林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

iPod でお勉強 (その12)--Podcastで大学入試対策あるいは科学英語に親しむ

2009年11月29日 | 英語学習
大学入試に役立つPodcast

中学入試の国語問題をちょっと見てみると非常に多いのが動物生態学や植物生態学などの生態学関係の文章(説明文)である。受験生と指導者は、関連分野の本に親しんでいる必要があるだろう。

では大学入試の英語はどのようなものが多いのかといえば、環境問題であり、言語論であり、脳科学である。(写真は河合塾『やっておきた英語長文500』である)。

私が先日受験生と一緒に解いた問題でいえば、2009年度の早稲田大学スポーツ科学部ではレイチェル・カーソン(『沈黙の春』で有名な環境問題啓蒙家であるが、中学の英語教科書にも取り上げられている)だったり、2009年度の明治学院大学の問題は脳科学的テーマであった。

となると、早慶上智や難関国立大学志望者ならば、いくつかのpodcastはぜひとも聴いて見ておきたい。(中堅大学志望者の場合は無理に挑戦する必要はない)。かなり面白そうだと思った番組を紹介しよう。

Scientific Americanには長くておもしろいものがある。最近では進化論とダーウィンがとても良い。たとえば、2009年の10月24日の"Lucy and Neanderthais"11月14日の"II Recent Evolution; and Becoming Human"だ。それから、オリバーサックス、V・S・ラマチャンドラン、ピンカーといった英才たちの番組も良かったら、聴いてもらいたい。だが、ふつうは、ちょっと勧めにくい。長くて難しいからだ。

私がおもしろがっているのではダメなので、高校生にも取っつきやすいものはといえば、Scientific AmericanNational Geographic Daily Newsである。「短い」のである。科学英語に関心のある人も、ぜひ聴いてもらいたい。

まずはScientific Americanの「一分間心理学」である。一分間というくらいで短いからだ。最近のお勧めは、2009/11/17の“The Roots Of Language”(1分40秒)だ。言語の起源をチンパンジーのジェスチャー行為に求めるものだが、ジェスチャーしているときには右半身がよく動くのだそうだ。すなわち、左脳=右半身に言語的なものが関わっているのだという。どこかの大学入試に用いられるのではないかとひそかに思っている。

Scientific American

60-Second Psych 11/17/09

The Roots Of Language

あるいは、iTunesのある人は次をチェックしてみてください:
http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=262750202

もう一つは、やっぱりNational Geographic

National Geographic Daily Newsというのが良い。 Stiticher Radioというのを聴いてみると、2009/11/21 ”Where Is Water on Moon From?Volcanoes, Sun … Earth?”(4分46秒)For many, 2009 will be remembered as the year water on the moon was confirmed beyond any reasonable doubt.というのが面白かった。

それから”Evolution vs. Intelligent Design: 6 Bones of Contention”(2009/11/26、2分35秒)
On the Origin of Species;the theory that new species can arise from old ones through natural selection is still met with some resistance. である。

iTunesのある人は次をチェックしてください。

http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=321190935

ダーウィンのような進化論では「目」 のようなデザインは不可能ではないかとか、そういった反論があるという話だ。ダーウィンの進化論は、フロイトやマルクスと違って今でも大いなる論争の的みたいですね。(興味のある人は、長いバージョンであるがScientific Americanのダーウィン特集を聴いてもらいたい。たとえば、"Darwin's Influence on Modern Thought"(2009/11/25)にはじまって沢山の番組がある)

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以前も書きましたが、まだ若干空き時間がありますので、英語の過去問特訓を希望している方は、電話(042-749-2404)等でご連絡ください。なお、当塾には受付係はおりませんので5:30ー8:30の時間帯はお避けて下さい。

iPod touchでお勉強(その11):外部辞書機能を活用する

2009年11月28日 | 英語学習
ipod touchを購入後、いろいろな辞書を無料、有料に関わらず購入してインストールしました。その中でちょっと面白いと思ったのは、同じ単語について相互に参照し合うことができる機能がある英語辞書があることです。今回は、いわゆる外部辞書について紹介しましょう。

無料の英語辞書のWordWebだとか、有料ではODEOxford Dictionary of English)をインストールすると、外部辞書の機能がついています。写真はODEの外部辞書機能設定の画面です。Offline ReferencesとOnline Referencesとがあるのが分かります。

まずはOfflineの方から見ていきます。ここに載っているWordwebやDictionary.comはいずれも無料で入手可能ですが、Offline(つまり無線LAN回線がない状況)で利用可能な辞書です。そのほかにも特定の有料辞書(The New Oxford American Dictionary等)とリンクすることができます。

もちろん、Wordweb(無料辞書)の辞書からもリンクできます。(たとえば、WordwebとODEとはリンクされています)。

リンクされていると、同じ単語をわざわざ再入力したり、外部辞書をたちあげなくても、その単語を直接調べることが出来るわけです。


ついでOnline辞書ですね。ここが今回のテーマです。

ONline辞書の場合は、無線LAN状態でないと使えないという欠点があります。しかし、任意の辞書を自由に設定できるのです。つまり、日本語話者にとって嬉しいことに、日本語のオンライン辞書とリンクできるということです。私はさっそくon欄の英辞郎とリンクさせました。

X-refのeditのところを押して、次のように打ち込みます。

eow.alc.co.jp/@@/UTF-8

これで、私のODEは英辞郎もすぐにつかえるようになりました。

過去問特訓中および過去問特訓志望者募集

2009年11月25日 | 英語学習
11月になると本格的に過去問特訓が始まります。

当塾のS君はGMARCH希望なのですが、10月ー11月にかけてまずは成城・成蹊・明学の英語の過去問特訓を実施しています。成城、成蹊は今のところ軽くクリアーし、今は明治学院大学です。

明治学院はヘボン式ローマ字だとか、伝説の英語教師・松本亨など英語関係では有名な大学ですが、実は英語の問題ががかなり難しい。英文的には、一流大学の教養課程のゼミ教材として使えそうな、本格的な文章が並びます。つまり英語の中身が高校生までのものではなく、大学で初めて習う理論水準のものなのです。たとえば、オックスフォード大学出版のVery Short Introductionsシリーズのようなものを読ませるのです。(このシリーズは、私も読みましたが、非常に平易な英語を用いています。早慶以上の大学を志望する高校生は、ぜひ何冊が読んでおくことを勧めます)。

また、英文法の問題がTOEICみたいなスタイルでふつうの受験生には苦しいでしょう。というわけで、今日はたっぷり時間をかけて明治学院の復習をしたのでした。



実力的に楽勝校の問題は自力でも復習できますが、実力相応校やチャレンジ校の問題は解いても解きっぱなしになってしまいます。よって個別指導は非常に有効なのです。

なお、早い時間と(午後4時くらいまで)、夜遅くには、少し空いている時間がありますので、大学入試英語の過去問特訓を希望する人はHPから電話またはメールでご気軽にご連絡ください。短期でも1対1の過去問指導をいたします。


相模原市立鶴の台小学校校長先生の記事

2009年11月18日 | 文房具と読書


先日の読売新聞(2009年11月15日、日曜日)には、私どもの地元の小学校である相模原市立鶴の台小学校校長の金山光一先生の文章と顔写真が掲載されていました。新聞の中ごろ20面に、写真の記事がありました。

テーマは、新聞記事について、小学校高学年の総合学習で扱うというものです。とりわけ、凶悪犯罪などについて紹介し、死刑の是非をディベイトさせるというものとなっています。

小学校高学年でもまだまだ非常に難しい課題のようにも思えますが、いろいろと取り組みがなされているのですね。

非常勤で大学でも教えていると言うことですが、ネット検索で調べてみると早稲田大学で「特別活動論」を土曜日に講義されているようです。

なお、この記事は、家庭・教育欄でも、神奈川県ローカルの情報でもなさそうですね。おそらくは、裁判員制度の普及活動とも関係ある紙面でしょう。

西きょうじの誤訳? または双子受胎の謎

2009年11月16日 | 英語学習
西きょうじは大変優れた英語の参考書を何冊も書いている。『英文速読のナビゲーター』(研究社)もその一つだ。だが、よくよくみると誤訳かもしれない!?ものを発見!したので、ちょっと書いておきます。

全3編のうちの第2編Chapter2 「双子をつくるには」です。40頁ないしは、別冊で6頁の所です。

"It could be argued against this that it is differences in climate rather than in racial factors that cause the cultural variations but the evidence is against this.”

これは仮主語itの構文と、強調構文(分裂文)とが埋め込まれている大変難しい文章なのです。西は次のように訳しています。

「文化的差異を生じさせるのは、人種的要員の差異よりはむしろ気候の差異であると論じることができるだろうが、これに反する証拠がある」(42頁、別冊では9および13頁)。

有名英語講師の西先生の本ですから、もちろん構文読解等のミスはありません。しかし、「文化的差異」すなわち"the cultural variations”については、うーん、ちょっと異議ありです。

"the cultural variations”というのは前の文章を読んでみると、欧州、アメリカ合州国、日本、アフリカ等における双子の出生率の差異のことを指しているようです。したがってこの文章では、双子の出生率の差異をもたらしたのは、気候ではなく人種の違いであるということが述べられているわけです。

さて、ここで問題です。双子の出生率の差異を文化の違いと表現している点です。「文化」とか"culture"というのは、そういった生物学的な領域まで射程に入れていないはずだからです。(大学でこういった分野を研究するならば、すくなくとも文化人類学や人口学(社会学)は絶対に勧めない。むしろ医学部あるいは理学部の人類学(人類生態学とか)であろう。なお東大付属中等教育学校は双子を優先的に受け入れる学校として知られていますが、双子の産み方はおそらく絶対に研究していません!)。

私もcultureを様々な辞書で調べてみました。というのは、Cultureのオランダ語(たしかKulturだったか。正確には覚えていない)には「栽培」という意味があることを知っていたからです。(旧オランダ領インドの「強制栽培制度」は英語では"culture system"という)。

英語のcultureには、やはり、植物の「栽培」という意味がありました。さらには、バクテリア等の「培養」という意味も! 受精卵の形成の状況において、それが双子へと成長していくのか否かというテーマならば、むしろ、この「培養」の語義を採るべきではないでしょうか? ああ、しかし、人間の出産がテーマなのにバクテリア?! (←どの辞書を引いてもバクテリアの事例しか載っていなかった)


結論的に"the cultural variations”の訳は、「双子培養(OR 受胎)率の差異」ということなのか? 正直に言って私はそれほど自信があるわけではありません。ただ、こちらのほうが理屈は通っています。暫定的にこの説を採ることにしましょう。

もし、ヨーロッパとアフリカとは双子の出生率が異なるよ、「クニが異なると双子の出生率も異なるんだよ」みたいな軽い感覚で書き手(≠西きょうじ)が書いたのだとしたら、気持ちは分かります。しかし、それならば、"the cultural variations"ではなく、"the geographical variations"「地理的差異」と表現すべきだったでしょう。またそのほうが、本文中の「双子・熱帯気候説」ともよく馴染むはずです。(←西も、そういう解説をすべきだったのだ)


残念ながら、この文章のオリジナルテキストはネットでは検索できませんでした。たぶん理系エッセイストだと思うのですが。。。真意は不明のままです。

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長々とあんまり面白くないテーマについて書いてしまいました。でも英文解釈をしていると、一つひとつの言葉の意味で躓いたり困ったりするのです。その記録まで。(誰か分かる人がいたら教えてください)

関山先生の学習英和案内(小学館HPより)

2009年11月12日 | 英語学習
関山先生ーー面識は全くありませんがーーは沖縄大学の英語の先生で『辞書からはじめる英語学習』等の著書もありますが、ネット上で電子辞書の紹介など非常に有益な情報を発信しつづけている人です。今回は、小学館ランゲージワールドにある「学習英和辞書の選び方」 について紹介しましょう。(前回は三省堂に書いている文章でしたので三省堂の辞書を中心に推し、今回の文章では小学館の辞書を推すという形になっているようです)。

詳しくは直接に飛んでもらえばよいのですが、ここでは関山先生の載せた図のコンセプトを簡単に説明しましょう。

インターネットで掲示板などをみると、英語がほとんど出来ないと思われる方が、「中学入学から大学入試までずっと使える英語の辞書が一冊欲しいのですが」と相談を持ちかけたりする事があります。しかし、初心者から中・上級者まで一冊の辞書で済まそうというのは無理な話であって、学習段階に応じて使い分けなくてはなりません。また、上級になればなるほど辞書は複数必要になってくるはずです。

同様に、普通にちょっと優秀なくらいの高校1年生や中高一貫校生徒の中三生くらいに対して、『ジーニアス英和』の類を使わせたり、勧めてはいけないということになります。(本当にスゴークく優秀な中高一貫校の生徒さんとかは別ですよ、念のため)。

要するに、英語学習者の学力状況に応じた適切な辞書を選ぶべきだということになるわけです。



関山先生のレベル分けを私なりに活用すると、たとえば、次のようになります。(関山先生と私とでは多少考え方が違いますが、基本は同じです)。

レベル1ー2 『初級クラウン英和辞典』『ジュニアプログレッシブ英和辞典』など
    ただし普通の中学生ならば、辞書は敢えて購入する必要はありません。
    (私の塾では御三家レベルの中学1.2年生にのみ勧めます)

レベル2ー3 『アクセスアンカー』『ニューヴィクトリーアンカー』(学研) 『ライトハウス』(研究社)『グランドセンチュリー』(三省堂)等。『ジーニアス』(大修館)系が良い人ならば、『ベーシック・ジーニアス』か『プラクティカル ジーニアス』。『プログレス』(小学館)系統ーー『ジーニアス』以前には最高峰だった。また、マイクロソフトのCDーROM辞書でも私はお世話になったーーならば『ユースプログレッシブ』でしょう

関山先生はレベル2とレベル3を分けていますが、私は敢えて分けませんでした。一つには、レベル2段階ではまだあまり英和辞典は必要ないからです。レベル1の辞書も活用できるでしょうし、レベル3の辞書を購入してみるのも良いのではないでしょうか。ただし、学力的目安としては、中堅進学校(たとえば県立厚木高校、逗子開成、桐光学園等)以上あることが前提です。

レベル4 『ウィズダム』『ジーニアス』等々選り取り見取りです。同時に『ロングマン現代英英辞典』のような英英辞典も併用します。

高校上級以上のやや難しい辞書です。センター試験ならば最低8割以上、MARCHレベルはらくらく合格点に達して早慶上智ICUを狙える生徒、英検準1級レベル合格が射程に入った人、原書や英字新聞を読み始めるようになる段階です。(もっともこの段階でも、より易しい辞書が便利だったりします)。

グランドセンチュリー英和辞典と三省堂のHP

2009年11月10日 | 英語学習
以前、三省堂の『グランドセンチュリー英和辞典』の紹介をしましたが、この度、第3版が発売されることになりました。三省堂の紹介文をみてください。中学上級から高校初級段階(または英検2級レベル前後)には最も推薦できる辞書の一つです。

高校上級レベル(早慶上智ICU、または難関国公立大学志望)、または英検2級を楽々越える実力で準1級をねらえるような段階まで英語力がつけば『ウィズダム英和』(三省堂)のような辞書の購入が望ましいといえます。しかし、それまでは『グランドセンチュリー』等のほうが使いやすいはずです。

なお英検準2級レベルまでは、さらに易しい辞書(三省堂で言えば『エースクラウン英和辞典』です。またこれよりはやや難しいですが、私どもは学研の『アンカー英和辞典』(http://www.bk1.jp/review/474973)なども推薦しています)を利用して下さい。

ところで、三省堂なのですが 三省堂ワードワイズ・ウェブというのがたいへん有益で面白い記事が多いので、紹介します。とりわけ関山先生の辞書に関する連載は注目に値します。辞書選択で迷ったときの必読文献だといえます。

また、増井俊之先生の「勉強工学」では「iPodで勉強」というテーマも取り上げられていましたので、興味のある人はご覧ください。

インターネットと『基礎英文解釈の技術100』(その2)

2009年11月08日 | 受験
『基礎英文解釈の技術100』を読んでいてもう一つ分かりにくいなと思ったのが、「24先行詞の直前のthat/thoseは和訳不要」(48-49)でした。下の青のイタリックのところです。

In those European countries that Americans are most likely to visit, friendship is quite sharply distinguished from other, more casual relations, and is differently related to family life.

そこで、この文章をネットで検索すると、有名な文化人類学者マーガレット・ミード他の"On friendship" という文章であることがすぐに判明しました。アメリカ文化とヨーロッパとの文化の違いを論じたエッセイです。なるほど、です。しかし、残念ながら、疑問はすっきりとは解消しませんでした。

こういうことも、あります。

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On Friendship

By Margaret Mead and Rhoda Metraux

Few Americans stay put for a lifetime. We move from town to city to suburb, from high school to college in a different state, from a job in one region to a better job elsewhere, from the home where we raise our children to the home where we plan to live in retirement. With each move we are forever making new friends, who become pan of our new life at that time.

For many of us the summer is a special time for forming new friendships. Today millions of Americans vacation abroad and they go not only to see new sights but also—in those places where they do not feel too strange—with the hope of meeting new people. No one really expects a vacation trip to produce a close friend. But surely the beginning of a friendship is possible? Surely in every country people value friendship?

They do. The difficulty when strangers from two countries meet is not a lack of appreciation of friendship, but different expectations about what constitutes friendship and how it comes into being. In those European countries that Americans are most likely to visit, friendship is quite sharply distinguished from other, more casual relations, and is differently related to family life. For a Frenchman, a German or an Englishman friendship is usually more particularized and carries a heavier burden of commitment.

But as we use the word, "friend" can be applied to a wide range of relationships—to someone one has known for a few weeks in a new place, to a close business associate, to a childhood playmate, to a man or woman, to a trusted confidant. There are real differences among these relations for Americans—a friendship may be superficial, casual, situational or deep and enduring. But to a European, who sees only our surface behavior, the differences are not clear.


以下略

Source:
Mead, M. and Metraux, R. (1996) On Friendship. In Gillie, J., Ingle, S. and Mumford, H. (eds) Read to Write. Singapore: McGraw-Hill



ネットの力と『基礎英文100の技術』

2009年11月07日 | 英語学習
私の塾では、2009年においては、高校生用の英文解釈のテキストの一部として、 桑原信淑ほかの『基礎英文解釈の技術100』と、宇佐美光昭『必修英文問題精講』を採用しています。以前は、伊藤和夫の『ビジュアル』を使っていたのですが、頁の見開きの使い勝手が悪い、詳しい割にはわかりにくいし端折ることができない、CDがついていないので復習に適さない等の理由で、もう使うことはないでしょう。

つまり、『基礎英文解釈100の技術』と『必修英文問題』は、どちらもCD付きでリーズナブルな価格、復習しやすく見やすい英文解釈の参考書なのです。違いは前者のほうが文章が短いこと、しかし、英文の難易度がときどき高いという事です。したがって、普通の進学校に通う高校生で、もし指導者がいないのであれば、宇佐美の『必修英文問題』を選択したほうが無難でしょう。(その場合、『必修英文』を卒業してから、西きょうじ『ポレポレ』かキムタツ『熱血教師キムタツの東大英語基礎力マスター』へと進むのも一つの方法論です)。逆に言えば、塾の教材としては、どちらかといえば、『基礎100の技術』のほうが使いやすいという印象を受けました。

『基礎100の技術』の難しさなのですが、構文的な難しさというよりは、英文の言いたいことを理解するのに、ときどき苦労させられるのです。たとえば、私たちも苦労したのが、「14 補語になる名詞節のつかみ方」(28-29頁)でした。抜き書きします。

Reading and learning ability depend on something more definite than broad, general knowledge. To a significant degree, learning and reading depend on specific broad knowledge. The reason for this is that reading is not just a technical skill but also an act of communication.

どこが分かりにくいのかというと、definite(knowledge) vs broad general
および、specific broad knowledge の箇所です。どうもbroadという単語があるが故に意味が掴みにくかったのです。broadがどういう役割をはたしているのか、今ひとつはっきりしない。broadにはcomprehensive, unspecific, generalという意味もがあるから、何を言いたいのか自信が持てなくなってきます。いったい specific broad knowlegeに依存するというのは、どういう意味なのか?

憶測では嫌ですからネットで検索しました。すると、Googleの力はスゴイですね。本の著者とタイトルがわかりました。Ed. Hirsch Jr. Cultural Literacy です。(もしかしたら、この本はうちにあったかもしれない。。。)ページ数はxivだとも分かってしまいます。そして、文章を文脈に照らし合わせることができます。また、原文では, broad, general knowledgeというのは、broad unspecified knowledgeだとも判明しました。

結論から言えば、

specific, definite knowledge <---> unspecified, general knowledge 

という二項対立で、左のほうが読書が学習において重要であるという議論であるということです。つまり、この文章のbroadというのは、二項対立のgeneralという意味ではなく、むしろ強調的に用いれられたのです。授業でいえば、「broadは括弧に入れてちょっと無視しておいてください」というべきところです。

ネットで検索できて、教える方はちょっと安心でした。独学の高校生ならば、飛ばしてしまっても良い箇所かも知れませんね。(続く)

11月からは、1対1で過去問特訓です

2009年11月04日 | 受験
11月になると受験も最終段階に入ってきます。

本格的に過去問に取り組み始めるのはこの時期からというのが多いのではないでしょうか。もちろん学力的に十分余裕がある場合は、9月からとか、あるいは4月から始めても良いのですが。

余裕をもって目標校に望めるような人はごく少数です。たいていの場合、目標校は模試だとCーD判定で挑戦するのですから、当然でしょう。けれども問題は、過去問(青本・赤本等)をうまく使いこなせないということなのです。

挑戦校だから問題が難しい。当たり前です。もちろん問題を解いてみることは出来ます。が、復習が出来ないのです。答を見ながら採点することは一人でもできるのですが、よく理解できないままで終わってしまうわけです。

1対1の個別ゼミの最大の強みは、過去問指導にあるのではないでしょうか。ひとり一人の能力にあわせ、実力にあった大学の過去問からはじめることができるからです。また、間違えた箇所だけを講師に丁寧に見てもらえばよいので、とても効率的です。易しすぎる大学、あるいは、難しすぎる大学の過去問を解いたりすのは時間の無駄だからです。また、仮に適度なレベルの大学だとしても正解箇所まで講師に全部見てもらうのは、やはり時間と金の無駄使いだからです。

ウチに来ているS君は、10月段階で成蹊・成城レベルの問題は8-9割できるようになりました。12月からはGMARCHと早稲田の易しい学部の問題を、何十年分もこなしていることになるだろうと思います。

英語の初級、中級、上級

2009年11月03日 | 英語学習
中級英語と言ってもどのレベルなのか、曖昧ですよね。だから、このブログにおける中級英語の定義を書いておきます。

◎中学校レベルまでは英語入門レベルです。
◎高校以降を初級、中級、上級と分けます。(日栄社の問題集の初級、中級、上級が一つの基準となります)。

「初級」の課題 Forest』の基本的英文法を一応マスターすることが最大の課題となります。(この段階を終えて語彙をしっかりと学べば、英検2級にも挑戦できるようになります)。長文では安河内の『ハイパー英文1』くらいとなります。

「中級」の課題 センター試験の英語の問題で150ー160点(ほぼ8割)くらい取れるレベルになることが大きな課題です。もちろん英検2級に合格できるレベルです。大学入試といえば、日大や神奈川大学のような中堅大学にもう少しで合格できるような水準ではないかと思います。

この段階では長文読解を中心に、語彙、文法のさらなる強化をします。西きょうじの『基本はここだ』からはじめて、宇佐見『必修英文』、桑原・ 杉野隆『基礎100の技術』、『西英文読解講義の実況中継』、『河合の300』日栄社の問題集でいえばもちろん中級、安河内ならば『ハイパー英文2』です。語彙としては、『西きょうじの英文読解+英単語』、『キクタンリーディングBasic』『ユメタン1』など。


「上級」の課題 私大でいえば、MARCHや早慶合格が射程にあるレベルです。日栄社の上級問題集、安河内の『ハイパー英文3』も大いに役に立ちます。また、赤本などを通して大学入試の過去問にどんどん取り組める段階でもあります。英検準一級合格くらいのレベルにとなると、早慶上智は堅いでしょう。

iPodでお勉強(その10)ーー日本史と世界史

2009年11月02日 | 文房具と読書
iPodを活用してお勉強となれば、やはり歴史のことを忘れてはならないはずです。自分で自分で朗読しても良いですが、無料または有料のソフトを活用してはいかがでしょうか。

次のブログは非常に参考になります。
きょうの通勤「日本史」体験:石器時代から鎌倉幕府の滅亡まで

iPodで日本史学習について次のような感想が書かれています。
「音楽が入っているわけでもなく、Q&Aコーナーとか、コラムがあったり、寸劇があったりとかもなく、ひたすら朗読するだけなのですが、さすがに事実が詰め込まれており、しかも流れを感じさせるつくりになっています。ナレーションは何人かで分担しているようですね」

「きょうは会社の行き帰りにいつもの自転車を使わず、歩き+電車という組み合わせで行ったので、合計3時間くらいを「iPodで聞く教科書」に充てることができました。時代でいくと、石器時代、縄文・弥生から古墳時代、奈良、平安といって鎌倉幕府の滅亡あたりまで一気に聞くことができたのです」

このブログの紹介のなかで一番興味深く思えたのが、
 『日本史史料Podcast』です。なにしろ有名な石川晶康先生の音声資料が無料なのですからね。

石川先生の本は、たとえば、次のようなモノがあります。
『NEW石川日本史B講義の実況中継 4 高校日本史:近現代 The live lecture series CD解説問題集』 http://www.bk1.jp/product/02686038



それから、ことのは出版では三省堂の教科書朗読があります。http://www.kotonoha.co.jp/topics/2006/2006_11_14a.html#

世界史B 朗読時間 約14時間(予価3300円)
※各章分冊版も発売。各集 約2時間(予価700円)

日本史B 朗読時間 約12時間(予価3300円)
※各章分冊版も発売。各集 約2時間(予価700円)

政治・経済 朗読時間 約7時間(予価3300円)
※各章分冊版も発売。各集 約1時間(予価700円)

桜井章一『精神力』

2009年11月01日 | 文房具と読書
ネット友達のブログを読んだら桜井章一の『精神力』 を褒めてあったので、bk1で購入してみた。20年間無敗の雀士の人生相談本である。まだ一部しか読んでいないが、面白いと思った。 http://www.bk1.jp/product/03160805

「人生に勝てとは言わない。勝つことが善で、負けることが悪とは思わない。たとえ負けても、強く生きているかが問題なんだ。困難や不安定を楽しめる、強さを持っているか強調したいのだ」(14頁)

「野球のピッチャーにたとえた話がある『相手の打ちやすい、いい球を胸もとに力いっぱい投げろ』これでは相手が大打者であればあるほど負けてしまうと考えるだろうが、負けて本望ではないか、と私は思う」

「つまり雀鬼会は”勝つこと”目的としていない。勝負の結果より内容を重視している(中略)「内容がなくて勝つ」より「内容があって負ける」ほうがずっと価値がある、立派なことだ私は教えているんだから」


面白い考え方じゃないか。

ところで、僕はパソコン将棋を楽しむ。bonanzaという無料ソフトだが、やたらに強い。県大会代表選手なんかも負けてしまうらしい。アマチュア段位で4-5段くらいなのだろう。よって、僕などではなかなか勝てない。

だが、たまには勝てる時がある。どうすれば勝てるのかといえば、パソコン相手に乱戦を挑むときだ。つまり、美濃囲いや穴熊、あるいは矢倉に王様をしっかりと固めて、安全に有利に勝ちに持っていこうなどとセコイことを考えていると絶対に負ける。ゆっくり王様を囲う将棋はチャート式参考書に書いてあるように、ワンパターンだから途中まではラクチンなんだが、どうやらそういう考えがいけないみたいだ。というのは、相懸かりだとか対振り飛車棒銀作戦で、いざ勝負とすると、たまにだが勝てる時があるからだ。もちろん、乱戦狙いだから一手一手が真剣勝負なわけで、大変疲れる。だが、こちらが捨て身で勝負を臨む覚悟があるならば、勝利する可能性も開かれてくるというわけである。

崖っぷちを楽しむ勝負を楽しむようにしなさい、そうすれば勝てるかも知れないし、人生も面白いよと桜井章一は言っているじゃないのかな。

と、こんな話を塾生にしてみた。彼には、なんとか早稲田に合格してもらいたいからだ。そして、たくさん過去問演習をやらせる。仮に落ちたとしても、早稲田の過去問を10年分でもしっかりと解いたならば、内容のある勝負になるはずだからだ。