志賀・武井眞佐
父母にますはらからまてる古郷
ませりまたまとなりて
生活の苦しき事をさりげなく
ほほえみ語る人の淋しさ
古寺の垣根に咲きし白き花
甘き香りに無き母思う
志賀・大野春枝
残暑きびしき昼の暑さを忘れさそと
月さえ渡る夜のしづまり
空の彼方にいつしか夏もゆきかけて
野のそよ風に稲穂花かく
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
志賀・武井眞佐
父母にますはらからまてる古郷
ませりまたまとなりて
生活の苦しき事をさりげなく
ほほえみ語る人の淋しさ
古寺の垣根に咲きし白き花
甘き香りに無き母思う
志賀・大野春枝
残暑きびしき昼の暑さを忘れさそと
月さえ渡る夜のしづまり
空の彼方にいつしか夏もゆきかけて
野のそよ風に稲穂花かく
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
秋の夜は静かに更けてくもりなく
はれし彼方へ雁が鳴き行く
井戸端に釜とぎおれば山のはに
かかりし月のさえし夜かな
真珠にもなきこの色は黄金なる
夕日に映しいなほなりけり
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
志賀・金子きみ
朝草を刈りし吾身を白百合が
じっと淋しく見つめてる
会報にいでし君の名をとけば
幼なじみが忍ばるる
志賀・多田せい
新らしきひながうみたる初卵
夫は片手にかざしつつ来る
暴風雨に吹き倒されし鳥小屋を
どびだし鶏ら吹かれよろける
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
志賀・志賀婦人
よきことみんなが言う秋日和
庭先の菊はほほえむ秋日和
子供らと共にながめる菊の花
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
志賀・権田きく
豊作を楽しみながら草退治
炎天の畑仕事や風を待つ
嵐吹く情無いや野菜物
志賀・大野もと
大根蒔きおえたる夜の小雨かな
蚕室をいでて秋風背に受ける
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
志賀・湯本いゑ
ひとり病む部屋にハエとりさびしさよ
水に落ちまた飛びたちしとんぼかな
すやすやと眠る我が子にほほをよせ
志賀・根岸なを
川島はうまいおどりの模範支部
川島の婦人のおどるしなのよさ
おどってもうまくおどれぬ身のつらさ
下手だっておどりや苦労日本晴
おどろうよ皆んな楽しくほがらかに
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
志賀・吉野
腰に鳴るけいたいラジオ田草取り
盆の客むかえる母の厨(だいどころ)
夏まつり近く除草のたゆふみ
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
志賀・武井眞佐
朝がほにつるべとられぬ井戸ぽんぷ
志賀・多田せい
親の背を越して子供はのびて行く
あせだくでのむ井戸水のうまさかな
懸命にわれ働けばいつも春
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月
志賀・番場たか
御成婚祝いに今朝はお赤飯
御成婚二人を祝う日本晴
御成婚家で見られるテレビかな
御成婚別れに母は涙ぐむ
御成婚記念におれはこの俳句
志賀・村田まつ
電線のうなり暮れゆく刈田かな
吹く立てて遠山越ゆる落葉かな
木から木へ移りて百舌の高音かな
菅谷婦人会志賀支部『あゆみ』 1960年(昭和35)1月