3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

このブログは引っ越しました!引っ越し先は…「とある思索の集合演算」と検索してみてください。よろしくお願いします。

3Dモデリングにオトシマエを付けるときが来た!

2007年02月26日 | □CG(ポリゴン)から作ろう
 
ワンダーフェスティバルが終わりました。
本気(マジ)工場としてはすでにお伝えしたとおり、
『3D CGからの立体出力サービス』
の一点突破で展示を行ったわけなんですけど…

私たちの展示を最も興味深く、おそらくは好意的に捉えてくれた人たちは
「すでに何らかのCGソフトを使って、3Dモデリングをしている人たち」
だったでしょう。

このブログでも何度も書いていますが、要するに、CADにしてもCGにしても3Dモデリングという行為は、とっても大変なことなのです。ずっとモデリングをしている人たちは慣れてますから、もうそうは思わないかも知れませんが、本来的に3Dのモデリングは、自分の手で絵を描くことやAdobe Illustratorなどで描くのと比べても、何十倍も何百倍も手間のかかることなのです。

これは、
「3DモデリングはPCに入力しなければならない情報が多い」
と言い換えてもいいです。

で。

さて、では何のためにわざわざ3Dで大量の情報をPCに入力しているか?ということなんだね、問題は。当然、入力した情報量が多いわけですから、「取り出し方」も3Dの場合は色々あります。ポースを変えたり、レンダーで色を変えたりムービーにして一人でアニメーションを作ってみたり…
もちろん単なる「絵」と比較して、「3D」の方が出口の扉は多いんです。

でも、そうであっても、今まで出口として用意されていたのは、モニタの中や紙に印刷された2Dとしての成果でしかありませんでした。大量の3D情報を入力しておきながら、取り出せるのは情報量として削ぎ落とされた平面の状態だったんです。
 
結果が平面にしかならないなら、絵を描けばいい… そう判断してしまっても無理のない話です。絵をいーっぱい描けばそれはアニメーションになる訳ですから、じゃあいーっぱい描く方が3Dでモデリングするよりも、少なくとも手馴れてるじゃん、と。かくして、3Dモデリング人口は増えそうでなかなか増えて来なかった。

言い換えれば、これは出口の貧困さがCGモデリングを始める動機を削いでいた、と言っていいでしょう。絵にしかならないなら、絵を描けばいいや… と。

ところが、『3D CGからの立体出力サービス』 という新しい出口の扉に、こんなにも多くのCGモデラーさん達が期待を寄せてくれるのは、多分、

「苦労して3Dで入力した情報を、これでやっと苦労に見合う情報量として取り出せる…」

という期待感からに他ならない。『3D CGからの立体出力サービス』は、コンピュータに入力した情報を削ぎ落とす従来の行為ではなく、逆に「情報量を増して得られる出口」だからです。実際にモノを触れる、ということは最高の情報量なんですよ。

設計・製造業に携わる人たち、もちろん本気(マジ)工場自身も、この現象は3D CADの普及、という歴史の中で全く同じ経験をして来ました。せっかく3D CADでモデリングしたのに、その後は今までと同じ製図の出力で仕事が進んでいた… という状態です。これでは3Dで設計する意味が薄れてしまう。モデリングの苦労が報われない。

今日ワンフェスの会場でも、立体出力サービスを知った方の中には

「なんだ、CGやらなきゃ作れないのか…」

という感想を持たれた方も多いと思います。…そんなの、当たり前じゃないですか(笑)「絵」という非常に情報量の少ない状態から、「フィギュア」という最大の情報量に引き上げるには、その間に必要な大量の情報を補う、という行為が必要で、その行為が「3Dモデリング」なんですよ。
(ここでいう情報量とは、ファイルのサイズのことではないですよ)

そして、誰もが「絵から3Dに自動的にしてくれるソフトは無いものか?」と、思うんですね(笑)これも、製図のCADから3D CADへと辿った歴史と全く同じだ。ええ、絶対に無理です。もうね、無理。諦めてるのではなく、論理的に不可能なんだね。地球上では重力を打ち消せない、とか、そういう物理法則に近いレベルで不可能です。ヒトがモデリングする以外に方法はありません。まぁ、なぜそうなのかはそのうちにまたここで書きます。
 
本気(マジ)工場は、同業者から時々きかれることがあります。
どうして、ホビー系に熱心なの? と。…愚問です(笑)まじめに答えるなら、それは、「貴方たちとは、世界が違うから」です。

本気(マジ)工場の同業者のほとんどは、自分達のお客様を「製造メーカー」だと、思っています。厄介なのは、そう積極的に決めているのではなく、それが彼らの自明のパラダイムであって、それを疑おうともしていない、ということです。
私たちの業界は、航空・自動車メーカーと大手家電メーカーを頂点とした、巨大な三角形としてしか世の中を見ることができないでいるんですね。

本気(マジ)工場がそんじょそこいらのCAD/CAM屋さんと決定的に違うのは、
自分達のお客様は、

「カタチと技術の創造者」

だと定義していることです。そうなると、自動車メーカーも大手家電メーカーも、ワンフェスに出展しているディーラーさんたちも、そして趣味でCGモデリングをしている人たちも… 一緒なんだよね、これが(笑)。まったく一緒。最近は、超有名な建築設計事務所さんもお客様になっていただけました。建築模型もRPとかCAD/CAMの時代です。
 
世界というのはアナタ自身のことだ とは良く言ったもので、自分が変わることが世界を変える最も有効でスピーディーな方法だ。世界とは環境だけの事ではなく、個々人の理解や認識のことだ、って話(なにやら哲学的だ)。でもこれ、新世紀エヴァンゲリオンTVシリーズ最終話の大テーマだけどね。あぁ、攻殻機動隊SACでもあったな…「世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら目と耳を閉じ口をつぐんで孤独に暮らせ。それも嫌なら…」ってヤツだ。アニメの作家さんって、色々読んでるんだなぁ…と思いましたよ。ともあれ、
 
さぁ!3D CGモデリングをずっとやって来たみなさん!!
やっと、その苦労を取り返して、3Dでやって来た苦労の見返りを手にする時が来ましたよ!!!
 
またタイミングの良いことに、Hobby JAPAN誌のWebサイト『とれたて!ほびーちゃんねる』においても、CGモデリングを最大限に楽しむ方法を森永みぐ先生が体験取材してくれています。いよいよフィギュア製作に突入だ。
 
この話が自分たちの仕事にあんまり関係ないなぁー…と思っている同業者が居たとしたら… 本気(マジ)工場は先に行くので、ずっとそのまま、そこに居てね(笑)