ひろむしの知りたがり日記

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アルマス─荒れ地という名の楽園

2012年01月30日 | 日記
生きているうちに一度は行ってみたい場所に、アルマスがあります。

アルマスはフランス語で「荒れ地」という意味で、虫の詩人ファーブル(Jean Henri Fabre 1823-1915)が、55歳の時から住んだフランス・ヴォクリューズ県のセリニャン村にある土地をこう呼びました。
ファーブルはこの荒れ地を、緑あふれる昆虫の楽園に変えたのです。

弟子のルグロが書いた伝記『ファーブル伝』*にこうあります。

「これはひろびろとした自然のままの公園で、強烈な成長力を持った草木の群れが、石ころだけの土をいたるところで食いやぶっている。この草や潅木の混沌たる集まりは、数キロ四方に住んでいる無数の昆虫をここ一ヵ所へおびきよせるために、ぜんぶ人間の手で作りだしたものだ。」

ファーブルはこの庭で思う存分昆虫観察に取り組み、不朽の名著『昆虫記』全10巻を書き上げました。
今では、このアルマスの家はファーブル博物館として一般公開されています。
屋内には彼の研究室が保存され、実験台や著作に勤しんだ机などが置かれて生前の様子を再現しています。また昆虫だけでなく鳥の剥製や貝殻・魚・化石・鉱物など、ファーブルが集めたさまざまな標本が展示されています。

小学生の頃、子ども向けに書かれた『昆虫記』のダイジェスト版を読んで以来すっかり虫の魅力に取りつかれ、自身も昆虫採集の道具を抱えて近所の野原や林を駆け回りました。
言ってみれば、アルマス行きは僕にとって“聖地巡礼”のようなものです。

いつかきっと、ファーブルの足跡を訪ねて、フランスの地へ旅したいと思います。


*G.V.ルグロ著、平岡昇・野沢協訳『ファーブル伝』講談社、1979年


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