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埼玉県比企郡嵐山町の記録アーカイブ

埼玉の電気事業と昭和史・電気工事組合小川支部 3 権田重良 2009年

2011年01月29日 | 権田重良『埼玉の電気事業と昭和史』

   1 埼玉の電気事業
1. 電気工事業の発生
 こうした急激な社会、経済の発展を支える重要な職業に、電気工事業がある。現在益々多様化する社会ニーズに応えるため、あらゆる業種の根幹を成す電気工事業の果たす役割は大きい。職業としての電気工事業は、戦前は都市部以外には見られず、一企業内の電気技術者か配電会社の従業員が一般配線工事も施工している。電気工事に携わる業者は、配電会社の特約店資格を取得した人のみ従事できた。
 電気工事業の歴史は他の建設に携わる職種と異なり浅く、電気の普及し始める明治期後半以降から今日まで百余年に満たない新しい職業である。
 明治政府は、1870(明治3)年工部省を設け、1872年(明治5)東京·横浜間に鉄道を開設し、鉄道建設が日本各地に始まった。
 鉄道の電化は路面電車などの都市交通を対象におこなわれたが、後には蒸気機関車を従来用いていた路線でも、それが行われるようになった。鉄道の建設が日本各地にはじまり、発電設備が設置されて、その余剰電力が鉄道沿線の一般家庭の照明に利用されることになった。
 その一般家庭に普及してゆく過程に生じた必要職として配電会社の協力請負会社が出現し、中央より地方へ順次広まっていった。
 地方では戦後の復興期に、電気需要の増大による配電工事·家屋の配線工事に携わる専門職として一般の工事業者が多く出現し始める。工事業者の多くは、軍関係の電気技術者、配電会社の退職者、企業の電気に対する有識者などであり、嘗て経験した知識を生かし、新しい職に活路を見出した時代であった。国も各種の職業訓練所を開設し、職を失った人々の活路を開き、進路に迷う少年たちの指導育成に当った。電気関係の訓練所には通信ラジオ科が、後年には電気工事科も開設され、壮年、青年、少年各世代の人達が同じ教室で学びその後、電気工事関係の道に進んでいった。

   権田重良『埼玉の電気事業と昭和史・電気工事組合小川支部』2009年



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