俳句
水ばんの上に春待つ日ざしかな
桑つみの歌声高く人見えず
短歌
経営に頭をなやます我が父を
俺は笑ってさぼるばかり
我一人たたずむ畑のキュウリ見て
まぶたに浮ぶ未来の希望
何ごとも支出にこまかい父なれば
養鶏経営の夢はるかなり
鍬を手に働くことの楽しさは
今日一日につきることなし
秩父の山々はすでに日はくれて
家の中には灯はともり
菅谷青年団鎌形支部文化部『心の集い』第8号 1960年
俳句
水ばんの上に春待つ日ざしかな
桑つみの歌声高く人見えず
短歌
経営に頭をなやます我が父を
俺は笑ってさぼるばかり
我一人たたずむ畑のキュウリ見て
まぶたに浮ぶ未来の希望
何ごとも支出にこまかい父なれば
養鶏経営の夢はるかなり
鍬を手に働くことの楽しさは
今日一日につきることなし
秩父の山々はすでに日はくれて
家の中には灯はともり
菅谷青年団鎌形支部文化部『心の集い』第8号 1960年
最近私はある人に会い、こんな事を耳にしました。「百姓はだめだなあ、まったく何もかも安く、ただとって食っているだけだ。勤めの方がよっぽどいいからなあ」、と言ってたのです。この人もずい分長い間農業をしていたのだそうですが、今では息子はA会社にサラリーマンとして勤めていて、父母だけの農業をやっているのだそうです。そしてその人の言う事に「家じゃあ百姓なんかもうどうでもいいんだ。どうせ米も麦も安いからなあ、それに養蚕だってもう先が見えたようなものだ」と私に話したのです。
この話を聞いたとき、私は、この人のような考え方で良いものだろうか。又我々若い農村青年がこのような事をどう解決すべきかと言う難しい問題に直面しているのです。そこで私はいろいろと考へて見ました。このおじさんのようになにもかもはじめからだめだだめだと言わないで、どうしたら安い麦を高く売るようにしたら良いか、という方法でも対策でも講ずれば決して、安い麦でも高く売れるのではないかと思うのです。例えば安い麦をそのまま販売しないでそれをにわとりや、乳牛に与へてこれを卵や牛乳にかへて見れば決して安い麦も安くはないのではないでしょうか。又養蚕にしてみても千円養蚕をどうしたら良いか。それにはあまり手間をかけず、又桑園には畦巾等を広くしてそこへ家畜の飼料でもまけば決して千円養蚕が出来ない事はないと思います。
このように農業だって考へよう、やりようによっては、まだまだいくらでも将来の望みはあるものをと思います。だからこのおじさんのように何でもだめだだめだと言わずに、何でも考へることによって、立派な農業経営が出来るものと思う。考へる農民になって、これからも一生懸命に農業に従事してゆくつもりです。
我一人たたづむ畑の麦を見て
まぶたに浮かぶ未来の希望 SY生
菅谷青年団鎌形支部文化部『心の集い』第8号 1960年
私
学校を出た時はやわらかい手で、
くわを持っても、まんのうを持っても
まめが出来たのに、
いつのまにかタコが出来た。
節々が太くなり、
母の手に似て来た。
御飯もたける様になった。
つくろいもする様になった。
そして、いつのまにか
母と話が合うようになった。
だけど私は、
湖に沈められた真珠の様に、
とり上げれば白である様に、
いつまでも、
自分を失いたくない。
菅谷青年団鎌形支部文化部『心の集い』第8号 1960年
皆さんへ
麦は一面新緑化し、青葉、若葉がすくすくと伸て参りました。団員の皆様も希望、胸いっぱいにし、今年度の青年団活動に入った事と思います。団活動を行って行く上には色々と困難な問題があります。例えば団員が減少して行く事、経済的な問題、時間(日間)の問題などであります。各自それぞれ仕事を持ち、又、立場により仕事もちがっておりますので、活動の上にも困難であります。これからの活動は各自の仕事に故障をきたさない様な活動にしむけて行く事だと思います。これから農繁期に入り、とかく集会なども夜を利用し、精神的にも肉体的にもつかれており、そのため時間的にもルーズになりがちでありますが、若さと希望に燃えてる皆様方でありますから、しっかりと心をすえて、一歩一歩と進んで行くと思います。青年団活動を行って行く上に最も必要な事は、良く話し合い、研究し、協力しあって行く事であります。又、青年団は自己をみがき、そして一つの「いこい」の場とし、常に、修養につとめ、個人の育成を計り、共同精神を練成する唯一の団体でもあります。
各自が自分の行動について常に反省し、多くの技術を収得し、今後の青年団活動の発展の為、そして新しい村作りの為につくしていただきたいと思います。私も青年団活動の中から得た多くの経験を実生活に取り入れ、多くの希望を胸にひめ、楽しい家庭を……、そして新しい村作りにつくしたいと思っております。
Y生 昭和三十五年五月 記
注 昭和三十四年度退団者寄稿
菅谷青年団鎌形支部文化部『心の集い』第8号 1960年
心の集い 第八号
昭和35年7月10日発行
菅谷青年団鎌形支部文化部
第八号文集に寄せて
支部長という役についてから四ヶ月支部員の協力により今年度もスムースに歩(すべ)り出しました。伝統ある鎌形青年団を尚一っそう充実したものにするには、私達の生活の中に生きたものでなくてはなりません。身近な中から学ぶもの、それを集めて行く事が青年団活動には大切だと思います。
皆で楽しみ、皆で話し合い学ぶ事に、一人一人が団員であるという自覚を持って行く事だと思います。
この大切な時の支部長として一年間皆さんと一緒に頑張るつもりですが、各部長さん、支部員の皆さん、協力をお願いします。
支部長 内田哲郎
目次
・ある『農村新書』を読んで
・創作 私
・老け役の回想
(一)山の木精の事
(二)雀おどしの事
・詩 働く喜び
・T君の恋愛
・俳句
・短歌
体育部
体育としては、今年度は大いにレクリエーションを中心にやって行きたいと思います。
産業部
産業部として、例年どおり農村の青年が多いので品評会に重点をおいてやって行きたいと思います。
文化部
文化部の今年度の計画としましては、文集発行、意見発表等いろいろありますが、今年は特に文集に力を入れたいと思います。
家政部
料理講習を出来るだけ多くやりたいと思います。先生にお願いするばかりでなく、部会や本団で習ったものを実習したいと思います。
編集後記
支部員の皆様、農繁期中は大変に御苦労様でした。お互いに大変だったでしょうね。さて、皆様が待ちにまった文集八号が無事、発行出来ました事は喜びにたえません。不安に思っていた原稿も〆切の日を少々遅れましたが、少数の者の外は全員期日近くまでに提出してくれましたので、ここに文化部一同編集に入りました。誤字の訂正やらガリバン切りに印刷、企画など沢山の仕事もありましたが、皆様の御協力により、難なく、これも無事になしとげる事が出来ました事を深く心から感謝致します。この文集が皆様の御期待にそうかどうか解りませんが、改めて皆様の文集への御協力と御支援を今後とも宜しくお願いします。そしてこれからも文化部一同、より居一層の努力をして、皆様にいつも愛され、親しまれる文集を作って行きたいと思います。
又、今回は昨年度退団者大野祥次君より特別寄稿もありました。
昭和35年7月10日印刷
昭和35年7月10日発行
菅谷青年団鎌形支部
内田哲郎
編集 文化部