ディレクターは、何処にいるのか。

2017-11-03 07:27:30 | つれづれ
山手線、昼さがりの高田馬場駅。

上下グレーのウィンドブレーカー、
長袖の先から、濃紺の幾何学模様の単色タトゥーが、両手から覗かせている。

後頭部は、起きたばかりであろうか、叩き起こされて、
追い立てられるように、放り出されたのだろうか、
寝癖が、しっかりとある。

彼である。30代前半。

彼は、彼なりの選択肢で、選んでいるのだろう。

基本的に、20代の男女、国籍を問わない。
次から、次に、肩をたたいて、声を掛けている。

実際の声は、耳には届かなかったのだが、
なんと声を掛けているかは、
口元をみると、「シャブ要らない? 」と、読める。

白昼の公の場所で。

周囲を見渡しても、カメラらしきものは、ない。

何かの間違いだろうか。
売人っていうものは、そういうやり方で、商売をするものだろうか。
それとも、
彼自身、幻覚のなか、常軌を逸脱いて、いるのだろうか。

まるで、映画のワンシーンのようだった。
彼を演出しているディレクターは、一体、何処に、いるんだろうか。