私は今、泣きながらこの文章を書いている。
2003年の9月に我が家にやって来て以来、一緒に暮らして
いたメス猫のクロが、今日の午前中に急に逝ってしまった
からだ。
今思い起こせば、数日前から少し具合が悪くエサをちゃんと
食べていなかったようだ。私自身もひどい風邪をひいていて
きちんと気づいてやれなかった。
不調に気づいて、抱き上げたときには、クロの体は随分と
痩せて軽くなっていた。慌てて病院に連れて行き、注射を
打って、ペースト状のエサを食べさせてもらって、皮下に
生理食塩水を点滴されて帰って来たが、熱があったらしく、
冷たいフローリングの上にぺったりと寝ていたかと思えば、
ホットカーペットの上に移動したりと普段の様子と明らかに
違っていた。
昨日の夜には呼吸が荒くなり、苦しそうだった。
スポイトで水をやっても、ほんの少し舐めるだけだった。
それでも、今朝はまだ目には力があって、自分で歩いて
いたりしたので、私は病院に連れて行ってくれるように
家族に頼んで、会社に行った。
10時半近くになって、私の携帯に家族からのメッセージが
入っていた。病院の検査結果のことかと思ってかけ直したら、
クロが死んだと言う知らせだった。
病院に行く途中、発作を起こし、病院に着いたときにはもう、
ぐったりしていたとのことだった。
病院で心臓マッサージをしてもらったりして手を尽くしたが、
その甲斐なくクロは3年半ほどの短い命を閉じた。
原因は風邪のウイルスが脳に入ったらしいとのことだった。
知らせを聞いて、年甲斐もなく私は涙がこぼれて仕方なく、
何度も飼い猫の死を経験しているのに、今までで一番辛く、
会社のトイレで何度も泣いた。それでも打ち合わせをし、
資料を作り、ふとした瞬間にこぼれてくる涙を拭きながら
退社時間を迎えて、私はクロに捧げる白い花を買って
大急ぎで帰宅した。
家族が棺代わりに用意した箱の中に、クロはまるで眠って
いるように横たわっていた。苦しみの表情はない。
私はひんやりして硬くなったクロの体に触れ、本当にクロが
死んだのだと悟って、その傍で声を上げて泣いた。
しばらくして、買ってきた白いかすみ草とスイートピーを
クロのまわりに飾ってやった。
その作業は、クロのためでもあり、私のためでもあった。
花をひとつずつ供えながら、私はクロとの思い出に浸った。
毛づくろいが苦手で、愛想がなく、そのくせ自分が甘え
たい時だけ、小さな声で鳴いて擦り寄って来たクロ。
意地汚く、コゲちゃんが食べているエサを横取りしたクロ。
布団の中でゴロゴロ喉を鳴らして一緒に寝たクロ。
死出の旅に、エサとマタタビの枝とネズミのおもちゃを
入れてやった。私と家族は感謝の言葉をカードに書き付け
ようと、小さなカードを探したら、ひき出しから黒猫の
シールが出てきて、私はまたクロを思い出して泣いた。
猫は字が読めないだろうが、きっと気持ちは通じるだろう。
明日、ペットの火葬をしてくれる業者さんがクロを引き
取りに来る。今夜一晩はクロと一緒だ。
いや、体がなくなっても、これからもずっと一緒にいる
ような気がする。
さようなら、クロ。
動物を飼う身には、必ず経験することかもしれないが、
それはもっとずっと先のことだと思っていた。
短い間だっだけど、一緒に暮らせて私は本当に幸せだった。
2003年の9月に我が家にやって来て以来、一緒に暮らして
いたメス猫のクロが、今日の午前中に急に逝ってしまった
からだ。
今思い起こせば、数日前から少し具合が悪くエサをちゃんと
食べていなかったようだ。私自身もひどい風邪をひいていて
きちんと気づいてやれなかった。
不調に気づいて、抱き上げたときには、クロの体は随分と
痩せて軽くなっていた。慌てて病院に連れて行き、注射を
打って、ペースト状のエサを食べさせてもらって、皮下に
生理食塩水を点滴されて帰って来たが、熱があったらしく、
冷たいフローリングの上にぺったりと寝ていたかと思えば、
ホットカーペットの上に移動したりと普段の様子と明らかに
違っていた。
昨日の夜には呼吸が荒くなり、苦しそうだった。
スポイトで水をやっても、ほんの少し舐めるだけだった。
それでも、今朝はまだ目には力があって、自分で歩いて
いたりしたので、私は病院に連れて行ってくれるように
家族に頼んで、会社に行った。
10時半近くになって、私の携帯に家族からのメッセージが
入っていた。病院の検査結果のことかと思ってかけ直したら、
クロが死んだと言う知らせだった。
病院に行く途中、発作を起こし、病院に着いたときにはもう、
ぐったりしていたとのことだった。
病院で心臓マッサージをしてもらったりして手を尽くしたが、
その甲斐なくクロは3年半ほどの短い命を閉じた。
原因は風邪のウイルスが脳に入ったらしいとのことだった。
知らせを聞いて、年甲斐もなく私は涙がこぼれて仕方なく、
何度も飼い猫の死を経験しているのに、今までで一番辛く、
会社のトイレで何度も泣いた。それでも打ち合わせをし、
資料を作り、ふとした瞬間にこぼれてくる涙を拭きながら
退社時間を迎えて、私はクロに捧げる白い花を買って
大急ぎで帰宅した。
家族が棺代わりに用意した箱の中に、クロはまるで眠って
いるように横たわっていた。苦しみの表情はない。
私はひんやりして硬くなったクロの体に触れ、本当にクロが
死んだのだと悟って、その傍で声を上げて泣いた。
しばらくして、買ってきた白いかすみ草とスイートピーを
クロのまわりに飾ってやった。
その作業は、クロのためでもあり、私のためでもあった。
花をひとつずつ供えながら、私はクロとの思い出に浸った。
毛づくろいが苦手で、愛想がなく、そのくせ自分が甘え
たい時だけ、小さな声で鳴いて擦り寄って来たクロ。
意地汚く、コゲちゃんが食べているエサを横取りしたクロ。
布団の中でゴロゴロ喉を鳴らして一緒に寝たクロ。
死出の旅に、エサとマタタビの枝とネズミのおもちゃを
入れてやった。私と家族は感謝の言葉をカードに書き付け
ようと、小さなカードを探したら、ひき出しから黒猫の
シールが出てきて、私はまたクロを思い出して泣いた。
猫は字が読めないだろうが、きっと気持ちは通じるだろう。
明日、ペットの火葬をしてくれる業者さんがクロを引き
取りに来る。今夜一晩はクロと一緒だ。
いや、体がなくなっても、これからもずっと一緒にいる
ような気がする。
さようなら、クロ。
動物を飼う身には、必ず経験することかもしれないが、
それはもっとずっと先のことだと思っていた。
短い間だっだけど、一緒に暮らせて私は本当に幸せだった。