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お仕事どんぶり

正社員、契約社員、派遣社員、嘱託社員、アルバイト・・・
経験してきた「仕事」と日々の生活についての記録です。

不動産物件 受付・案内の仕事59(うらめしや大田区編)

2005年11月10日 09時35分11秒 | 仕事あれこれ
夕暮れ時になって、若い営業マンがまたお客さんを連れてきた。
妊娠中の奥様と、旦那様、それに小さいお子さんが車から降り、
白いおしゃれな物件の前で「素敵ね」と盛り上がっていた。

このお客さんにも「告知」をするのだな、と思って私は営業マンの
説明に耳をそばだてていた。物件の仕様について一通り説明し、
この物件がいかにお買い得か、を力説した後で、営業マンはおもむろに
「告知」をした。

でも、と営業マンは続けて「お祓いもしっかりしているから大丈夫です」と
胸を張って言った。

NANAさんによると「お祓い」などは一切していないそうだ。
もちろん、NANAさんはそんなことはお客さんには言わない。若い営業
マンはお客さんを安心させるために口から出任せを言っているのを、
黙って見ているだけだ。

地鎮祭はお祓いに含まれるのだろうか?と疑問に思った。

お客さんが引き上げた後、あたりは薄暗くなってひっそりと静まりかえった。
終業の時間になって、物件の前の机やイスを片づけるのを手伝うと、
NANAさんは「怖いので電気を消すまで一緒にいてくれませんか?」と
言う。相当な怖がりだ。話をしながら、この物件が「二重苦」と言われる
のは、「告知物件」であることと、「借地」であることだと聞いた。

私は物件内の明かりを消すNANAさんにつきあい、仕事を終えた。
私は、この物件には、また来る気がした。
家に帰って、一応お清めの塩をふった私も少し怖がりだと思う。
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不動産物件 受付・案内の仕事58(うらめしや大田区編)

2005年11月09日 09時35分48秒 | 仕事あれこれ
不動産屋には、これから売ろうとする物件に自殺や殺人などの
「心理的に」忌避したいことが合った場合には、そのことを
お客さんに告知する義務があるそうだ。

そのような物件をその不動産屋は「告知物件」と呼んでいた。

今回の物件は新築だが、その前に建っていた家で自殺者があり、
家を見学に来たお客さんには、いずれかのタイミングでその
ことをお話しするそうだが、そのタイミングを計るのが、
とても難しいとNANAさんは言っていた。

きれいな新築物件を見て、盛り上がっているお客さんに
「実は・・・」と切り出すと、お客さんのほとんどは気分的に
引くそうだ。しかし、中には全く気にしない人もいるらしい。
自殺者が出た、ということで物件が安くなることは、このエリア
ではあまりないとも言っていた。

私は世間話として、午前中に見た不思議な「青いチェックのシャツの
男性」の話をすると、その人が自殺者の幽霊かどうかも判らないのに
NANAさんは本気で怖がっていた。

ちょっと悪いことをしたな、と思い、私が最初に感じた「臭い」の
ことは言わないでおいた。
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不動産物件 受付・案内の仕事57(うらめしや大田区編)

2005年11月08日 09時30分18秒 | 仕事あれこれ
昼食を近所の児童公園で食べていると、お祭りに出掛ける何組
もの親子が、水を飲んだり、トイレを使ったりするために公園を
訪れた。「よそ者」の私にはいまいち居心地が悪い。

午後の「ゴールデンタイム」(と私が勝手に呼んでいる)である
13:30から15:00にはお客さんはさっぱり現れなかった。

夕方近くになって、やっと不動産屋の営業車が、お客さんを何人か
連れてきた。やがて、この物件の担当である若い営業ウーマンが
現れた。今風のお化粧をした人気マンガの「NANA」の主人公
みないな人だった。

私が雇われている不動産屋の営業ウーマンは、皆バイタリティが
ある。黙っていても「お金!お金!お金!」と聞こえてきそうな
「売る気満々」の女性が多い。隙あらば、この私にも営業をしようと
する人もたくさんいる。私はとてもじゃないが、家を買うお金は
稼ぎ出せない。

お客さんを案内し通しで、ちょっと疲れた感じのNANAさんは
「この物件は二重苦なんですよ」と声を潜めて教えてくれた。

「・・・告知物件って知ってます?」
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不動産物件 受付・案内の仕事56(うらめしや大田区編)

2005年11月07日 10時05分03秒 | 仕事あれこれ
9月半ばの3連休に、私は不動産物件の案内の仕事を3日間
続けてやることにした。休日にどこにも遊びに行かないのは
ちょっと寂しい気もするが、人が遊んでいるときに仕事して、
人が働いているときに休みましょう、という気分だ。

1日目は初めて体験する「借地」の物件だった。
20坪で新築3階建て、5000万円台前半の価格はお得なの
だろうか?借地料は年に2万円ちょっとかかる。

現場の近くでは、秋のお祭りの準備が進んでいるらしく、祭り
囃子が切れ切れに聞こえた。近くの駐車場にはオシロイバナが
一杯に咲いている。

現場について、はじめに感じた違和感は「何かが臭う」という
ことだった。最初は猫や犬の糞の臭いかと思ったが、敷地の中
には見あたらない。ドブくさいような、あるいは饐えたような
臭いが時々プン、と鼻についた。

物件は広めで、白い壁がスッキリした感じの良い物件だった。
路地の奥だが、こういう広めの所なら、お子さんがいても住み
やすいだろうと思った。駅からもそれほど遠くなく、近くの
スーパーも立派だ。

程なくして、若い夫婦のお客さんがやって来た。
お客さんは笑いながら「高い」と言っていたが、物件の間取りには
興味津々だった。ご近所の人が、時々話しかけてくるので、その相手も
しつつ、お客さんを待つ。

お年寄りの男性と話をしている時、ブルーのチェックのシャツを着た
初老の男性が視界に入り、その人が敷地の中にふっと入っていった
ような気がした。

「あれ?」と思っていると男性の姿はなかった。
気のせいかもしれないな、と思ってやり過ごし、私は再び、大田区の
住宅事情について、お年寄りから長話を聞かされる羽目となった。
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またまた派遣会社に登録に行った その2

2005年11月06日 09時23分48秒 | 仕事あれこれ
その仕事は、ある団体のセミナーの受付だった。単発、1日のみだ。
会場となるホテルの宴会場の前で、来場者に資料を渡したり、案内を
する仕事だそうだ。私は前職でそういう仕事の経験があったので、
スケジュールを確認し、即答で仕事を受けた。

仕事はなんと約2ヶ月先。途中で仕事自体がキャンセルになるかも
しれないな、と思ったが、メインの仕事がない日だし、時間も早く
終わりそうなので仕事を決めた。

その頃はメインの仕事を週に2、3日、不動産の受付の仕事を週末2日、
平日2日間は単発の仕事をするか、家事をしたり、ヨガや図書館に
行ったりして過ごそうと考えていた。

寄せ集めの勤務日5日間と平日の休み2日間で、1週間を組み立てる
のが自分に合うと思っていて、もはや「転職」という選択肢については、
自分からアクションを起こすのが億劫に感じられた。

ちょうどその頃、同い年の同僚(女性)が、正社員を目指して、転職
活動をしていることを知った。彼女は1ヶ月ほど後に退職するという。

自分の夢を、自分自身で叶えようという彼女の姿勢を、私は眩しく
見つめていた。

私は、今の職場を辞めることになったら、中高年専門の派遣会社にも
登録して、細切れの仕事生活をするだろうと、ぼんやり考えていた。

「下流社会」「希望格差社会」「そこそこOL」・・・
自分の頭に残ったキーワードは、働くこととお金(年収)のことが
直結したものが増え、自分の働き方を振り返る機会も多かった。

自分の自由になるお金が多ければ幸せ、という考え方は実感が沸かない。
一方で、自由になる時間が増えれば幸せ、とも言い切れない貧乏性な
私なのだった。
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