻を聞かれた英文学者が “I’m Shakespeare.”と答えたなどのエピソードすら聞かれる


だが、ここでは柳瀬論文にコメントするのではなく、教える側からちょっと別の次元からこういった問題の周辺について考えておこうと思う。要するに、きわめて実際的な話である。

「です」が「be動詞」だとおしえたりしたら、「僕は珈琲だ」を直訳して"I am coffee"みたいな文章が生まれてしまうだろうと僕もは思う。本当の問題は、「主語」の問題ではない。むしろ、「補語」の理解の仕方にあるのではないだろうか。補語を「です動詞」によって理解させようとしているのが最大の問題なのだ。 (←とくに「基本にカエル」石崎の説明はそうなっている)

ではなぜ一体「です動詞」などというふざけた概念などによって補語を説明するのか?私の立場からすると簡単だ!

大半の小・中学生は、”=”の記号を理解できないからなのだ 


大半の中学生と、多くの中堅進学校の生徒ですら、”=”の記号の意味が良く理解できないのである。これが現実だ! 逆に、”=”というのを、「は、○○だ」という風にしか理解していないのである。だから英語の授業でも”=”の記号を使うわけにはいかないはずだ。(使っても良いが、生徒は理解できないだろう)。

つまり、
補語は=(等号)の関係だよ、
目的語は≠(不等号)だよ、

と教えるわけにはいかない。

I am a frog.という子に対しては、「お前はカエルか」? え、え、え!といって、一生懸命、補語と目的語の違いを説明しようとはしていますよ。しかし、何度やっても、多くの生徒は、概念的に補語と目的語の違いをよく把握することができない。数学語がわからないので、概念的に理解できないからなのです。仕方ないですね。


まとめです。

(1)主語も大事だけれど、目的語と補語の理解も大事です。
(2)日英語の比較だけでなく、数学語(といってもたいした数学力ではない)理解も大事だ。

と、今回はここまでとしておきます。(今後、文章を修正するかもしれません)

日本企業の英語公用語について

2010年07月26日 | 教養英語
ちょっと前に、日本の企業(自動車関連会社、ユーシン)が英語の話せる社長を公募していること、そして、それを高く評価するEconomistの記事があることを紹介しました。英語を学んでいる中高生、あるいは、大学の専攻で英語的なことを学ぼうかどうかと迷っている高校生にとっては、こういう話も重要かもしれませんね。ということで、社内英語公用語反対論について、もう少し触れてみます。


最近の『週刊現代』(2010年8月07日号)では、「社内公用語が英語って、なんか違うんじゃない?-楽天、ユニクロ、日産-」という4頁ほどの記事がでました。立ち読みしたので、一部ですがその主張をメモしておきます。

成毛眞ーー英語が本当に必要なのは外資系企業や商社などのトップ5%くらいにすぎない。
藤原正彦ーー英語習得は大変で、そのためには読者や詩作の時間が失われてしまう。
トッテンーー石油高騰化でグローバル化の時代が終わる。これからはローカル志向の時代だ
○○(?)ーー定年退職がつづき人材が足りなくなれば、英語至上主義なんて終わるだろう
○○(?)ーーグローバル化するならば、むしろ中国語を使え。
○○(?)ーー英語公用語は、要するに、国際的企業をアピールしたいだけである。


いずれも説得力のある説です。

ただし、社内英語公用語に反対する主張というのは、中高生が英語を勉強しなくても良いと言っているわけではないようです。というのは、日産にせよ、楽天にせよ、入社するためにはある程度以上有名な大学を出ていないと話にならないわけで、たとえば楽天のHPをみると、いわゆる一流大学ばかりだからです。これは英語公用語反対論の有名企業でも同じでしょう。

要するに、一流大学等を出て一流企業に入社する、日本人のごく一部の人たちの間で、英語をさらに重視するのか、あるいは、これ以上重視したりはしないのか。それが問題になっているわけです。

しかしだからといって、中堅校の生徒さんも、英語の勉強を放棄するわけにはいかないでしょう? 苦しいこともあるかもしれませんが、がんばってみませんか。




垂水『超短文でスタート!』

2010年07月25日 | 教養英語
超短文でスタート! 得意になる英語長文
垂水 隆宜
プレイス


我が塾ではこの夏から、垂水 隆宜 『超短文でスタート! 得意になる英語長文』(¥ 1470)を積極的に活用していこうと思う。

裏表紙に簡単な説明が書いているが、ちょっと書き写しておこう。


”分詞構文”だと「自力で」わからなければ意味がない!!!

もし長文中で「○○」に出会ったら、どのように考え、どの用法なのかを自力で決定できるように、設問や解説を工夫しています


端的に言ってしまえば、西きょうじ『英文読解入門基本はここだ!』 の新しいバージョンである。西の本よりも、丁寧に詳しく説明してある。

たとえば、カンマ(,)があって、V ingの形だったら、それが分詞構文であると見抜く必要がある。だが、多少文法を学んだ程度では、いざ長文を四方となるとそういう作業ができない高校生がかなりたくさんいる。そういう高校生のためにあるのが本書である。(分詞構文であると教えているのにも関わらず、意味上の主語がなにだかわからない受験生もいるのが現実だ)

西の『基本はここだ』も、そろそろ賞味期限が切れかかっているのかもしれない。

考えていれば、当塾では、かつては伊藤『ヴィジュアル英文』を利用していた時期もある。だが、いまでは西きょうじ『実況中継』等に取って代わられているのだ。圧倒的に西などのほうがわかりやすいからである。

時代は流れていくと言うことか。もっとも、古い参考書のリバイバルの時代でもあるのだが。

和田『新・受験技法』(参考書の参考書、その2)

2010年07月24日 | 受験
新・受験技法〈2008年度版〉東大合格の極意
和田 秀樹
新評論


和田秀樹『新・受験技法――東大合格の極意』1800円+税金

本書は受験技法というタイトルではあるが、大学受験生のための参考書の案内書だといってもよい。東大受験生のために書かれている本であるが、他の大学受験生にとっても有益であろう。とくに、ある参考書の難易度を知り、どういう順番で使ったらよいのかが参考になるはずだ。

また、私が以前に紹介した出口・横山『早わかり入試頻出評論用語』、河合講師『ことばはちからダ!』も好印象だ。

しかし、「ある程度の基礎学力があることを前提」にしている本なので、最低限、旧帝大や早慶上智を狙う人でないとお勧めできないでしょうね。

また、「東大受験生にターゲットをしぼり、(中略)商業ベースには乗りにくい本を出版してくださった」などと著者は書いているが、この表現はちょっと嘘っぽいですね。本屋さんには東大等の一流大学の赤本・黒本等が勢揃いしているではないですか。商業ベースに乗りにくいのは、むしろ、地方国立大学や、日東駒専・MARCHの受験生のための指南書ではないでしょうか。

ともあれ、中古等で安く入手できるならば、お勧めですよ。(私はamazonの中古でリーズナブルな価格で購入しました)。

古文・漢文がヤバイ!(その2)

2010年07月24日 | 教養英語
望月光のトークで攻略古典文法 Vol.1 (実況中継CD-ROMブックス)
望月 光
語学春秋社


『望月光のトークで攻略古典文法Vol.1 (実況中継CD-ROMブックス) 』というのは、今年の3月に出版されたばかりの、レクチャー本である。10時間ちかくあって1500円程度なのだから、最近はだいぶ安くなったのだ。

そして今私は、この望月先生のレクチャーを聴いている。親しみやすい語り口で、勉強しやすい。入門的な時期においては、この手の本は大変に有り難い。

だが、ウチの生徒のことを考えるとちょっと心配だ。「形容動詞って何?」 とか、「未然形とか上一段活用って何だったっけ?」というレベルの超初心者には、やっぱり難しい教材だからだ。

その場合は、さらに対策を考えなければならない!

日本企業の国際化? (早慶国立志望ならば読ませたい)

2010年07月23日 | 教養英語
早慶国立に本当に志望する高校生ならば読ませたい英文を、このブログでは紹介することにする。以前に書いた記事も、該当するものはできるだけこのカテゴリーに変えていきたいと思う。

さて、まずは非常に短い記事をとりあげる。かの有名なThe Economistの7月21日つけ ネットの記事からである.

私は面白そうだなと思っただけなのだが、なんとビックり. ちょっと前に紹介した朝日小学生新聞のニュースが取り上げられているのである。例の英語の話せる社長を新聞募集した話である。

一番最初のバラグラフから。


JAPANESE firms are an insular lot. Executives typically stick with one company for life and bosses are promoted from within. This makes the decision by U-Shin, a mid-sized maker of car parts, to look outside for a new president, all the more radical. The company believes it needs a young, English-speaking boss to replace its current president (who has been in place for more than 30 years). Not only is U-Shin looking for candidates from outside the company, but it is taking the highly unusual step of running newspaper adverts to attract them.

ぜひとも全文よんでもらいたい。ただし、Economistの記事をナイーブに読んでもらいというわけではない。本当に英語重視で日本は良くなるのか、よく考えてみよう。たとえば、ホンダの社長は英語公用語化に反対している。

英語公用語化「ばかな話」=ホンダ社長
2010年7月20日(火)22:03
 「日本人が集まるここ日本で英語を使おうなんて、ばかな話」―。ホンダの伊東孝紳社長は20日の記者会見で、「グローバル企業として英語を社内の公用語にすべきでは」との質問に対し、その可能性を一蹴(いっしゅう)した。



参考書の参考書(その1)

2010年07月23日 | 受験
高校生のための参考書選びの本〈平成22年~23年版〉
クリエーター情報なし
日栄社


前回、「参考書の参考書」について、ちょっと言及した。つまり、様々な学習参考書をとりあげ、その使い方や効用などについて説明してある本のことである。

今回は、私がときどき参照している「参考書の参考書」について、簡単な紹介をしたい。

『高校生のための参考書選びの本』(日栄社)400円+税金

執筆陣をみると都立や県立高校などの多数の先生によるもので、中には日栄社の英語の問題集でお馴染みの宇佐美先生、山口松蔵先生の名前もある。この本は値段が手頃でもあるので、塾や家庭教師として高校生に教える人は、ぜひとも購入すべきである。

だが、本書は高校生にはちょっと勧めにくい側面がある。良いこともたくさん書いてあるのだが、情報としてバラツキがあるようにも思えるからだ。ある程度教科や参考書のことを理解していないで本書に書かれてあるアドバイスや情報を鵜呑みにすると、少々危険なところもあるのだ。

なお、この本の新しいバージョンでは、武田勝彦という早稲田の名誉教授が「武田教授のトポグラフィ式大学選択法」という付録を付け加えているが、ヒドイ独りよがりの文章で、著しく意味不明である。同様に、「私大偏差値のめやす」「短期留学のすすめ(名門ハワイ大学の夏期講習)」といった付録も、非常に困った内容の文章である。こういうのは、なんとかならないであろうか。(私はハワイ大学大学院で修士号を取ったので知っているのだが、ハワイ大学の夏期講習に集まってくるのは勉強の出来ない日本人学生ばかりなのだ。前途有望の若者には、ちょっと勧められたものではない)。

なんだかマイナス点ばかり論ってしまった。しかし全体としては、リーズナブルな価格の良書だといえる。

古文・漢文がヤバイ!

2010年07月22日 | 受験
うちの塾生は、文系の受験生だというのに、古典が苦手な者ばかりである。

ある生徒には、「過去の推量の助動詞は?」とか「現在の推量の助動詞は?」と何度も何度も同じ質問をしてみる。だが、いつになっても一つも答えられないのだ。ちょっとこれは酷すぎないか。

やぱい、これでは、全落ちしてしまう。我が塾の名誉と誇りのためにも、なんとかせねばらならない!

事情を聴いてみると、どうやら古文はほとんど手つかず状態ではないか。3年生の春学期にも、ほとんど何の勉強もしていなかったようなのだ。もちろん、古文の予備校講座にも通っていない。また、「古文・漢文は、日栄社の薄モノが一番」(とくに「新ノート」がよい)と高校生にはいつも言ってきたつもりなのだが、どうやらそれだけでは怠け心の高校生は耳を傾けてくれないのである。

私も高校時代、古文・漢文は好きではなかった。だが、日栄社の『新・漢文の基本ノート』は、薄っぺらなので取り組みやすかったのだ。



て、本題はこれからだ。その生徒も、7月なので、さすがに古文の勉強をはじめてはいるようだ。しかし、それにもかかわらず、助動詞が一つも言えないし、日本語の述語がどのような言葉で成り立っているのか、わかっていないのである。

いったいどのような本で勉強しているのかと問いただすと、荻野文子の『マドンナ古文』を勉強していて、分かりやすいのだという。分かりやすい本を勉強していて、助動詞の一つも分からないとはどういうことなのか? そこで参考書の参考書をしらべてみる。

『高校生のための参考書選びの本』 は、『マドンナ古文』について、「B判定(やや難)」であるとしたうえで、次のように寸評を加えている。

「古文」とあるが、内容は古文解釈に必要な文法や語法の説明である。解説はたいへん詳しく、レベルもかなり高い

また、注意! という文章があって、「古文が苦手な人は基礎用問題集を勧める」と書いてある。

もうひとつ、『親と子の最新大学受験情報講座』は、もっとはっきり書いてある。

「超基礎」と銘打たれた『マドンナ古文』や『漢文の山の山』は初学者向けのであるかのように誤解されますが、実際はひととおり古文や漢文を勉強したことのある受験生向けです。(186ページ)


そこで私は、相模大野まで出かけていき、実物を調べてみた。すると『マドンナ古文』というのは、長文を読みながら、文法の解説を丁寧にしていく本であると分かった。古文学習の王道である。しかし、一つの文すらまともに読めないであろう、古文苦手の高校生には、到底使いこなせない代物ではないか。

自分のレベルに合わない参考書を取り組んでも、時間の無駄だ。しかし、学習者本人は、難しすぎるのか否か、適切に判断できない場合が多いのだ。

さっそく、やさしそうな問題集を何冊か購入し、高校生に渡しておいた。とりあえずは、日栄社の『新・古文の演習ノート』、『古典文法サブノート』などだ。他にも、なにか易しい参考書・問題集が必要となるだろう。望月光あたりが良さそうである。

これからは、古文・漢文もう少し研究しておこう。私は古文を教えることは出来ないが、適切な参考書等をアドバイスするくらいはできるだろうからだ。

朝日小学生新聞からNatureへ、または上と下に歯がある鯨の化石

2010年07月16日 | 文房具と読書
朝日小学生新聞というのはなかなかインフォーマティヴで、大人が見ていてもちょっと面白いものが多い。

まずは「鯨をたべる鯨」というニュース。どこかでこの写真は見たことがあると思い、iPod touchのNature.comのアプリケーションをしらべてみたら、やっぱりあった。





Nature.comでは”Call me Leviathan melvillei

The name given to the creature combines the Hebrew word 'Livyatan', which refers to large mythological sea monsters, with the name of American novelist Herman Melville

なお、Sperm whaleとは精子鯨ではなく、マッコウクジラのような歯鯨のことを指す。

もうひとつは、英語のできる社長の公募の話だが、簡単にネットでみつけることができた。

小学生新聞、侮るべからず、だ。