遠足

夜になると、我が家の外で猫の鳴き声がする。
それに反応して、我が家の飼い猫、コゲちゃんが
窓の外を見る。

ある日声が近いな、と思って家族が窓の外を見たら
見知らぬ猫が3匹、ベランダに居た。その中の
中くらいの黒猫がくりくりとした丸い目で、こっちを
じっと見ていた。

残りの2匹は少し離れたところでこちらの様子を伺って
いる。3匹で遠足にでも来たような感じだった。

同じ格好

家族が疲れてぐっすり寝ている。
猫のコゲちゃんが家族の腕枕で同じ格好で
すーすーと寝息をたてて寝ている。
これは本当に心和む光景だ。（笑）

猫に四十九日はあるのか

先日、夢の中に黒猫が出てきた。
段ボール箱に入った、子猫だった。手足が太く、ムチムチしていて
目の大きなかわいい猫だった。

私の傍らには家族がいて、
「飼ってもいい？」と聞いた。多分、彼の答えはイエスだったように
思う。

そこで目が覚めて、それが夢だと気づいた。
クロがあの世に行ってから、四十九日が経った頃だった。
私の気持ちの中でも一区切りがついたのだろうと思う。

クロのお墓参り

飼い猫のクロがあの世に行って、明日で1週間経つ。

私は仕事から帰って、明かりをつけた時、無意識にクロの
名前を呼んでしまうことがある。今は一匹で留守番をして
いるコゲちゃんは、いっそう人懐こくなった気もする。

自宅から小一時間ほどのところのペット霊園に、クロが
他のペットたちと合同で埋葬されている。
今日、そこへ家族とお墓参りにいった。

普通のお寺の墓地の一角に、とても小さな合同の慰霊碑が
あって、その周りには、ペットたちの死を悼んだ小さな
プレートがびっしり並んでいた。ペットを飼っていた人の
苗字、ペットの名前、そしてあの世へ旅立っていった歳が
彫りこまれた小さなプレートを眺めながら、私はわずか
3年ちょっとの命だったクロを思い出して、手を合わせた。

「猫って長生きするんだなぁ」
家族はそれらのプレートに、行年18年とか17年とか書き
込まれているのを見てそうつぶやいた。
家族はクロとコゲちゃんと出会うまで、動物を飼ったことが
なかったという。クロを動物病院で看取ってくれて、火葬の
手配もしてくれて本当に助かった。

今日はとても寒かった。
寒がりだったクロの思い出話をしながら家に帰った。

たかが猫、されど猫

昨日あの世へと旅立ったクロは、今日の午前中に、ペットの
火葬業者さんに引き取られて行った。

車が見えなくなるまで家族と見送って、その後会社に行って
仕事をした。今日、私の近所はとても寒く、時々小雨が降った。
涙雨だと思って、少し濡れながら会社に行った。

いま担当しているのは、こともあろうにペット関連産業の仕事だ。
パンフレットのかわいい猫の写真を見ていると、結構辛いが
午後になってふっと気持ちが軽くなった気がした。

クロが本当に旅立ったのかもしれない。
そう思って、あまり悲しむのはやめようと思った。

「死」に意味付けをするのは人間だけだ。
罰でもなく、戒めででもなく、ましてや誰かの身代わりでも
なく、クロはきっとこの世での役割を終えて、身軽に
出かけたのだと思う。