林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

中三の6月で英検2級に合格する

2011年06月29日 | 英語学習
塾生の一人が2011年6月の英語検定試験で2級の一次に合格した。さっそく2次面接演習を当ゼミで試みたが、ほぼ合格確実という印象だった。英語問答をやってみると若干文法ミスや発音の誤りがあるが、まずは落ちることはあるまい。


東大式個別ゼミでは、一流大学を目指す(または進学する)ならば中学三年~高校一年のうちに英検2級に合格することを目標に頑張るようにと生徒さんやご両親には伝えている。というのは、だいたい次の目安があるからである。

高1(英検2級)→高2(センター8割)→高3(センター9割、英検準一級、難関大学合格)

東大等の難関大学は英検準一級レベルであるということで、多くの諸先生方の間で意見が一致している。準一級合格レベルに到達すれば、あとは過去問で試験慣れをするだけで、良いのである。

この生徒さんの場合は、中三の6-7月の段階で英検2級合格なので、さらに余裕がある。英語を高校2年レベルで完成してしまえば、高校3年時には他の科目に時間を回すことが出来るので、受験科目が多い国立大学、たとえば東大合格を狙うべきだろう。 中三(英検2級)→高1~2(センター8割、英検準一級)→高3(英検1級をめざして、東大)

もちろん英検準1級レベルで英語力が本当に完成するわけではない。さらに高い目標を持って頑張って欲しいところだ。



この生徒さんは、どのような勉強をして中2の6月で英検一次合格にたどり着いたのか。

まずは当ゼミのお約束である『シリウス発展編』を徹底的に勉強した。Vol3まですべて例文を暗唱し、即座に和文英訳をできるようにしておいた。その後、塾向け教材などで文法面を補強したが、『シリウス』を利用して中2段階で英文法基礎はほぼできあがったと言って良い。(ただし、シビア~な現実を言ってしまえば、それでも英語問答となると文法ミス続出なのです。受け身にするところを能動態にしてしまったり、進行形のbe動詞を忘れたり、be+動詞の原形、3単現を忘れる等々。英語の道はまだまだ厳しいのです!)

ついで長文演習は『ハイパー英文1』と『英語長文難関攻略30選』(以下、『英語30選』)等を進めた。とくに『英語30選』は骨のある難関私立高校入試問題が詰まってていて、素晴らしい教材であった。CDがついていないのが欠点だが、私立上位校の中学3年生ならば誰もが挑戦してもらいたいと思う。

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その他にも、いつくかのGraded Readersを読んでもらったり、英検2級対策の英単語集であるとか過去問等はこなしてもらったりはしている。当然のことながら、学校での英語の勉強はしっかりとこなしてもらっている。教科書はTreasureだそうだ。

以上、こんな感じで英検2級に合格した。


もちろん誰もが中三の6月で英検2級に合格できるものではない。上位校の生徒でもクラブが忙しかったら中三の冬の試験で合格でも良いのではないか。また、中堅進学校に在学中であれば無理して中三で英検2級を取る必要はない。基礎を確実におさえておき、高一までに合格を狙うべきだ。場合によっては高2にずれ込んでしまうかも知れないが、それでも難関大学を狙うのを諦めることはない。

また将来MARCH狙いの生徒さんであれば、無理に『英語30選』のような問題集に取り組む必要はない。この問題集の”PART3”はちょっと難しすぎるかもしれないからだ。無理に難しいテキストに取り組むよりは、着実にいっぽ一歩進めるべきだろう。人によってペースが違って当然なのだ。

当ゼミとしては、高2までには全員が英検2級に合格してもらいたい。高2(英検2級)→高3(センター8割以上、MARCH合格)だからだ。




B社の勧誘ビラはゴミ箱に

2011年06月28日 | 英語学習
相変わらずB社の勧誘商法が我が家にも襲ってくる。

子供心につけ込み、可愛らしい絵とDVDの豪華付録がついてくる。なによりも、しつこい勧誘が特徴だ。

一種の教育商業なのだろうが、我々はそれが悪質な商法であることを知っている。すでに何度も届いているのでお馴染みなのだ。

中身を開けず、すぐにゴミ箱に直行だ。

昔の学研の「科学」と「学習」、小学館の「小学○○年生」が懐かしい。今でも素晴らしいのは『子供の科学』くらいのものか。


それにしてもB社のような商法、何とかならないものかと思う。

iPad2で辞書を使ってみる

2011年06月27日 | 教養英語
ちょっと前、私はiPad2を購入することにした。最近は他のメーカーの製品もあるが私にはiPad2以外は考えられない。すでに多くのソフトを購入しており、それらの多くを追加料金無しに使うことが出来るからだ。

iPad2にもいろいろ種類はある。私はWi-Fi(無線LAN)のみ、つまり3Gがないタイプのもので、容量が32GBのものを購入することにした。価格comで調べてみると5万円少々だ。WiFIにしたのは、外出時に使うのであれば、公衆無線LANを使える場所(マクドナルド、NYカフェなど)に行けば良いじゃないかと考えているからだ。ハードディスク容量だが、16GBだと4万円少々ですむがソフトを沢山入れられなくなるのが嫌だった。だが64GBまでは不必要だと判断したのだ。

まだまだ使いこなしているとは言えない。だが、電子辞書についてだけはちょっと書いておきたい。iPad2の大きなスクリーンが電子辞書を大きく変貌させているなとちょっと感心してしまったからだ。

iPad2のスクリーンの大きさは中型辞典より少し小さいくらいなのだ。従来電子辞書の欠点として指摘されていた、頁全体を見渡すことが出来ないという問題が大幅に克服されているともいえる。また、ipodtouchやらiPhoneとは異なってキーボードが大きくて打ちやすくなっている点も見逃せない。日本語ならば50音が全部キーボードになっているので、習熟すればかなり早く打てるようになるだろう。紙の辞書が不要になったとは言えないけれど、無理に紙の辞書を薦める必要もなくなったようにも思えるのだが、他の先生方はどのように考えているのだろうか?



もちろん、熟語を捜すのも簡単になっている。写真はウィズダム英和辞典だが、hackという項目をひき、そのなかでついで away言葉で検索してみると、hack awayという熟語を簡単に求めることも出来る。(本当は文字を入力するときにhack awayで出てくると良いのだが、この辞書ソフトではhack awayは「用例」として出てくるに過ぎない)


ところで字の大きさをipodtouchと比較してみた。 どうやら同じくらいの大きさなのですね。(もちろん調節は出来るが)。写真をみると、同じ一頁でもipadのほうが3-4倍くらいの情報を一時に閲覧できるみたいですね。やはりこの違いは大きいとも言えます。


なお、すべての辞書がipad2でもそのまま美しく大きくなるかと言えば、そうではない。手持ちの辞書または事典ソフトで調べてみると、『ウィズダム英和・和英』『リーダーズ英和』『ブリタニカ国際大百科』『Oxford Advanced Learner's』『Cambridge Advanced Learner's』『American Heritage』などは、ipad用に大きく見やすく映し出される。


しかし、『大辞林』『三省堂類語』『類語新辞典』『英辞郎』『Oxford Dictionary of English』といったソフトでは、ipad2でも使えないことはないがipodtouchサイズで映し出されたり、画像が粗くなってipadサイズとなってしまう。

なお、同じ大型国語辞典の『デジタル大辞泉』のほうはipad2対応しているようですね。今買うならば、『大辞林』よりも『デジタル大辞泉』のほうが断然が買いでしょう。







派遣社員(女)は問題外であるー「下流の宴」より

2011年06月26日 | 教養英語
林真理子原作のNHKドラマ「下流の宴」というのを初めて見てみた。

黒木瞳が母親で、その娘役をやっているのが加藤夏希で派遣社員という設定である。

加藤夏希のような美女で、中流以上の家庭で有名女子大卒であっても、一流企業の男は相手にしないのであろうか? 私はこの点については、甚だしく疑問に思った。だが、一橋大学出身の男性の意見を取れば、それが現実だというのである。顔が良くても、派遣では普通は結婚の対象にはなり得ない。せいぜい愛人止まりだというのである。それは同級生の結婚相手から見ても分かるのだそうだ。

そういえば、知り合いの大学教授の嫁さんは同じ故郷出身だときいていたが、実は学習院大学出身で知名度が高いところに勤めている人でもあったのだ。

なるほど、世界はそういうふうにできているのかもしれないな。カースト内結婚が世の中の現実なのだなとあらためて思い知った次第である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
追加

先日の火曜日10時はちゃんと見てみました。通俗的だけれどシリアスな感じのドラマかと思ったら、リアルな感じのしない3流ドラマみたいな感じになっていました。これならば、昔の「冬彦さん」とかみたいにしたほうがインパクトはあるなあ。あるいは、「ドラゴン桜」みたいにしたら、良かったのでしょうね。

Oxford Advanced Learner's Dictionaryが安い

2011年06月25日 | 英語学習


久しぶりにipod・iphone等のソフトを調べてみたら、かなりお安い英語辞典が提供されていることを発見した。写真がOxford Advanced Learner's Dicitionary (オックスフォード現代英英辞典 )である。通常価格は2000円以上したはずだが、2011年の6月30日までは450円での提供である。実際にダウンロードしてみたが、評判通りの使いよい品であるように見える。しかも、iPad(実は最近iPad2を購入してしまいました)にもiphoneにも利用できるようだ。

(下の写真は書籍版で4000円以上する)
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まだ試していないが、Flashcards機能があるのも魅力的であろう。電子辞書を英単語の暗記に使うというのは、良い考えだ。発音を聞きながら単語を覚えられるのも有り難い。ipodtouchあるいはiphone利用者でまだ一つも学習英英辞典をもっていないのであれば、絶対に買った方がよいだろう。

もう一つ気になったのが、Cambridge大学出版からでているEnglish Grammar in Useのシリーズが230円と格安で購入できることだ。 私は、自分用にとAdvanced Grammarを購入してみた。英語で書かれた文法書というのは、日本語の文法には書かれていない内容が詳しいので面白いのである。(たとえば、mustの未来形がmust be going toだとか)。




小説家というのは自らの判断を差し控えるものだ。

2011年06月19日 | Weblog
村上春樹の『雑文集』というのをちょっと前に購入したが、ついついそのままにしておいていた。だが、読み始めてみると、いきなり良質な、しかし新奇というよりはごくごく全うで普通の小説論が展開されていたのだ。ちょっと面食らった。もっと早く目を通しておくべきだった。

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たしか『1Q84』などを発表する前の段階だと思うが、村上はよく物語の意義みたいなことを雑誌に書いていたはずだ。ここでは「小説とか何か」という質問に対して、ストレートに返答しているのだ。わかりやすいので、そのまま引用しておこう。

「小説家とは、多くを観察し、わずかしか判断を下さないことを生業とする人間です」(18頁)。

小説家の役割は、下すべき判断をもっとも魅惑的なかたちにして読者にそっと手渡すことにある。 (18頁)

良き物語を作るために小説家がなすべきことは、ごく簡単に言ってしまえば、結論を用意することではなく、仮説をただ丹念に積み重ねていくことだ。我々はそれらの仮説を、まるで眠っている猫を手にとるときのように、そっと持ち上げて運び、物語というささやかな広場の真ん中に、ひとつまたひとつと積み上げていく。どれくらい有効に正しく猫=仮説を選び取り、どれくらい自然に巧みにそれを積み上げていけるか、それが小説家の力量になる。(19頁)

読者はその仮説の集積を自分の中にとりあえずインテイクし、自分のオーダーに従ってもう一度個人的にわかりやすいかたちに並び替える。(中略) そしてそのサンプリング作業を通じて、読者は生きるという行為に含まれる動性=ダイナミズムを、我がことのようにリアルに「体験」することにある。 (19頁)


短いエッセイだが中身が濃いので全部引用することはやめよう。ここまでとする。だが、小説論をちょっと読んだことがある人ならば誰でも分かるだろうが、小説家というものは小説において結論を提示しないものなのだという議論は、多くの小説家に共有されているように見える。そして私はこのような小説観こそがまさに正統的考え方だとおもう。

小説というのは、一つの結論なり論説を読者に訴えかけるものではなく、その内容はしばしば曖昧で両義的なのである。小説を読むということは、様々な思想信条の登場人物の互いに矛盾しあう議論やら行動につきあわされることになるのである。
以前、オウム真理教問題で日本が大いに揺れたとき、有田 芳生がテレビでコメントするには、「オウムの若者たちは小説を読まないんですよ」というのだ。当時の私は小説をほとんどよまなかったが、実に印象的だったのである。

村上の解説に照らし合わせて考えると、一つの宗教、ましてや一つのカルトの虜になるということは、小説的を読むという理性の対極にある状況だと言っても良いではないか。(事実、村上の解説文もオウム真理教を意識していることが読み取れる)。


小説家は様々な仮説を興味深い形で提示するが、自らは結論を下さない。たしかに、そうなのだ! 言われてみると、私の大好きな小説家は、ほとんど皆そういうスタイルをとってきたように思う。何人か思い浮かぶが、とりわけ、John M.Coetzeeがその代表だ。彼はノーベル賞受賞講演においてさえも、自らの「説」を述べることをあくまでも拒んだのである。なんとノーベル賞受賞の記念講演で、自分の説を一切語らず、物語を読み聞かせしまったのだ。有る意味では村上以上に徹底しているのだ。
Elizabeth CostelloElizabeth Costello
J.M. Coetzee

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だが、塾教師として気になる小説は、残念ながらCoetzeeではない。(本当はCoetzeeが一番私には大事なのですが。。。)。最近映画化されて日本でも上演たKazuo IshiguroのNever Let Me Go(『私を話さないで』)のほうなのだ。そこには教師ならば誰もが考えさせられるであろう大問題について、対立しあうような諸見解=諸仮説が提示されているのである。教師とは何者でありなにが出来るのか、教育とは何なのか。教師は子どもに本当のことを話すべきなのか、話す必要がないのか。

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もちろんイシグロは結論をくださいない。ただ、あっさりと仮説を読者に提示し、我々を考えさせるのみである。

ネットで検索してみると、ちょっとだけ感想文はあるようではある。だが、本格的な議論は欠如しているようにも見える。物語を通じて、個々の読者が考えること、味わうこと。これが小説の醍醐味であるが、もう少し深められても良いではないか。次回は、イシグロの『私を離さないで』について、もう少しつっこんだことを書いてみることにする。

メディア・リテラシー教育の難しさ

2011年06月15日 | Weblog
メディア・リテラシー教育の難しさ

私がアメリカの大学院に留学した時、英語ができ無かったので留学生用の英語のクラスに入れられた。リーディングのクラスでは、日本では考えられないような文章読解術が教えられた。ある文章を読むとき、その書き手がリベラルな立場なのかそれとも保守的な立場なのか大づかみに想定しながら読んでみようというのである。そんな事までを英語教育(をアメリカの国語教育)で教えるんだなとちょっと驚いたものである。リベラルが保守化というのはあまりにも単純な二分法のような気もしたが、少なくともアメリカのような民主党と共和党の2大政党の社会においてはかなり有効な尺度なのであろう。

日本を振り返ってみると、冷戦以前には保守(自民党)と革新(社会党)という分かりやすい対立図式があったが、それを反映するような読解力教育は存在しなかったはずである。

実は私はちょっと昔、某私立 R 大学の1年生に教えていた事がある。そのゼミでは情報を多角的に読み取ることの必要性を強調し、日本には左翼系新聞(朝日、毎日)と右翼系新聞(読売.産経)さらにはタブロイド紙などもあるのだと説明していた。そして、政治的スタンスの異なる新聞がそれぞれどのような報道をするのか調べてくるようにと何人かの学生に指示した。しかし残念ながら私の話がうまく伝わらず、学生は朝日新聞と毎日新聞の比較調査をしてきてしまった。そして、両者の新聞記事の違いがよく分らなかったとのことであった。教えて入れる私も、まさか朝日と毎日の比較を試みるとは考えてもいなかったので、かなり落胆の顔を見せてしまい、悪いことをした。おそらく普通の大学1年生にとっては、右翼的か左翼的かという認識自体がなじみにくかったのであろう。

こんな経験を思い返してみると、前回の私の新聞各社の比較記事は、右も左もわからない中高生や大学生にはよい学習教材の一つになるのだ言ってしまってもよいのかもしれない。だが、自分で書いておいてなんだが、同時に危惧も覚えてしまう。というのは、私の文章が伝えているのは、あたかも朝日新聞が正しい情報を提供するメディアで、読売新聞や産経新聞は偏向報道ばかりをする右翼的新聞であるという印象のみを強調しかねないからだ。メディアを比較したり、メディア・リテラシーを身につけさせようとする視点が、朝日新聞こそが不偏不党の正しい新聞であるといううプロパガンダになりかねないではないか。それは困る。私は次のような立場を取っているからだ。

(1)朝日新聞もまた、読売新聞に負けず劣らず偏向メディアである。
(2)全国レベルの大手新聞ばかりでなく東京新聞・神奈川新聞等の地方新聞も本来であれば言及すべきであった。
(3)リベラルか保守か、左か右かといった単純な尺度だけでは測れない対抗軸があることを忘れない。

以上。

次回は文学を題材に書く予定です。

反原発デモ報道ー読売、産経、朝日、NYT、TBS、Twitter

2011年06月12日 | Weblog
昨日、つまり2011年6月11日(土)は東日本大震災および福島原発事故発生から3カ月目を迎え、日本各地では「6・11脱原発100万人アクション」という反原発デモが繰り広げられました。神奈川県では横浜市のJR桜木町駅から山下公園にかけてデモ行進「さよなら原発ウォーク」が開催され、約3千人(主催者発表)が参加。秦野市でも関連活動が行われたようです。

東京の新宿では、より大規模な反原発デモ(TBS報道特集、YouTube)がおこわなれました。動画を見ると、かなり沢山の人数が新宿アルタ前に集まっているのが分かります。当事者公式見解では2万人とのことですが、それ以上の人数が居そうな大規模集会のようです。

しかし、どの新聞も反原発デモを報道するとは大きく限りません。我が家では読売新聞の朝刊のみを取っているのですが、今朝(2011/06/12)の朝刊ではご覧の通りです。読売新聞の一面に反原発デモの記事が掲載されていないというのではなく、どこにも反原発デモの記事が全然掲載されていないのです。同様に産経新聞にも反原発運動は載っていません。写真はipod touchで見る産経新聞の一面です。 ということは、読売や産経新聞だけを購読し、他の情報に疎い人であれば、反原発デモがあったことを知らないで過ごしてしまうかもしれないという訳です。私自身も、反原発デモが2011/06/11にある予備知識という予備知識がなかったら、あるいはTwitterの情報がなかったら、デモについて知らないでいたかもしれません。

巷には新聞を教育に用いようという運動もあるようです。しかし、新聞記事自体がここまでバイアスを含んでいるのだとしたら、安易に子どもに新聞を読ませてしまうわけにはいけなくなるでしょう。すくなくとも、我々教える側としては、報道するメディアの偏向状況を知っておく必要があるでしょう。

まずはTwitteの写真から見てください。これはTwitter投稿記事を読み、重要だと思った記事にRetweetしたものです。 反原発デモに関する情報の第一弾は、私にとってはNew York Timesの反原発デモ報道”Protests Challenge Japan’s Use of Nuclear Power”でした。念のために書き加えておけば、私はTwitter上でのNYTの発言をフォロウしていますが、とりわけ”Japan”関係とか”Nuclear Power”関係をキーワードに設定していたわけではありません。国際的にも大きく報道されているので、目にとまったのです。(写真のTwitter発言ではTBS報道に関するものが時間的には先になりますが、私はこのTwitter発言を最初は見過ごしていました)。

ついで自由報道協会のフリージャーナリストの岩上さんのTwitter発言で引用されていた記事を発見しました。 「今のところ[=昨日(2011/06/11)の晩の段階]、原発デモの報道は朝日〇、毎日〇、読売×、産経×、日経×で」となっています。さらに、いくつかの情報が寄せられます。とくに興味深いのは「この読売の記事も酷いよ。新宿の2万人に言及せず、新潟での200人という数字だけを書いてる」とのことです。

なるほど、読売や産経はそういう露骨な偏向報道をするのだなと、今更ながら確認しました。


Twitter投稿記事だけではちょっと不正確ですから、今日(2011/06/12)はネットで検索してみました。

まず産経新聞から。今日ネット検索してみたところ、新宿の反原発デモについての記事を見つけることは出来ず、唯一検索で拾えたのは広島のデモ200人だけでした。「広島市中区の原爆ドーム前や繁華街で11日、福島から避難してきた人や育児中の母親、市民団体のメンバーら約270人が「脱原発」を求めてデモ行進をした。「原発なしで暮らしたい」と書いた横断幕を掲げ「原発止めろ」「ノーモア・ヒバクシャ」と声を上げた」という記事になっています。

読売新聞はどうでしょうか。先ほどは朝刊の紙面には掲載されていなかったと書きましたが、ネット上では反原発デモについてがとりあげられて居ないわけではありません。 しかし、ネット検索でも前述通りの結果で、新潟県柏崎市の200人デモが小さく載っているだけです。新宿の大規模な集会については黙殺しようとしているようです。


他方、朝日新聞は、私が日頃文句をいっている新聞なのですが、今回の反原発デモについては写真も多く使って比較的大きく取り上げているようです。

なるほど、これだけの差異があるわけですね。


3月の原発溶融のときとは異なって、今回に関して言えば、日本の大手メディアが一斉に情報隠匿を図ろうとしているわけではなさそうです。原発に賛成している新聞(産経新聞、読売新聞)が、反原発デモが起きたことを事実上黙殺し、あたかも日本には反原発などはほとんどないかのような情報を発信していたということです。本当であれば、反原発についても報道し、その上でその意義を否定するような論評を書けばよいのですが、読売新聞のような新聞は、そういう報道姿勢は持っていなかったのです。事実を取り上げて、そのうえで否定的な評価を下すのではなく、そんな事実は知らないよとニュースから抹殺しようとしてしまうのです。残念ながら、それが読売新聞あるいは日本の新聞の現状なのです。(もちろん、朝日新聞も同じような報道姿勢を取る可能性が十分あると私は考えています)。

メディアを読む力を養うという課題は、まずます重要になってきますね。同時に、いままでの入試問題の形式で本当に必要なリテラシーを養えるのだろうか、そんな疑問も浮かんできます。新聞を比較する、あるいは様々な情報源を比較しながら考えてみるという訓練も求められてくるのではないでしょうか。

慶應大学商学部の英語教材にDahlやSachar

2011年06月07日 | 教養英語
読みやすい英語の本についての紹介を仕様と思ってグーグルしていたら、5年ほど前のものかもしれませんが、慶應大学商学部1.2年生用の英語の授業のシラバスが出てきました。そこではRoald DahlC.S.Lewis, Louis Sacharといった、私がいままでに紹介したり、これから取り上げてみようと考えていた児童向けの物語を教材に用いている授業があることが分かりました。このブログでもちょっととりあげてみましょう。

シラバスを読むと、慶應大学商学部ではTOEICなどの試験を用いてクラス分けしていることがわかります。 基礎、中級、準上級、上級(一般)、上級(帰国)と四つのクラスにわけられているようです。上級(帰国)というのはいわゆるバイリンガルですから除外しますと、全部で4段階に分かれると言うことです。

Dahl等の子ども向け読み物を授業で用いているのは、準上級です。その中のコミュニケーション2年生のクラスです。さすがにリーディングの授業ではなく、あくまでもコミュニケーションの授業として用いられるようです。もう少し中身を見てきましょう。

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英語コミュニケーションⅡa(準上級) 1 単位(春学期)英語コミュニケーションⅡb(準上級) 1 単位(秋学期)
授業科目の内容:This class is based upon Roald Dahl’s novel Danny, Champion of the World and C.S. Lewis’ The Lion the Witch and the
Wardrobe
. Both books are classic children’s books (but not too easy). We will cover one book per semester. Students will read the
books as homework. In class we will discuss and write about the books; their content, their themes, and also more general topics
related to the books. Students will do some research and writing connected to the books and the topics used in class.
テキスト(教科書): Danny, Champion of the World, by Roald Dahl, 1975. Puffin. The Lion the Witch and the Wardrobe, by C.S. Lewis.

授業の計画: As preparation for the class, students will read one or two chapters each week, and will research topics assigned by the teacher.
The chapters to be read will be announced each week in class. In class the work done will depend upon the content of the actual
chapters read, but there will always be extended discussion, there will be verbal summary of the reading, and there will be a variety
of other work, including written work
.

DahlのDanny, Champion of the Worldは、残念ながら私が未読の数少ないダール作品です。たしか古い訳は絶版になってしまったはずですが、新訳『ダニーは世界チャンピオン』があります。(旧訳は相模原市の図書館にはあります。すくなくとも東林間の公民館にはありました)。映画化もされています。原文の一部がありますので、写真を掲載しておきましょう。ルイスの方は前回紹介しましたね、『魔女とライオン』というナルニア国シリーズの第一巻です。

これらの本については、子ども向けの本の古典であるが、あまり易しすぎるわけではないという評価を慶應の先生はくだしています。そして、週一回の授業で、1-2章読み進めていき、春学期秋学期でそれぞれ一冊づつ読んでいく計画です。ただし、読むだけの授業ではなく、アンダーラインをひいておきましたが、ディスカションをし、口頭で要約を発表させ、さらにはペーパーを書かせるとのことです。ディスカションは大変だと思いますが、面白そうな授業ですね。


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英語コミュニケーションⅡa(準上級) 1 単位(春学期)英語コミュニケーションⅡb(準上級) 1 単位(秋学期)
科目の内容: This class is based upon Roald Dahl’s novel, Charlie and the Chocolate Factory, and Holes by Louis Sachar. We will cover one
book per semester. Students will read the books as homework, and in class we will discuss and write about the books; their content,
their themes, and more general topics related to the books. Students will do some research and writing connected to the books and
the topics used in class.
テキスト(教科書): Charlie and the Chocolate Factory, by Roald Dahl, 1964. Puffin. Holes, by Louis Sachar, Yearling.

もう一つの授業では、ダールの『チョコレート工場』とサッカーの『穴』が使われます。こちらも両方とも映画化されていますし、児童文学の傑作として知られています。ただし、Holesはちょっと英語が難しめかもしれません。授業の進め方は上記と同じで、準上級のコミュニケーションで2年生用、一学期に一冊よみ、授業ではディスカション等があります。

Louis SacharとHOLESについては、機会を設けてもう一度紹介する予定です。

The Little Princeの新訳版(追加)

2011年06月07日 | 教養英語
The Little Prince
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町田のBookOFFではときおり路上で洋書の半額セールスをしているようです。そういうときには、けっこう多くの人が本選びに加わっています。町田には英語とかを読む人がたくさんいるんだなあと印象的ですね。通りを歩いていた私も加わって本を吟味しました。Camusの評伝(フランス語)やJoseh Conradもちょっと気になりましたが、読めそうもないのであっさりと断念。そのかわりに購入したのが、Dahlの豪華本だとかAntoine de Saint-ExuperyのThe Little Princeでした。この二人の人気作家が、どちらもアフリカ戦線で飛行機を乗り回したパイロットだったというのは何かの偶然でしょうか。

さて、The Little Princeですが、これについてはもう紹介する必要はないでしょう。私もこの作品が大好きで、フランス語、英語、日本語でそれぞれ一回づつくらい読みました。ついでにいえば、マイケル・ジャクソンにも影響を与えたという星の王子様のミュージカル映画も試写会でみたことがあります。

今回英語の本を手に取ってみると、新訳であることを発見しました。そうなんですね、Le Petit Princeの日本語訳も新訳がたくさんでていますが、英語だって新訳が出るのです。旧訳が手元にないのでちゃんとした比較できないのですが、ずいぶんと読みやすく平易に仕上がっているようです。本当のことを言うと、こんなに易しくていいの?という気持ちすらおぼえるくらい、分かりやすい英文です。たとえば、有名な狐くんのフレーズ、「人間は心でしか見ることが出来ないんだよ」(On ne voit qu'avec le coeur. ←これは不正確かも知れませんが、ともかくも何十年間私の頭に残っているフランス語のフレーズです)というのも、”But eys are blind. You have to look with the heart." (71p)という具合になっています。わかりやすいですが、こういう書き換えはよいのだろうか?と思ってしまいます。(←ただし引用箇所を間違えている恐れ有り)


しかし、この英訳の読みやすさは捨てられませんね。写真は王子と狐くんが始めて出会うシーンです。(58頁)

真ん中のところから見ていきましょう。"Come and play with me," the little prince proposed. "I'm feeling so sad." "I can't play with you, " the fox said. "I'm not tamed(飼い慣られる).” "Ah! Excuse me," said the little prince. But upon reflection he added, "What does tamed mean?" "You're not from around here," the fox said.

これならば中学生でも簡単にわかりますね。英検2級以上の高校生ならば、本書に挑戦してみる価値はあるでしょう。単語もそんなに難しくありません。訳注付きの講談社英語文庫も入手できますので、これを利用するのも手でしょう。
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オススメです。

小田急江ノ島線東林間駅から徒歩3分(中央林間・相模大野から一駅)

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東大式個別ゼミ

『児童文学を英語で読む』

2011年06月07日 | 教養英語
児童文学を英語で読む (岩波ジュニア新書)
クリエーター情報なし
岩波書店


児童文学等について書いてきましたので、すでに絶版になっていますが百々 佑利子『児童文学を英語で読む』を紹介ておきましょう。(amazonの中古で入手可能ですし、岩波少年文庫ですから図書館では必ず見つかるでしょう)。

本書は英語児童文学の翻訳家による、英米児童文学やその周辺の紹介本です。『クリスマス・キャロル』『不思議の国のアリス』から『ゲド戦記』までと幅広く紹介されており、持っているとちょっと便利なガイドブックですね。 

惜しむべきは英語の難易度だとか長さ、あるいは対象年齢についての説明があまりないことです。英語で児童文学を勉強してみようという大学生にはお勧めではありますが、その点ちょっと不親切だったのではないでしょうか。


紹介されている本について、一言二言だけ書いておきます。トールキンの『ホビットの冒険』は読みやすい英語ですがちょっと長いのが大変です。私は挫折しました。ハリー・ポッターよりは英語は平易ですから、好きな人にはいいかもしれません。『赤毛のアン』や『クリスマスキャロル』『バスカビル家のイヌ』『トム・ソーヤー』は英語がそんなに易しくはないですね。retoldでまずは挑戦してみたらどうかとおもいます。『マザーグース』『ピーターラビット』『怪獣たちがいるところ』は短く読みやすいともいえるのですが、ちょっと高校生には退屈かな。とはいえ図書館で洋書絵本『怪獣たちがいるところ』(町田市立図書館にはあります)を借りられるようならば、借りて読むのもいいでしょう。

適度に読みやすいオススメは何だろう? 『魔女とライオン』のほかには、『くまのプーさん』かな? これは不思議なユーモアが少々理解しにくいのですが、短篇集なので取り組みやすいですね。私は『ぷー横町』を含め、英語で全2冊を読んでおきました。強くは勧めませんが、好きな人にはどうぞ。

『ピーターパン』は英語は易しくかつ無料でも入手できますが、全部読み通そうと思ったら、大変ですね。実を言えば、私はこれも挫折しました。

『トムは真夜中の庭で』は間違いなく児童文学の傑作ですが、私は翻訳で読んだので、英語の難易度については分かりません。『オズの魔法使い』『秘密の花園』あたりは、英語が読みやすいので、良さそうですね。とくに『オズ』は平易なので、良いかも知れません。

(改訂)講談社英語文庫と『ライオンと魔女』『小さなスプーンおばさん』

2011年06月07日 | 教養英語
ライオンと魔女-ナルニア国ものがたり The Lion, the Witch andthe Wardrobe 【講談社英語文庫】
C.S. ルイス,ポーリン・ダイアナ ベインズ
講談社インターナショナル


5月に古本屋で安い子ども向けの英語の物語を購入することが出来た。何冊か読んでみたので、ここで紹介します。


この講談社英語文庫のシリーズはもちろん英語で書かれてある小説・物語の文庫本なのですが、、大別すると次の3種類に分けられるようです。
(1)原書 後ろに訳注がついてあるが、オリジナル原書がそのまま用いられている小説・物語。読みやすい児童向けのものが多いが、児童向けとは限らない。
(2)リライト作品 学習者に向けに易しく書き直された小説・物語。(『ロミオとジュリエット』『ガリバー旅行記』『ドン・キホーテ』(スペイン語が原作だが)などの古典的作品など)
(3)非英語児童文学の英訳 西欧諸語などから翻訳された易しい英語の物語など。
(4)日本語作品の英訳 昔話やマンガ等も含みます。

まずは講談社英語文庫のC.S. ルイス『ライオンと魔女-ナルニア国ものがたり』(The Lion, the Witch and the Wardrobe) から。この作品は、(1)の原書作品にあたります。映画版「ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女」も簡単に見つけることが出来るでしょうし、本物の原書ですからチャレンジのしがいがある作品ではないでしょうか。

とはいえ、私は自分で読んでみようとは思ってもいませんでした。105円で売っていたので買っておいただけだったのです。が、読み始めると案外ストーリーに惹きつけられてしまいました。タンスを通して異世界へと旅立つ物語などは決して珍しい手法ではないですが、知らないうちに半分まで読んでしまいました。そこで、最後まで読もうということになったのですが、要するに大人が読んでも面白いということです。

問題の英語のほうですが、単語も文章も比較的平易ではないでしょうか。仮定法がかなり沢山出てくるのが印象的でしたが、訳注もついています。語彙もハリーポッターなどよりもはるかに容易です。ただし、単語の注釈がもう少し詳しければもっと良かったのですが。英検2級に楽々合格した中高生ならば、やる気さえあれば、読み通すことが出来るのでは? もちろん一部だけ英語で読んでみるのも構わないと思う。

今回はもう一つは、『小さなスプーンおばさん』です。
小さなスプーンおばさん―Little old Mrs Pepperpot【講談社英語文庫】
クリエーター情報なし
講談社インターナショナル


北欧とドイツは児童文学の宝庫ですが、この童話の作者アルフ・プリョイセンはスウェーデン人で、本書はスウェーデン語からの英訳らしい。つまり(3)にあたります。

英語は『ナルニア国』よりもさらに平易である。英検準2級合格レベルからでも挑戦することもできる。小学生の頃、翻訳で楽しんで読んだ思い出がある人にはぜひとも勧めたい。

ただし、内容的には小学校低中学年向きなので、中高生にはちょっと幼稚な感じがするでしょう。私は全部読み通すことはしませんでした。

USAキリスト教原理主義の洗脳教育

2011年06月05日 | 教養英語


先週の金曜日、再放送ですが町山×松島の未公開映画で、深夜から1時間、東京MXテレビで放映されていたのがJesus Campです。見逃された方もあるかもしれませんが、次週の2011年6月10日(金)の23:30から後編がありますので、現代社会やアメリカの文化に興味のある人はぜひとも見逃さないようにしてもらいたいと思います。amazonでも購入できます。
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YouTubeに10分ほどその一部がアップされていますから、その雰囲気を知ることが出来るでしょう。(Youtubeでは字幕はないが、未公開映画では字幕付きです)。ここではキリスト教原理主義者(彼らは、福音主義者Evangelistと自称しているそうです)たちが子どもたちに一種の洗脳キャンプを実施している様子を紹介しています。ちょっと怖い様子ですが、興味あふれる啓蒙的作品に仕上がっています。

また、ハリーポッターは悪魔だ も本作品Jesus Campの動画の一部だと思われます。なお、「ハリーポッターは悪魔だ」については、西森マリーもちょっと書いているようです。

なお、キリスト教原理主義というのは、聖書に書かれてある文章を一字一句信じている人たちのことです。キリスト教のバイブル(聖書)にはキリストがおこした様々な奇跡が書かれています。その他、聖母マリアは処女母だとか、人類の起源はアダムとイブだとか、ノアの方舟と大洪水があったとか、最後の審判があるとか、不思議な話のオンパレードです。日本人の多くは、たとえクリスチャンだろうとも、そういう話を有り難い話であるとしても、結局は「たとえ話」や「比喩」であるとして理解しているのが普通でしょう。文字通りアダムとイブが人類の最初だと信じこんだり、あるいは、最後の審判の日に墓の中から人間がよみがえり審判を受けるなどとは考えていないでしょう。しかし、原理主義者(福音主義者)たちは、それらが本当にあったこと、あるいは、これから現実に起こることだと堅く信じているのです。結果、ダーウィンの進化論が聖書と神の教えに反するので間違っているとか、ハリーポッターは危険な悪魔の化身であるとか、日本では信じられないような論調となります。事実、多くの南部州では、ダーウィンを学校教育では教えてはならないらしいのです。

以前にもこのブログで書いたと思いますが、私がアメリカに留学したときも、キリスト教原理主義の人に誘われたことがあります。彼がいうには、「トルコでノアの箱舟の残骸が見つかった。だから聖書の話は本当であり、キリスト教は信じるに値すると考えるようになった」というのです。日本人にはちょっと理解しにくい発想ですね。

もちろん、すべてのキリスト者がこのビデオに出てくる原理主義者ではなく、いわゆるリベラルなキリスト者だとか世俗的なキリスト者も存在しますし、このビデオでも、そういったクリスチャンは登場してきます。とはいえ、日本人が渡米した際に、そういう人たちばかりだとは限りません。将来の留学希望者は勉強した方が良さそうですね。

参考
wikipedia キリスト教原理主義
Wikipedia Jesus Camp
amazon.com (USAamazon) アメリカのamazonのJesus Campのreviewには非常に参考になる文章があります。よろしければ、読んで欲しいと思います。


『時間と学費をムダにしない大学選び』(続)

2011年06月02日 | 教養英語
前回はちょっと批判的に書いたが、今度はこの本の長所を述べてみよう。

(1)業界を知るための参考文献を具体的に紹介してある点だ。高校生にも決して読みにくいモノではない。

(2)見学・訪問したい場所の紹介も特筆すべきだろう。

(3)仕事の実情が書かれていることも評価に値する。写真は、「心理職」が結構厳しい仕事で、専業ではやっていけない現状を伝えている。

自分の興味のもっている業界が掲載されていると思ったらば、ぜひとも立ち読みしてみるべきだろう。

『時間と学費をムダにしない大学選び』という大学情報本

2011年06月01日 | 受験
評判が悪くなかったので、『時間と学費をムダにしない大学選び』という本を中古で購入してみた。毎年新しい版が出ている高校生向けの本でもある。

時間と学費をムダにしない大学選び
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著者によれば、この本は東大志望者をから専門学校志望者まで幅広くカバーしており、高校生ならば誰でも参考になる本とのことである。表紙にもあるが、若者あこがれの職業(業界)の実情がどのようなモノであり、またその業界に入り込むためにはどのような大学に入ればよいのかを指南してあるのだ。17の業界とは、たとえば、マスコミ、公務員、教育、エンジニア、医師、看護、動物、ファッション、栄養、マンガなどである。さらには未定などというのもある。

結論を先取りすると、なんだか身も蓋もない提案がされている。あこがれの業界のほとんどでは、東大に行くのが最高の進学先のようなのだ。ごく例外的に、ファッション・栄養などはお茶大、スポーツが筑波大、教員は地方国立大学で良しとなっているだけだ。それらの大学も、普通の高校生が安易に進学できる大学ではない。もちろん、料理などについては料理の専門学校というコースも示されてはいる。しかし、憧れの仕事に就くためには、たいていの場合は、国公立大学やMARCH以上、できたら早慶、いややっぱり東大が望ましいということらしい。私としては、その結論を否定するつもりは全くない。「憧れの職業につきたいのであれば、東大に行け!」というのは、かなりの場合本当のことだと思うからだ。たとえば、女子アナになりたいのであれば、東大出の美女であるのが手っ取り早いだろうからだ。どういう意図で本書は書かれているのだろうか。





上の文章を読むと、世の中を舐めきっている高校生に厳しい現実を知らしめようという意図があるのかもしれない。しかし、勘違いしている高校生は、まずはこういった本を読まないだろう。また仮に読んだとしても、妄想はなくならないとは思うけれども。。。

他方、地道に進路選択しようという高校生に対しては、本書はシビアーすぎるかもしれない。たとえば、↓の頁。
これは公務員の項目だけれども、公務員=東大・国家公務員キャリア官僚というイメージから始まって序列がつけられている。東大法学部の学生にとって公務員というのはエリート官僚というイメージだろうけれども、MARCHや地方国立大学学生にとっての(地方)公務員というのは、もう端から全然別の世界のイメージなんじゃないだろうか。別に東大と比較しなくてもよいのではないかと思ってしまうのだが。

とはいえ全体的に言うと、MARCH・地方国立以上を狙える進学校の生徒にとっては、世の中の仕組みについて情報を提供している希有な読み物だと評価できるだろう。つまり、中堅以上の進学校(このあたりでいえば、県立大和高校や逗子開成以上の高校)の生徒にはオススメだ。しかし、「高校生ならば誰でも参考になる本」かといえば、僕はちょっと首を傾げる(かしげる)。専門学校も視野に入れているとは言うが、普通の高校生にはもっと別の本が書かれてしかるべきではないだろうか。

あと、本書について一言苦情を書いておく。36頁には次のような文章があるのだ。「マスコミを目指すなら、早稲田大学は文学部よりも文化構想学部がよいかも」「あなどれないのが教育学部」だと書いてあるのだ。こいつら、馬鹿じゃないのだろうか、と思ってしまうのだ。早稲田に合格するのは難しいのである。普通の判断力をそなえている早稲田志望生ならば、文化構想学部、文学部、教育学部と全学部受験するはずだ。さらには、人間科学や社会科学、あるいはスポーツ科学部だって受けるかも知れない。早稲田に複数の学部に合格するのであれば、その段階で文化構想学部に入学すれば良いのだ。しかし、彼らの本を鵜呑みにする頭の悪いマスコミ志望の高校生は、文化構想学部と教育学部しか受けないかも知れないではないか。悪い影響があるのではないのか、ちょっと気になるところだ。(実を言うと、今年の当塾の早稲田合格者は、この二つの学部しか受けなかったのである。私はお年玉をはたいてでも、三学部を全部受けるように何度何度も説得したのだが、文化構想学部の他にはようやく教育学部を受験しただけだったのである。たまたま教育学部に合格したら過良かったようなものの。。。。。もしかしたら、本書を鵜呑みにしてしまったのかも知れない)。