元インドネシア代表監督、スリランカ代表監督(野中寿人- 66番の部屋)

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検証ーフィリピン代表ナショナルチームの強さ

2011年11月22日 12時40分19秒 | インドネシア代表ナショナルチーム(国際大会など)


第26回アジアンSEAゲームスで、野球、男子ソフトボール、女子ソフトボールの3部門で「三冠:金メダル獲得達成」のフィリピン代表ナショナルチーム!

”打倒フィリピン”をスローガンに掲げ、今回の第26回アジアンSEAゲームスに挑んだインドネシア代表でしたが、野球と男子ソフトボールが2位、女子ソフトボールが3位という結果に甘んじてしまいました。

野球の決勝戦については昨日UPをしましたが、男子ソフトボール予選試合でフィリピン代表を4-2で破り、決勝戦でも打倒フィリピンを手中に収めたかに見えたインドネシア代表男子ソフトボールチーム。5回まで3-1でインドネシア代表がリード。しかし、6回にフィリピン代表に4点を奪われ・・・結果、7-3での敗北””
打倒フィリピンの夢は崩れ、挑戦は次回に持ち越されたのでした。


ー優勝したフィリピン代表男子ソフトボールナショナルチームー


ーインドネシア代表男子ソフトボールナショナルチームは2位ー


ーインドネシア代表女子ソフトボールは3位ー

でわ
何故ゆえにフィリピン代表ナショナルチームは、その強さを保持できるか?
それは・・・野球(ソフトボール)に関する国、組織、選手個人の認識や体質の相異によるものと考えられます。

でわ
何故ゆえにインドネシア代表ナショナルチームはフィリピン代表ナショナルチームを撃破出来ないのか?
それは・・・
フィリピンとインドネシアとでの野球伝道・継承の歴史上の相異から1つのヒントを垣間見ることが出来ます。

フィリピンはアメリカ米軍基地が設置されていた背景からアメリカの軍兵の方達などからベースボールが伝授されてきた経緯があります。日本のプロ野球創設期には巨人軍などへプロ選手を輩出した実績もあるほどです。
この様な要因から「外国人が現地人に指導を施してきた」と言うことが立証されます。

一方、インドネシアはソフトボールの伝道に伴って野球が取り込まれたのが経緯になり、野球が本格的に行なわれるようになったのは1990年代になります。そして、当初、インドネシアの野球はソフトボールを行なっていた選手達によってチーム編成がなされ、理論面や指導面においてもソフトボールが基調になって開始されたものです。
従って「現地人から現地人への指導形態であった」と言うことになります。

両国の、この様な背景からフィリピンはしっかりとした基本の伝授継承がなされており、その後の現地人から現地人への指導においても基本的部分が保存されて来ていることが言え、この部分が大きな相違点と言えます。

次に、両国内の野球状況を見てみると、フィリピンは以上の背景から、高校や大学での部活動がしっかりと構築されており、このため選手層が厚いのが最大の特徴になります。適応するクラスでの国内大会も毎年開催されています。そして、多くの選手達が代表ナショナルチーム入りを目標としているのです。更には、一般のクラブチームも存在し、高校や大学とは別の部分として組織が確立していて、近年ではリーグ戦なども開催しています。

一方、インドネシアでは高校や大学での本格的な部活動はありません。最近では高校に課外授業として野球科目が取り込まれてきていますが、まだまだ全国的な普及は見られません。加えて、そのレベルは同好会程度に留まっており、国内大会についても非常にレベルが低いのが実情になります。一般のクラブチームが主体となって国内大会を開催し活動している方が目立ちます。代表ナショナルチーム入りを目指す選手は居ますが、その絶対数が少ないです。1つの例を挙げてみると、投手に関する絶対数です。フィリピンが投手王国なのに対してインドネシアでは投手が少ないことが挙げられます。言い換えれば、この様な状況は、投手育成における指導力が乏しく、良い素質を持った投手が居ても野球理論の未熟な指導者によって破壊されてしまう状況をも多く生んでいました。
絶対数が少ない上に破壊されてしまうと言う最悪の事態を招いて来たということです。

更に、このような国内野球状況を内面的に分析をすると、高校や大学などでの部活動という教育機関の関与による団体競技への意識精神面、また、マナーなどの教育が早期段階で施されているフィリピンと、クラブチームでの活動が主となり、この様な部分の教育が欠如がちなインドネシアという相異点が浮上をします。

要約すると、基本的な部分を踏まえて後世に継承して行っているフィリピン。見よう見まねの要素が先行しての開始と後世に継承して行く中で基本的部分を後付けで補い追加して行っているインドネシア・・・
最初から徹底したアメリカンベースボールを施工するフィリピンと、アメリカンスタイル(~の様な形)で開始され途中からアジアンスタイルに転換したインドネシア・・・
ベースボール/野球という競技を行なう上で、伝道の歴史、継承の形態が、未だに現状の力量に現れているのではないでしょうか・・・

インドネシアの野球、男子ソフトボール、女子ソフトボールがフィリピンを打破するには、根底から基本的な部分をもう少し考えなければならないでしょう・・・
何らかの要因で、1回や2回は勝てたとしても真の実力とは言えず、まして持続までは至らないということです。



そして、東南アジアや西アジア・・・アセアン諸国の第2グループ諸国にとっては、このフィリピンの野球継承と成長過程を1つの良い例として捉え、自国内の野球システムの基礎を先に固めると共に、総体的な視野を持って野球の発展を目指してもらいたいです。

最後に、しいてフィリピンベースボールにお願いすることが可能であるならば・・・
ほんの少しでも「アジア的戦術」を取り込れてもらいたいと思います。「アジア的戦術」を取り入れることが出来たならば、現状のフィリピンの強さが「1ランク上がる」と確信します。是非とも、お願いをしたいところです。

ともあれ、第26回アジアンSEAゲームスでのフィリピン代表3冠達成 

「おめでとう御座います
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