元インドネシア代表監督、スリランカ代表監督(野中寿人- 66番の部屋)

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タイ代表を牽引したヒーロー 白倉キャサダー

2011年11月15日 15時24分00秒 | インドネシア代表ナショナルチーム(国際大会など)
昨日の第26回アジアンSEAゲームスでインドネシア代表とタイ代表が激突!
延長10回の末「7-5」にてインドネシア代表がタイ代表を破りました。

インドネシアにとってみれば今まで敗北を喫していたタイ代表から初めて勝利を得たことになるのですが・・・

何故?今までタイ代表に勝てなかったのか?

今大会出場のタイ代表は2009年までのタイ代表とは異なり2010年のアジアカップ(パキスタン開催)から編成されている「新生タイ代表」として参戦です。その理由は、1人の主軸選手の存在がタイ代表を卒業したためです。近年のタイ代表は、この主軸選手の成長と共に国際大会で成果を示してきた姿があります。

タイ野球史上最高のエース投手
ヒーロー 「白倉キャサダー投手」について触れてみます。


ータイ代表を初の栄冠に導く/2007年アジアンSEAゲームス制覇ー

敵チームの監督として2007年、2009年と「白倉キャサダー投手」と戦ってきた自分からしてみれば・・・「打倒!白倉キャサダー」を目標にし、強化練習中のグランド内でも彼の名前を全面に出して選手達を奮い立たせながら頑張ってきた思い出が強く・・・

その年、その時の状況が、その年度の代表チームになり、この白倉キャサダー投手の存在の無いタイ代表についても、正規のタイ代表ですが・・・

その全てを踏まえた上での私的感情で大変申し訳ないですが、自分の中においては、現在のタイ代表は本来のタイ代表で無いという気持ちでしかありません。


-2007年アジアンSEAゲームス時でキャサダー投手と健闘を称えあう、宿舎ホテルでも連日のごとく野球談義を交わしたー

言い換えれば、彼が東南アジア野球と、母国のタイ代表に残した功績はもの凄く高く、彼の後を追う投手は、この先、何十年後に現れるのか?現れないのか?というレベルなのです。亜細亜大学3年時の大学リーグ内で防御率のタイトルホルダーを保持していたということからも彼の実力が如何に優れていたかがお分かりのことと思います。

小学校時から日本で教育を受け、日本の高校野球、大学野球で鍛えられた彼の能力は、東南アジア内では突起しているレベルだったのです。彼の存在が東南アジア野球に競争心を植えつけたとも思っています。


ー2007年アジアンSEAゲームス閉会式時よりー

2007年、台中で行われた「北京オリンピックアジア代表選考大会を兼ねたアジア選手権大会」時、アジアンSEAゲームスの前哨戦と捉えたれたフィリピン代表との激戦は、延長12回「0-0」の引き分けで終わっています。この時のスタンドには日本代表ナショナルチームのスコアラー陣が念密に彼のデータを収録していたものです。

その1週間後に開催されたアジアンSEAゲームスの決勝/ファイナルでも、日射病の中、一人気迫を吐きながら力投を続け、追いすがるフィリピン代表を制して、タイ代表に初の栄冠を齎したタイ野球史上最大のヒーローです。


ー2007年アジアンSEAゲームス決勝は「5-4」でタイ代表が逃げ切り、2005年のアジアンSEAゲームスそして2007年のアジア選手権兼北京オリンピックアジア選考大会の屈辱を果たすー


ー2007年アジアンSEAゲームス制覇胴上げ、タイ代表のヒーロー白倉キャサダー投手ー

2009年のアジア選手権大会成田ラウンド時では、事前に彼の所属する社会人野球チーム「本田技研:鈴鹿」の首脳陣からは{白倉キャサダーの調子が悪い}との情報を掴んでいました。実際のタイ代表との試合でも、全体のバランスが崩れており体のキレが無かった。それでも彼の経験、度量そして技量の前に勝てなかったのです。
そんな中、翌日のフィリピン代表戦にも先発し、フィリピン打線に捕まり敗北。最後の最後まで、タイ代表のエースとしての責任感のもと懸命に力投していた彼の勇士は今でも脳裏に焼きついています。

その試合後に交わした彼との会話
{今大会前から調子が悪かったんです・・・}
{分かっていたよ。でも今まで良くタイ代表を牽引したよ。凄いことだよ・・・お疲れさん}


ー2009年アジア選手権大会成田ラウンドを最後に日本国籍へ帰化ー

時代の流れの中で、日本人に帰化したのは、いかしかたないことです。
彼の人生においての選択だったに違いありません。

ただ、それとは別の次元として・・・
敵国の監督として・・・
願わくば・・・
「白倉キャサダー投手」がマウンドに上がる「タイ代表」と戦いたい。


只・・・
冒頭に戻りますが「白倉キャサダー投手」が抜けたタイ代表に延長10回まで戦って勝利したことについて「勝利に対して喜ぶのか?」あるいは、白倉キャサダー投手のいないタイ代表の投手陣を打ち崩せなく「延長戦に縺れ込んだという部分についての自軍の力量を課題を判断するのか?」
インドネシア代表の選手達と首脳陣、そして野球関係者はどう捉えているのでしょうか?

・・・この思考性いかんによって今後のインドネシア野球の未来が予測出来ます。
大きな勘違いをしなければ良いのですが・・・

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