林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

東大英語対策:基礎的単語の意外な意味(2)

2014年10月21日 | 教養英語
英文解釈や英語長文ではどういうところに注意したらよいのかというと、実は学習者によって大いに異なります。英文法に注意しなければならないタイプもいれば、文章全体の流れに注意しなければならないタイプもいる。あるいは、長文を読む読書体力が脆弱なタイプもいるというわけです。

当塾の何人かの生徒は、英単語を読み間違えてしまうという弱点を抱えています。英単語力そのものがないというよりは、単語を読み間違えるタイプです。たとえば、carve(彫る)をcurve(曲げる)と読み間違えてしまう。こういうタイプの学習者には、その弱点に相応しい参考書・問題集があります。たとえば、小川貴宏『ライジング英語長文読解』がその一つです。この長文問題集は、おそらく著者が英語辞書学の専攻だからなのでしょう、単語解説だけは非常に詳しい。(写真参照のこと)。ちょっとあまり見ないタイプですね。しかし、英単語の誤認をしがちな学習者には非常に有り難い参考書です。英文を読んだ後に英単語の解説をざっと見直せば、自分の英文読解に致命的な誤りがあるのか否か発見することができるからです。(あるいは、本文を読む前に英単語の解説を読んでも良いでしょう)辞書引きの手間が省けるし、和訳のような時間と労力のかかる作業は不要という訳です。解答に至るプロセスについての詳しい解説は乏しく、万人にはお勧めできる参考書という訳ではないですが、中古で安く買えますし一つの選択肢だと言えます。

さて、それでは、2014年の東大入試のように、”case”という単語を訳させて、「事例」でも「実情」でも正解にさせない、そんな問題を集めた参考書なり単語帳はないものでしょうか? 盲点となる意外な語義を集めているような参考書・問題集です。今年は東大受験生が当塾にいて、そんな本を探していたのでした。よく探してみると、実は昨年(2013年)購入した本の中に、ぴったりの参考書があったのです。小貝勝俊という先生が書いた本で、本のカバーには「趣味は英単語や英熟語の真の意味を探ること。意外な単語や熟語にプラスやマイナスの意味が存在していることを見つけるのが至福の時だという」と紹介されています。ぴったりの著者だと言えそうです。

本のタイトルは『奇跡の「東大の英語ーー中学生レベルの単語でできる英語上達法』。当初の購入理由は、amazonのレビューで好評だったでからです。そして、レビューアーによれば、「東大をめざす生徒諸君よりも、ある程度英語ができる社会人たちへ向けられたもの」ということです。実は私も、そういう本のつもりで購入していました。しかし、少しだけ丁寧に読んでみれば、一度通読して終わりにするのは、あまりにもったいない本であることがわかります。タイトル通りに「中学生レベルの単語」の隠れた意味について学び、繰り返し読んだり、単語ノートに書き込んだりするのにもぴったりなのですね。そして、こういう本はあまり見かけない。要するに、この小貝先生のムック本風東大本は、社会人向きというよりは、むしろ東大受験生にとってかなり重宝な本だとも言えるのです。

いくつか例をあげましょう。

almost never (=rarely, seldom)=hardly ever (35頁)  「めったにない」
She almost never misss class.

It takes O to do. (54) 「するのにOが必要だ」
She just doesn't have what it takes to be a good journalist.

Just は「ちょうど」か? (124) 「Just = onlyがしょっちゅうでてくる」

after all の意味(134) 
「(予想に反して)結局」 I thought he was going to pass the exam, but he failed after all
「(前文の理由などを示して)なにしろ、というのは~だからだ」接続詞のforに近い意味。 Don't scold John so severely. After all he is only a child.

at homeのこれだけの意味(166)
 「家で」「国内で」「(後ろにin, onlyを伴って)~に精通して」「くつろいで

believe の意外な意味(180)
 「正しいものだと確信している」 I really don't believe that futon iis any dirtier than beds.
正しいものだとは思うが、完全に確信持てるわけではない」 I believe it will rain soon.
 
いずれも中学生レベルの単語です。しかし、正しく理解している人はどれだけいるでしょうか。ほとんどの人は、適当に誤魔化しているのではないでしょうか。そして、こういう基礎的な単語の理解を欠いていると、たとえば、2007年の東大の和訳問題(Down the hallを訳せ、downを「下に」と訳したら×)を解けないのです。

小貝勝俊『奇跡の「東大の英語」』を学び覚え、さらに英単語についてじっくり慎重に学び調べていきたいものです。事実、この本で指摘されているような意外な英単語の意味は、様々なテキストに頻繁に使われているのです。驚いたことに、中学生向けの検定英語教科書にさえ、そういった単語や語句がでてくるのです。たとえば、after all が「なにしろ~だからだ」という意味で用いられています。次回は、そういう単語がどのように出てくるのか取り上げましょう。検討する題材は、公立中学3年生向け教科書を本文とする『ぜったい音読』です。


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東大英語対策:基礎的単語の再確認の必要性(1)

2014年10月17日 | 受験

最近は、東大英語の過去問を研究している。東大の過去問を解きながら、東大の問題の研究本・参考書も収集し読み比べているのである。

東大英語には明らかな特徴がある。

一つは、あまり難しい英文・英単語が出てこない点である。早稲田や慶應の入試問題で出てくるものと比べて、明らかに容易なのだ。たとえば、東大では「民主主義で大事なのは国民の自由で平等な参加である」という公民の教科書レベルを理解できれば良い。要するに高校社会科レベルを理解していればよろしい。しかし、早稲田や慶応では、進化論に関する議論や、Wall Street Journalの記事を読み取らなければならないのである。語彙に至っては、は英検一級レベルの語彙力さえ求められていることもある。

東大英語の英文は語彙も易しい。だが、もちろんのことだが、落とし穴が用意されている。たとえば、今年(2014年)の英文和訳の問題がある。
A case can be made on the grounds of efficiency for either approach. の和訳である。 (写真参照)。この文章では "a case"を正しく訳出しなければならない。もちろん、caseは受験生の誰もが知っているだろう。ごく平易な単語のはずである。だが、普通の東大受験生が知っているcaseの語義は、次の二つ、つまり、(1)a case---ケース、事例、(2)the case---事実、実情 だけである。(『ウィズダム英和』を参照)。

どちらの語義を当てはめても、適切な和訳はできない。したがって、東大受験生は文脈から単語(この場合はcase)の意味を類推しなければならない。今回の場合は、「論拠」だとか「申し立て」といった意味があることを推し量らなければならないのである。(『ウィズダム英和・和英』を参照のこと)

東大英語では、基本単語であるにも関わらず、学習者の常識的理解を超えた意義を問う問題がよく出されるのである。

このような出題に対して、受験生はどのような対策をしたらよいのか。当然ながら一つのまっとうな方法論は、機会を見つける度に、自分では分かっていると思っている単語・語句について、辞書を丁寧に読んでおくことである。しかし、何か良い参考書はないものか。実は一冊良い学習書をみつけた。次回は、その本の紹介をしよう。

個別指導で大学受験の過去問演習(英作文対策)に取り組む話。

2014年10月11日 | 教養英語
10月は過去問演習の季節ですね。高校3年生は最後の追い込みに、高校2年生では志望校を決定したり大学受験の心構えをするために、当塾では様々な大学の過去問演習(英語)をしています。

最近どのような大学・学部の過去問に取り組んでいるかチェックしてみました。

東京大学(全学部共通)、東大模試( Z 会、代々木ゼミ)、慶応大学(法、経、商、理工、薬)、早稲田大学(理工、文、教育)、上智大学(理工)、東京理科大学(理工、薬)、東京薬科大学(薬)、北里大学(薬)、立教大学(理)、学習院大学(理)、明治大学(文)、成蹊大学(理)

以上です。

また、これは大学入試の過去問ではないのですが、英検準1級と2級の過去問も実施しました。そんなわけで、ちょっと忙しい日々が続いています。



さて過去問演習なのですが、とくにチャレンジ校や実力相応校の問題を解くときには、やはり個別指導が効果的だとつくづく感じています。1人で過去問演習をしても、問題を解いて答え合わせをしたら、それで終わりになってしまうからです。赤本や青本を読んで丁寧に復習するというのは、理屈の上からは可能ですが、現実にはちょっと大変すぎるからです。そして、中でも英作文や大意要約の問題について言えば、個別指導をしてもらわなければ厳しいですね。

当塾でも、英作文が全然駄目だったというか、不可解というか、出題者に喧嘩をうっているというか、とにかくヘンテコな英文ばかりを書いてしまう生徒がいました。しかも、本人には自分の書いた文章のどこが悪いのか全然分らない。つまり、自分がおかしな英文を書いていると自覚すらないという状況です。そんなわけですから、一時期はお互いにかなり苦労しまいました。私はといえば、厳しく駄目出しをしました。ですから、個別指導の授業に出てこられないと言う時もありまし、辛くて泣きたくなった時期もあったはずです。しかし、今だからブログに書けるのですが、2-3ヶ月間くらいの厳しい時期を経て、今では簡潔で明瞭な英文を書けるようになりました。

実をいうと、明日が試験日なのです。英検準1級の一次試験です。英検の英作文は80%以上、いやおそらくは90%は得点できるでしょう。英検もきっと高得点で合格できるでしょう。今日の個別指導で英検対策の最終チェックをし、そう確信しました。当塾に通う、大学附属高校の3年生です。


大学の過去問対策にまつわる話については、次回以降に書きます。乞うご期待ください。

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