手術は明後日だった。
明日と思っていたのは俺の勘違いで
先生の説明書にもそう記されていた。
相変わらずこんな時でもドジを踏む。
入院して5日目の手術となる。
どうも訪問診療の先生から聞いていたのと
少し食い違っている。
入院してから長くても1週間くらいで
退院できる(だろう)と言われていた。
それが倍の2週間になりそうだ。
☆ 入院前に、ようやく熱も下がり、
口からの食事も
少しずつ、回復してきて、
これからやってやるぞ、というときの
入院だった。
病院では栄養剤を点滴され、
口からの食事はされていない。
今日で3日目なのに、
もう、すっかり長期入院の
患者さんみたいになっている。
家では痰や唾液が溜まって苦しそうにすると
すぐ吸引したりして処置したが、
ここではそうはならない。
吸引や体位交換も決められたサイクルで
各部屋を順番にやって来る。
面会に行ったとき、
唾液が口の中で泡みたいになっていた。
苦しそうだった。
看護師さんを呼んで吸引してもらった。
事情を説明し、配慮をお願いした。
同じ病棟に30人近くの患者さんがいる。
妻はその中の一人に過ぎない、
それが病院というものだ。
早く退院して口からの食事を再開したい。
入院が長くなればなるほど
妻はそれを忘れてしまう。
飲み込むということを
忘れないうちに挑戦したい。
☆ 各部屋ともドアは開けっ放しだ。
酸素吸入の方、点滴されて眠っている方。
排泄物を処理しているんだろう、
ということがわかる。
妻も同じ患者なのに、
こういう入院は初めてなので
どうにも、
切ない、暗い気分になる。
建物の古さがいっそう
そうさせる・・。
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