『はだしのゲン』 中沢啓治氏 訃報
2012年12月19日
「はだしのゲン」作者の中沢啓治先生が73歳で亡くなられました。
戦争・原子爆弾・被爆・死・生。
生きて生きて!真正面から向き合ってこられた漫画家。
「はだしのゲン」を通して、僕はそんな印象と・・
何よりも畏敬の念を抱く想いを致します。
著書「はだしのゲン自伝」という自叙伝を読んで何度も泣きました。
悔しい気持ちがいっぱい伝わってくる。
日本の政策に対し
アメリカに対し
戦争に対し
空腹に対し
差別に対し
感情に対し
生と死に対して。
真っ直ぐな視線を崩さない。
著書の中に、「はだしのゲン」を描くにあたり、自身が苦しく耐えられなくなり・・描けない日々もあったそうで。しかし戦争や原爆の真実ではない矛盾したニュースをテレビで見たときに・・また怒りと悔しさで諦められず・・筆をとったそう。
漫画を読んでもそうですが、先生は「気持ちと感情」にブレがない。
つまり『嘘』がない。
物事と真実を美化するようなことが全くないのです。
その精神に・・頭が下がります。
広島へ出張のおり、中沢先生ゆかりの地を歩きました。
原爆投下時、中沢少年の運命を分けた「神崎小学校」の校門。
● 写真は現在の神崎小学校
登校時に校門の塀が陰になって、原子爆弾が発した5000度の熱から助かった。
1メートル前にいた女性は真っ黒に焦げて死んだのだそうです。
「はだしのゲン」を読んで、一番印象に残るのは、戦争と人間の現実の悲惨さの中で見せる主人公「ゲン」の抑えられない感情です。
嬉しい時も・・辛い時も。
怒りを抑えられない時も・・。
人に対する愛の強さも。
常にいっぱい溢れている。
読み進めていくうちに、「ゲン」のひたすら自分を信じぬく姿に、身が震えてしまう。
或いは惚れてしまうほどだった・・。
その「ゲン」本人が亡くなられたのだから・・。
中沢啓治先生と「ゲン」の真っ直ぐな視線・・抑えられない想い。
嘘のない感情を持ち続ける精神。
作中「ゲン」が心が折れそうになると、いつもこう言ってました。
『踏まれても踏まれても真っ直ぐ伸びる麦のように強くなれ』
ゲンの父親が残していった言葉です。
「はだしのゲン」 これからも前を向いて前進!。・・・永遠に。
● 相生橋・橋上
広電・後部運転席から見た原爆ドーム
■ 「はだしのゲン」中沢啓治氏 追悼原画展 も、併せてご閲覧ください。
サイキックの眼 山本 コージ
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