こちらが葛飾区亀有公園前派出所

青空のもと、冬なのに、ぽかぽか陽気で、
亀有駅前のバス停から、お客さんのところに向かう為に、
バスの到着を待っていた。

商談用の商品を入れたキャリーバッグをガラガラ転がし携えて。

バスが来て、目的のバス停で降りた。
商談内容を復習(さらお)うとして、資料と商品の事を気にした時、
手もとに、キャリーバッグがない事に気が付いた。

幸い、先方には、アポは取っていなかった。

慌てた、ぼくは、乗って来たバス会社に連絡をして、
バスの便名を伝え、バスの中を調べてもらうと同時に、
亀有駅前のバス停に忘れていないかを訊ねた。

が、しかし、
バス会社の窓口担当が応えるには、
乗車していたバスの運転手から見当たらないと言う報告だし
バス停に出発を待つバスの運転手も、バス停にないと言う。

記憶をたどるが、バス停まで転がした覚えがあるが、
なんせ、ぽかぽか陽気だ、
JR亀有駅の窓口にも、キャリーバッグの特徴を伝え、
届いていないか訊ねたが、期待は、はずれた。

金銭的には、大したものではないのだが、
商談セットを、また、一式を創り直すには、
ひと苦労ではある。

ここは、葛飾区亀有だ、
途方に暮れ、額から汗をたらしながら、
葛飾区亀有公園前派出所に、駆け込んだ。

調書をひと通り書き、あとは、宜しくお願い致します、と、
派出所を出て、申請終了のゴングが鳴りやまぬうちに、

腰の曲がった八十歳近いお婆さんが、
ぼくのキャリーバッグをゴロゴロ引いてきた。

奇跡である。

お婆さんは、この得体の知れない、不審物のキャリーバッグが怖くなかったのか。
人生の歴史の重さを感じつつ、畏(おそ)れ入った。

お礼を言い、手前勝手ではあるが、
手持ちの商品を謝礼に渡そうとしたのだが、

お婆さんの、応えた言葉に痺(しび)れてしまった。

「いや、バス停に、誰のものか判らずあったから、持ってきただけだよ、
そんなものは、いらない、もうバスの時間だから」
と、曲がった腰で、すたすた、立ち去ってしまった。

当たり前のことを、当たり前にした。
そこには、邪推なんてない。

大変、有り難く、嬉しい事ではありますが、
複雑な気持ちであります。

この複雑の気持ちが、
八十歳のお婆さんの素朴な気持ちと、
現在の問題だと、思うのだが、戻ることは出来ない。


こちらでは、このような話は、当然で、
200巻のネタの宝庫にもなったんでしょう、か。

ご存知でしょうが、
亀有駅前に、派出所はありますが、
葛飾区亀有公園前派出所という名称ではありません。

もちろん、
派出所内を探しても、
両さんも、中川くんも、麗子ちゃんも、
見当たりません。

奇跡的に、
お婆さんが、連れてきてもくれません。


深くは、関わっていないけど、
葛飾区亀有、いい街な気がした。

ぽかぽか陽気が手伝ってくれたから、
だけじゃない。







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