「福耳部長」のストレートな物言いに、私はもし入社できたら、
自分自身がこの人とうまくやって行けるかどうか考えた。
生理的にどうしてもだめな人ならともかく、目の前にいる中年の
男性と私は仕事をして行く他ないのだ。私は自分が今まで出会った
「面倒くさい上司」の栄えあるトップ3までを思い浮かべ、そこの
なかに「福耳部長」がランクインしないことを願った。
そして今の私に、気に入られる要素があるのかな、とも思った。
たった小一時間の面接で、そんなことがわかるだろうか。
その後、「福耳部長」は個人的なことに関する質問をいくつかした。
また、人事担当の男性は、私が転職を繰り返していることの理由を
尋ね、私は転職のセオリー通りに「キャリアアップのため」と答えた。
でも本当は興味の対象が少しずつ動き、その都度、職場を変えてきた
だけのことである。
2年前の夏、私は嘱託で仕事をする傍ら、不動産会社でオープンハウスの
受付のバイトを時給1,300円でやっていた。
1年前の夏、私は外資系PR会社に正社員として採用された。
そして今年、私はまた転職活動をしている。
私は次々と放浪している。私は「まとも」じゃないよな、と思いつつ
面接も終盤に差し掛かった。
面接の時間をとってもらったことにお礼を言って、席を立とうとした時、
「福耳部長」は静かな声で言った。
「もう転職でのキャリアアップの旅はやめて、ここの会社の中で先に
進んだらどうですか。ここに落ち着くことを考えたら良いと思いますよ」
そう言う風になったらどんなに良いだろう。
私は「そうできれば本当に嬉しいです」と答え、部屋を出た。
自分自身がこの人とうまくやって行けるかどうか考えた。
生理的にどうしてもだめな人ならともかく、目の前にいる中年の
男性と私は仕事をして行く他ないのだ。私は自分が今まで出会った
「面倒くさい上司」の栄えあるトップ3までを思い浮かべ、そこの
なかに「福耳部長」がランクインしないことを願った。
そして今の私に、気に入られる要素があるのかな、とも思った。
たった小一時間の面接で、そんなことがわかるだろうか。
その後、「福耳部長」は個人的なことに関する質問をいくつかした。
また、人事担当の男性は、私が転職を繰り返していることの理由を
尋ね、私は転職のセオリー通りに「キャリアアップのため」と答えた。
でも本当は興味の対象が少しずつ動き、その都度、職場を変えてきた
だけのことである。
2年前の夏、私は嘱託で仕事をする傍ら、不動産会社でオープンハウスの
受付のバイトを時給1,300円でやっていた。
1年前の夏、私は外資系PR会社に正社員として採用された。
そして今年、私はまた転職活動をしている。
私は次々と放浪している。私は「まとも」じゃないよな、と思いつつ
面接も終盤に差し掛かった。
面接の時間をとってもらったことにお礼を言って、席を立とうとした時、
「福耳部長」は静かな声で言った。
「もう転職でのキャリアアップの旅はやめて、ここの会社の中で先に
進んだらどうですか。ここに落ち着くことを考えたら良いと思いますよ」
そう言う風になったらどんなに良いだろう。
私は「そうできれば本当に嬉しいです」と答え、部屋を出た。