林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

村上春樹の中央林間(続)

2010年04月29日 | Weblog
受験とも勉強とも関係ありませんが、村上春樹の『1Q84』(Book3)について書きます。

以前書きましたが、この本のBook3には準主役の牛河(悪役だがシステムではなく生身の人間。ちょうど命令に従いながら悪事をはたらくイスラエルの兵士ですね)が、かつて中央林間在住という設定なのですね。

146,258,266,320,379,389、507,568ページと中央林間についての記述があるわけです。

258頁
牛川は一人でそこに住んでいる。以前は妻がいて、二人の小さな娘がいた。神奈川県大和市中央林間に一軒家を買って、そこで暮らしていた。小さいながらも芝生の庭があり、犬を一匹飼っていた。妻はごく当たり前の顔立ちだったし(中略) 

自分がかつて家族を持ち、郊外の一軒家で暮らしていたと言うこと自体が不思議に思える。(259)

266 弁護士としての忙しい生活、高い収入、中央林間の一軒家、見栄の悪くない妻、私立小学校に通う二人のかわいい娘、血統書付きの犬。

320 彼は中央林間の一軒家のことを思い出し、芝生の庭と犬のことを思い出し、妻と二人の娘を思い出した

379 妻も二人の娘も、芝生の庭のある中央林間の一軒家も、これほどの温かみを牛河に与えてくれることはなかった(←ふかえりという少女のまなざしに打たれた牛河です)

389
中央林間の一軒家と、そこにあった食卓のことを牛河は考えた。その食卓には毎晩暖かい食事が出ていたはずだ。(中略) 昔々、小田急線中央林間駅徒歩十五分のところに、新築の一軒家と暖かい食卓がありました。二人の小さな女の子がピアノを弾き、小さな芝生の庭があり、血統書付きの子犬がそこを駆け回っておりました。


とこんな具合で基本的には同じ記述が多い。(「建て売り一戸建て」を購入したという記述があったはずだが)

中央林間の近くに住む人であれば、「中央林間徒歩15分」にある「やや豪勢な一戸建て」、時代は1960-70年代(?)となれば、具体的なイメージを考えてしまうでしょう。娘たちが通うとされた私立小学校の名前だって、あれやこれやと思いめぐらしてしまうでしょう。

こういう視点から村上作品を読む人は少ないでしょうが、我ら「林間人」はそういう読み方をしてみてもよいのではないでしょうか。

英文の直訳

2010年04月28日 | 受験
教科書の英文なんて易しいのだから大事なのは和文英訳だといつも言っている。だが油断は禁物だ。英文を直訳できないという生徒が案外いるからだ。いい加減な訳をしてしまうのである。it is hot.を「それは熱い」と訳している生徒もいた。

英文和訳をいい加減にやる癖だけはなくしていかないといけないと痛感する。

良い参考書・問題集

2010年04月28日 | 英語学習
最近は英語の良い参考書・問題集がリーズナブルな価格でたくさん売られているので、高校生にとっては最高じゃないかとおもう。CD付きで、構文解説が詳しかったり、単語熟語を覚えられるようになっているものだ。とくに中3からー高2にかけてどんどんやっていきたい。

キクタン・リーディングEntry
安河内 レベル別長文3
竹岡 超基礎がため英文
西 基本はここだ
ハイパー英文1
レベル別長文4


和田 5ステップアクティヴリーディング
西 リーディング&ボキャブラリー
竹岡 超難関 わかる!英語長文
キクタンリーディングBasic
入門70の技術
必修英文
西 実況中継
ハイパー英文2
東大英語5分で読める


こういった教材をつかって音読学習を進めていけば、あるレベル以上には到達するだろう。短期間に集中してやれる。

高校の授業

2010年04月26日 | 受験
某進学校ですが、高三の授業でTreasureを使っているようです。Treasureとは、ご承知の通りちょっと難しい英語の教科書です。

その選択が妥当なのか否か、ここでは問題にしません。大事なのは、その授業を取っている一人の生徒にとっては、まったく無駄な負担にすぎないということです。平たくいえば、[現在]の英語力からするとあまりにも難しすぎるのです。それなのに予習をしなければならない。さぼると立たされるらしいです。もちろん、定期テストもあるのでしょう。

予習には何時間かかかってしまうということなので、仕方なく英文読解の手伝いを二度もました。しかし、こういう作業は時間の無駄なんですね。

あと3ヶ月がんばれば、この程度の英文ならばなんとか読めるようになるはずなのです。

つまり夏以降ならば、Treasureを読むことが英語力の向上につながるはずです。ですから、そのときまで予習を免除してもらえるないか、高校の先生と交渉してみないかと、本人に提案してみました。それはダメだそうです。本当にダメなのだろうかと私は疑問に思わないわけではないのですが、とにかく本人にそういうことをする意志はないようです。(必要ならば、嘆願状を書きたいと思うのだが・・・)。

「じゃあ、さぼって立たされたら良いじゃないか!」と提案しましたが、これもやりたくないみたいですね


学校の成績よりも、基礎力養成のほうが大事だと思うんだけれどもナア。でもちょっと真面目な高校生にとっては、浪人してでも学校第一なんだろうね。うーん、もったいないなあ! 高校の先生方、なんとかなりませんか。

英会話力はどうやって身につけるか?

2010年04月25日 | 英語学習
英会話スクールに通っても英語を話せるようにはならない。だとしたら、英語はどうやって話せるようになるのでしょうか。

結論を先取りしましょう。日本にいて流暢に話せるようにするのはかなり困難です。多くの人の意見が一致しているところですが、話すためには海外旅行なり、留学をするのが近道なのです。

とはいえ、まずは将来すぐに話せるようになるための下準備に精を出しましょう。具体的にはどのような下準備が求められているのかというと、

(1)CDつき教材を選び、音読重視の英語学習をすること。
(2)瞬間的な和文英訳の練習を積み重ねる。
(3)読解、文法、語彙、聴解の訓練をする。

以上です。英語力としては、最低限英検2級レベルは絶対に必要です。なお、竹岡広伸『超基礎がため わかる!英語長文』 を引用すれば、単に英検2級合格に満足するのではなく「9割がとれるまで繰り返し繰り返し受けるべき」です。

もちろん英検2級合格レベルで満足してはダメです。進学校の高校生ならば、英検準一級合格が目標の目安となります。 

付録

1)子供英会話スクールは、大人英会話スクール同様でしょう。たとえば、「読み書き重視ではなくて話す聴くの英語学校だ」という宣伝をする子供英会話スクールがありますが、全く信用ならない塾だと言って良いでしょう。日本で英語を勉強するのですから、例文暗唱とテキスト音読なくして英語を話す準備は絶対に不可能だからです。

2)どうしても日本で英会話力を身につけたいというのであれば、ICU国際基督教大学のような大学に進学することを薦めます。あるいは、一部の私立中高一貫校でしょうか。(鹿児島のラサール出身の人に聞いたのですが、授業で英会話を学んだので話せるのだそうです)。あるいは、最近のSkypeを用いた電話英会話スクールを活用するのが突破口になるかも知れません。(英検準一級レベルの英語の素養がない人がskype英会話で英語マスターなんて無理ですよ。念のため)。

3)[ 日本にいても英語が話せるようになったわけ]というHPがあったので見てみました。しかし、この人の場合も完全に日本にいるだけで英語が話せるようになったわけでは無さそうです。というのは、大学生時代に海外でホームステイを何回か体験しているからです。下準備を積み重ねた学習者ならば、短期ホームステイだけでも良いのだと言うことと解釈できるのではないでしょうか。

英会話スクールでは英会話力は伸びない

2010年04月25日 | 英語学習
英会話スクールについて

[ジ]英会話という業界の大手が倒産してしまいました。今回の倒産は[ノ]の倒産によって業界イメージが悪くなったからだとも言われています。しかし私たちにとってもっと深刻なのは企業経営の問題ではなく、英会話学校に通っても全然話せるようにならないということでしょう。ちょっとブログを調べてみても、元あるいは現役の英会話会社の従業員本人が、英会話スクールで英会話が出来るようにはならないと辛辣な証言をしていることがわかります。たとえば、Dorkyの英会話業界レポート が一番徹底していますね。あるいは、吉村宗太郎という人の「英会話のジオスに見る英会話業界」によると、次のような状況です。

国内の英会話学校に通っただけで、大幅に会話力が上達したケース…
英会話学校で働いていたにもかかわらず、殆ど見た事がありません。
50~60 万の料金を頂いておきながら、情けない話しですが、語学力向上を提供するというよりは、本人が『やっているんだ』という満足感を提供しているように感じていました。


当塾でも、原則的に英会話スクールには通わないようにと指導しています。通うだけ時間と金の無駄で、通う暇があったら英語の勉強でもしていなさいということです。

なぜ英会話スクールでは英会話ができるようにならないのでしょうか。よく講師の質が悪いとか、あるいは、外人講師への待遇が悪すぎるとか言われたりします。たしかに、それも一つの原因でしょう。しかし、根本問題ではないのです。理由は大きく分けて、1)一週間に通う回数と時間が少なすぎる、2)一定量以上の宿題を課すシステムができていない、3)生徒の基礎英語力が低い、の三つに分類されるのではないでしょうか。


1)英会話だろうと、どの言語だろうと、通常は週に3回以上の授業が必要です。入門者・初心者ならば本当は週五回くらいが望ましいのですが、最低ラインはおそらく週3回くらいでしょう。語学習得の観点からいえば、週一回の授業ではほとんど絶望的なのです。本当のことを書くと、学生時代には週一回の語学の授業(第三外国語のドイツ語、早稲田奉仕園で学んだはずのタガログ語)を何度か挑戦し、結局、全然成果が上がりませんでした。

現状では毎日のように英会話スクールに通う生徒はほとんどいないでしょう。お金が高くつきますじ、時間的にも厳しいでしょうからね。となれば、英会話スクールなんてほとんど絶望的なのです。


2)真面目な教師であれば、宿題計画を予め用意しておく必要があります。週に3-5回の授業だとしても宿題は必要です。ましてや週1-2回だとすれば、大量の宿題を生徒に課さなくてはいけません。しかし、英会話スクールでは宿題なんてほとんどないのではないでしょうか。それは、致命的な大問題なのです!

さて、もし英会話スクールのほうで宿題を出さないのであれば、生徒が自主的に勉強をしなくてはならないわけです。しかし、どれだけの生徒が自主的に勉強してくるでしょうか。たとえば毎日NHK「基礎英語3」と「英語5分間トレーニング」を聴いている人です。皆無とは言いませんが、ほとんどいないでしょう。だから、英会話スクールはほとんど機能していないわけですね。


3)ただし、ある程度英語基礎力がある生徒であれば、かなり事情が異なるはずです。仮に英検準1級レベル前後、あるいは難関国立大学や早慶上智の大学生レベルならば、やる気さえあれば、自主的に課題を見つけ、こなしてくることが可能です。そういう真面目な彼ら・彼女らならば、英会話スクールで英語を学ぶ場にするのではなく、日頃の学習の成果を披露する場にするならば、大いに成果が上がる可能性があるでしょう。言い換えれば、独学でインプットし、英会話スクールでアウトプットするようにすれば、英会話スクールで英語は伸びるはずです。

しかし、英検準一級レベルの生徒は、英会話スクールにほとんどいないはずです。考えてみてください。準1級レベルの生徒が集まっている英会話学校ならば、町に乱立できるわけはないではないですか。


余談

ところで、我が塾に、私のアドバイスを無視して、英会話スクールーーオオノの[の]だそうですがーー通い続けている生徒がいます。本人に尋ねてみると、我が塾に通うようになってから、2段階レベルがアップしたのだそうです。ま、そりゃ、アップするでしょうね。我が塾でしっかりインプット(『シリウス発展編』の暗記暗唱)していますから。ただ、[の]に行くのは、やっぱり時間とお金の無駄であることは変わりないです・・・。

1984年の中央林間、村上春樹と中央林間

2010年04月23日 | Weblog
私は今日1984年の中央林間を考えてみました。もちろん訳があります。タイトルに示したように、村上春樹の新刊です。村上春樹の『1Q84(BOOK3)』の146頁に次のような文章があるのです。

牛河は千葉県にはまったく縁がない。生まれは埼玉県浦和市で、大学に入って以来、中央林間にいた時期を別にすれば、ずっと二十三区に住んでいる

中央林間の名前が出てくることなんて、本当はどうでも良いことかもしれない。しかし、林間住民としては見過ごせません。

現代ではネットですぐに様々な情報を入手できるわけで、やっぱり興味深い事実が浮き上がってきました。(情報収集のコンピューター化についての記述が、村上作品の中にも言及されているのは偶然だろうか。とくに『Book3』の132-133頁)。


まず、中央林間に東急田園都市線が通るようになったのが1984年だということです。本書の時代は1984年なのですが、中央林間という町にとっても1984年は転換期を迎える年だったというわけです。さて、Wikipediaには、次のように書かれています。

小田急による林間都市計画は挫折した。しかし、1984年(昭和59年)4月9日に東急田園都市線が乗り入れ、中央林間は、東急多摩田園都市計画域に編入された。田園都市となってから開発は急速に進み、現在に至る。


しかし、『Book3』の主要登場人物の牛河という元弁護士(←法学部卒業ですが、早稲田の法学部卒という設定じゃないだろうか)の男が中央林間に住んでいたのは1984年以前です。つまり、まだ田園都市線が乗り入れておらず、まだ今のように開けていない時代だということになります。あるHPの表現を借りるならば、小田急線で東京にでなければならない時代だ。ちょっと不便な場所で、開発が進んでいなかった中央林間。の時代です。中央林間というのは昔ながらの商店街があるところではないですから、当時は相当殺風景な何もない土地だったと容易に想像がつきます。その時代の中央林間に村上が言及ているというのは、興味深いことですね。


さらにネットを調べてみると、もう一つ興味深い事実にぶつかります。なんと村上春樹を20年前に中央林間で目撃したという人がいるのです。ライフ・ストレージ・マネジメントというブログです。念のために書いておくと、このブログは2009年に書かれたので、『Book3』はまだ発売されてはいません。

追記:20年以上前ですが、私が神奈川にいた頃、中央林間で村上春樹らしき人物に遭遇しました。夜中でしたが、真っ赤なポルシェに乗ったちょっと小太りのお金持ちという印象でした。多分間違いないと思います。

なるほど、そうだったのか! 第三巻の準主役ともいえる牛河に中央林間に言及させたのには、村上春樹自身がこの地に馴染んでいたからなのです。確証はありませんが、その可能性は大いにありと書いておきましょう。小説というのは、細部を探ってみると、それも案外面白いですね。



NHK基礎英語が要求すること

2010年04月23日 | 英語学習
今年は特別に小学6年生に英語を教えることになった。とはいっても、当塾はお遊び英語ではないので、しっかりと勉強してもらうことになる。基本となるのは、英文法の小冊子とNHK基礎英語1である。毎日基礎英語を聴いてもらうのである。(ただしPCからダウンロード可能であることは、以前に紹介した)

基礎英語1は結構ハードである。

最初のうちは発音を普通にのんびりしとやっている。(もっともほとんどの中学校では、流私立中学ですら発音を習わないだろうから、非常に貴重な時間である)。この機会に当塾では、発音のDVDを見せたり、発音記号の習得等までやらせることにしているのだが、まだこの時期は楽しく勉強できてしまうのだ。

だが、すぐに急展開する。いきなり沢山の単語や表現がどんどん出てくる。そして、文法事項を含む、さまざまな表現が登場するというわけだ。怠け者だと4月の下旬で落ちこぼれてしまうことになるのだ。

さて、ここで基礎英語の学習方針をみてみよう。ちょっと汚くしてしまったが写真の通りなのである。要するに、本文を読み(←おそらく30-60回読む必要がある)、暗記暗唱し、さらに暗写できるようにしなくてはならないのである。しかも、毎日なのだ!

さあ、大変ですね。まるでクラブの朝練で鍛えられるみたいです。でも、こうやってがんばり続けると、そして基礎英語2,基礎英語3というふうに継続すれば、英語が出来るようになるはずなのです。

ちなみに1年間がんばるだけで、1300以上の語彙と300以上の基本表現を覚えられるようになります。

みなさん、がんばりましょう!!!

野草を天ぷらに(こどもの国にて)

2010年04月21日 | 受験
この前の日曜日、こどもの国で野草を天ぷらにあげるというプログラムがありましたので、家族で参加してみました。

タンポポ(こどもの国ではカントウタンポポが主流です。これは春に咲く花で、一年中作西洋タンポポとは違います)の花の他、ヨモギドクダミフキクズハルジオンイタドリといった七種類の草花をプロナチュラリストの指導の元で摘み、天ぷらであげたのです。

またスギナの葉を煎じて作ったスギナ茶も振る舞われました。

なお、写真の葉はタラヨウの葉っぱで、木の棒で字を書くようにしてしばらくするとその部分が黒く浮き出ます。










板野『入試現代文の法則』

2010年04月20日 | 受験
読むだけで運命が変わる入試現代文の法則 (大学JUKEN新書)
板野 博行
旺文社

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実は板野先生の本は、こちらのほうを購入してしまったんですね。中央林間の本屋さんです、840円なり。しかし帰宅後にPCでamazonの中古をみてみますと、送料込みで300円台なのです。しまった!と思ったが後の祭り。そして読み始めてみると、中身も薄っぺらだった!

すごく悪い本ではありません。だが、これはお買い損でした。こういう不注意な買い物はまずいですね。図書館で無料で借りられるならば、お勧めしてもいいものなんですがね。

現代文の語彙増強の必要性(その3)

2010年04月19日 | 英語学習
『基礎英文解釈の技術100』をやっていた。

なかには次の文章がある。

they(females) need not "unlearn" the old military style of business organization and manners in order to run their departments or companies (62番124頁)

訳は

女性は彼女たちの部門や会社を運営するために、古い軍隊式企業組織や企業慣行を「捨て去る」必要がない

である。

さて、私にはとくに難しい文章ではないと思われたが、どうも高校生にとっては英語というよりは現代文の理解が難しいらしかったのだ。というのは軍隊式の企業組織や慣行という言葉がピンと来なかったのである。なるほど!

対処法としては、やはり現代文だとか、日本史・世界史等の様々な教科を学習しておくことではないだろうか。

近代社会建設のために重大な役割を果たしてきたのは、どの国でも軍隊であり学校であった。つまり、前近代社会が近代社会へと脱皮していく過程において、血縁関係や家といった伝統社会の組織原則をunlearnする必要があったわけだが、そこでは軍隊の規律や階級といった組織原則を取り入れたのである。(あるいは、軍隊式が強要されたのである)。要するに、軍隊式組織というのは近代社会の先兵だったということである。

しかし、近代社会が新しい社会(脱近代社会?)へと変貌を遂げようとするとき、軍隊式組織運営という組織原則を投げ捨てる必要が出てくるだろう。このとき女性は、近代的組織原則に完全に没入していないので、男性よりもずっと有利な立場にあるかも知れない。

短い英文であるが、ざっとこんな内容が読みとれる。もちろん、高校生にはそこまで理解できないのが普通であろうが、現代文を知っている人ならば誰でも簡単に出来てしまうわけだ。(図にすると、下のようになるでしょう)。

時代区分 組織原則 性 

近代社会:軍隊式(上から下へ):男中心
↑     ↑         ↑
↓     ↓         ↓ 
脱近代: 脱軍隊       :脱男中心


やはり、英語とともに現代文をやらねばならないなと実感しました。


小田急江ノ島線東林間駅から徒歩3分(中央林間・相模大野から一駅)

私立中高一貫校生対象英語完全個別指導塾
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大学受験・筑駒/開成受験対策

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ボキャ本(8)ー板野 博行『語句ェ門777』

2010年04月18日 | 受験
語句ェ門777―大学入試現代文重要語句集 (ルパン三世の合格大作戦 (2))
板野 博行
アルス工房

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古文単語の『古文単語ゴロ565』で有名な板野の本である。¥ 943

はっきりいって本屋で立ち読みしただけなのでちゃんとした評価や紹介は出来ない。今回はいい加減な感想だ。

やや難しい単語について簡潔で分かりやすい説明と、四コマ漫画(!)があるというのが本書の特徴である。本当に分かりやすい説明だし読みやすいと思う。だが、これだけで解るのかなという不安もないではない。


仮の評価

国語が苦手な高校生が気軽に読める自習本だ。本屋で手に取ってみて、相性が良さそうだなとか、一気に読めそうだなと思えたら、購入して良いとおもう。伊原の本や『ことばはちからダ!』とは異なって、挫折しにくいと思う。

ボキャ本(7)ー『ことばはちからダ!』

2010年04月17日 | 受験
河合塾講師『ことばはちからダ!現代文キーワード 河合塾SERIES 』(河合出版)

牧野剛ら河合塾人気講師が協働で執筆したのが『ことばはちからダ!』である。2001年出版ということでやや古くなっているが、現在最も定評のあるボキャ本だといって良いだろう。だが、他のボキャ本とは一線を画しているので、注意して活用したい。とういのは、難しい単語の語義の説明がある本というよりは、より本格的な読み物的であり、ぱらぱらとめくりながら使えるような本ではないからである。

最初に「まえがき」「本書の使用法」がある。良い印象だ。そして、著者によると、石原千明『教養としての大学受験国語』などを引きながら、入試現代文においては「近代批判」を重視すべきだとしているようだ。私には非常に好ましく思える。だが、2010年以降の現代文(英語)の入試傾向に、近代批判という視点がいまだに相応しいのかどうなのか、慎重に再検討する時期にあることも付け加えておきたい。

本書は四章仕立てになっている。まず1章と2章をしっかりと繰り返し読み、ついで3-4章にいくようになっている。3,4章はふつうのボキャ本と似ているので、1,2章だけを読んでも良いだろう。

第一章 20語90頁

「非日常/日常」「普遍/特殊」といった言葉のやや丁寧な説明
 ↓
センター試験などの少し長い文章を、キーワードごとに読ませる


というパターンで進む。本書の最大の特徴は、語句の説明をするだけでなく、そのすぐ後に毎回ちょっと長い文章を読ませて考えさせてしまうという点である。私はこの提示の仕方は面白いと思う。キーワードについて簡略化された解説を読んで分かった気になっても、実際に評論文を読んで理解できるとは思えないからである。現代文のキーワードは、知らない単語を電子辞書で調べるような作業ではあり得ない。だから、難しい文章との格闘がどうしても必要となってくるはずなのだ。

第二章 5テーマ 50頁
 ここでは読み物として面白い解説文となっている。


評価

巷の評価だと、本書よりもZ会の『現代文キーワード読解』(2005年)のほうが難しいらしい。たぶんそうなのでしょう。しかし、本書にでてくるセンター試験の文章も、実はかなり難解なのである。しかも部分的に切り取ってきたために、どう読んでも理解できないような文章までもがあるのだ。また、不適切な解説部分もいくつか発見した。たとえば「絶対王政」が中世であるかのように描いている。ふつう、絶対王政は近世ではないか。

国語だとかゲンダイ思想に弱い高校生にとっては、一人では活用しきれないのではないのかと思うのだ。そういう意味では、弱点がある。だが、それを上まあ悪魅力のある本でもある。実を言うと、ウチの塾生には強制的に読ませることにした。もちろん私が解説するという前提で読ませるのである。もし解説つきという前提がないのであれば、長野研一のものだとか、高橋あたりを読ませただろう。また出口の本なども一部ぜひとも読ませたいと思っている。

小田急江ノ島線東林間駅から徒歩3分(中央林間・相模大野から一駅)

私立中高一貫校生対象英語完全個別指導塾
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ボキャ本(6)ー『読解を深める現代文単語』

2010年04月16日 | 受験
読解を深める現代文単語〈評論・小説〉

桐原書店

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\861 (本体 : \820)

河合塾講師によるボキャ本。2009年11月に出版されたばかりの新品ほやほやである。後ろのほうには、営業所の案内などが印刷されているので、高等学校などで採用されるのかも知れない。

本書は4つに分かれる。
① 読解のための10語 15頁くらい
② テーマ別重要語  130頁くらい
③ 重要語       70頁くらい
④ 小説語       75頁くらい

①比較的シンプルな言葉の説明だ。毎回図解があってたいへん分かりやすい。また簡単な練習問題もついている。

例 具体←→抽象、普遍←→絶対、主観←→客観、理性←→感性

② これは①と同じような調子ですすむ。
③ 説明は簡単でさくさく進められる。練習問題が豊富なので使いやすい。
④ 小説語 「さしさわり」「いさぎよい」「堰を切ったように」など
  この本のもっともユニークなのが④であろう。

評価 
 ○ ぱらぱらとめくりながら読むのにも見やすい、読みやすい
 ○ 自分の苦手なところだけをひろい読みするような活用が望ましいだろう。 
 △ 難解語の解説としては、やや物足りないとも言える。 
 × 量が多いので挫折しやすいかも

自習用の一冊としては割とお勧めではないか。
 
 小田急江ノ島線東林間駅から徒歩3分(中央林間・相模大野から一駅)

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