ぞな通信

四国・松山生まれ、在米25年、Zonaの日常生活。

慎重すぎるのも度が過ぎます

2007-04-28 23:55:19 | Weblog
日本に住む知人の妹さんが交通事故にあった。
そして整形外科に行き、X線をとり、各種検査で妊娠していた事が判明した。
まだ妊娠して間もなく、first trimesterであった。
彼女を診た医師は、X線を撮ったから堕胎するように言い、彼女はそれに従った。

これって・・・・・
ありえないでしょ!!!!!!

日本の医師は皆が皆そうなのだろうか・・・。

多分たまたま彼女を診た医師がそうなんだと思うが、これは犯罪ではなかろうか。

いや、間違いなく同じ事を米国でした場合、その医師は訴訟を起こされるのは間違いないし、そういう指導を行うこと自体ありえない。
なぜなら少量のX線をfirst trimesterにあびたことよりも、堕胎の方が何千倍も大罪であるからだ。

麻酔に関しても同じ印象を持ったけれど、X線撮影に関しても、なんだか核爆弾のような捉え方をしているような気がしてならないのだ。
X線を撮ったからといって100%奇形児が産まれるという確かな統計は実際ない。
本当に本当に誰も知らない小さな小さな確率でしかない。
誤って撮ってしまったとか、骨盤や幼児を位置を確かめる時に、かなり稀だが撮ることだってあるのだ。

今回の場合は、ご本人も自分の妊娠を知らなかったから不運も重なったが、それでもわざわざ医師が「堕胎しなさい」というのは初めて聞いた話だった。
それなら医学が進んだ今、ぎりぎりまで待って、3D検査をするとか、羊水検査するとか、堕胎が可能な時期まで待ってもな~んの危害はないではないか。

このことは麻酔使用の日米格差を思い出させた。

日本の出産時の麻酔使用が極端に少ないのは、麻酔科医の人口が圧倒的に少ないというのもあるだろうし、「痛がってあたりまえ」「痛がって一人前」という観念が患者にも医師にもあるからだろう。
でも、痛がらなくてもいい方法があるのなら、そっちを選んでもいいんでないの?
だって本当につらいんだもん。

男の産婦人科の先生で「痛いのは当たり前だ!」なんて言う先生がいるんだったら、その先生の肛門からバスケットボールを入れてみたい。
どれだけ痛いか実感できるだろうし、それに伴う体力と気力の消耗は本人にしかわからないんだから。

麻酔の話に戻るが、アメリカの場合、おそらく欧米人が痛みに弱いということもあって、麻酔技術が発達したんだろうし、麻酔技術が使用出来る人もとても多い。
麻酔科医だけでなく、麻酔専門のnurse practitioner(修士号を持ち麻酔を投薬できる看護師)もたくさんいる。
今では麻酔科医よりも病院側からすると医師より雇用費がかからず、同等の仕事をじゃんじゃんこなしてくれるnurse practitionerの方がずっと多く、(看護師からすると)給料もいいため、男性の看護師がたくさんこの道に進んでいる。
ちなみに男性が多いのは、麻酔を使うのは化学と生理学と計算が強くないと投与ができないから、この手の頭は男性が多くなるという理由だけである。
それで、ちゃんと病院も成り立っているのだ。

日本はどうしても医学のヒエラルキーが崩されないままで今に至っているので、産婦人科医が少ないとか、麻酔科医が少ないとか、歪みがどんどん大きくなって来ている。

人間は正しいシステムの中で正しいトレーニングを行えば、ちゃんと出来る生き物だ。
まともな道徳観を持ち、高度な技術を持った人間、それが医師でも技術者でもいい。そういう柔軟な環境に変える必要があるんでないか?


まあ、職業の変更が年齢や人種に関係なく比較的自由にできるアメリカに住む人間が、それが出来ない日本の社会にもの申すこと自体矛盾であろうが、実践している国があるということだけはお知らせしたかった。