冬も過ぎて春になると、百姓は忙しくなってきます。冬は東京や地方の工事に出ている人も、□□□になると、おかぼをまいたり、蚕も出たりしてくると気候も暖かくなってくる。つぎからつぎえと仕事におわれて、だるい体をがまんして、一生懸命に働く人々の姿を見ると容易ではなさそうですが、自分でいざやって見ると、ほかの人がやっているのを見たより割合楽です。これから暑い暑中を麦刈りをしたり、田植をするとなると、どうも旨がつまって去年のことが浮かんできます。今年は一生懸命働くぞと自分に誓って、日一日を楽しく暮らすのです。
菅谷青年団鎌形支部文化部『心の集い』第8号 1960年
菅谷青年団鎌形支部文化部『心の集い』第8号 1960年