の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

イサーンのシム(布薩堂)・ワット パ レライ

2014年05月28日 | マハ・サラカーム
■「ワット・ポーターラム」から1.2km進むと、農村集落の中に「ワット・パ・レライ」があります。この村落寺院にもシムが建設されています。

過去に紹介しましたが、「コーン・ケン」は1783年にビエンチャンから逃れてきた300名が定着したのが始まり、「ローイエット」は1713年にラオスのチャムパーサック王が一族の「チャオ・ケーオモンコン」に移住者を連れて移住させました。後に息子が国主となります。また、1865年には「ローイエット」から「ターオ・マハーチャイ」が2000名を連れて「マハーサーラカーム」移住し国主となります。「カーラシン」は1777年にビエンチャンから5000名を引き連れて逃れてきたチャオ・ソームパミットが後に国主となっています。
1904年はタイ仏条約が調印され、メコン川左岸のフランスへ割譲、メコン右岸25km内を緩衝区域としタイ官吏の立ち入り制限され、タイはメコン左岸のラーオ人をタイ領へ移住させています。
元々イサーンにはたくさんのラーオ人、モン・クメール人が居住しており、タイが直接統治をしていた地域ではありませんでした。いわゆる朝貢関係による宗主国でした。そのような関係でラーオ文化の影響を受けた仏教美術は色濃く残っています。

シムの入り口です。堂内に至る階段には、簡素化されたパヤナーの像があります。



西から見ます。

南から見ます。錆びたトタン屋根に覆われて、十分な保護がされていません。

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■正面(東側)壁画です。




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■南側壁面です。「ヴェサンタラ・ジャータカ」が描かれています。
「ヴェサンタラ・ジャータカ」はタイ中央部の呼び方で、イサーン(ラーオ)では「パー・ウェットサンドン・サドック(物語)」または「パー・ウェト」として知られています。

天上界では、サッカ(帝釈天)の妻、プーサティが下界に転生しました。生まれ変わってからもプーサティと呼ばれ、地上で一番美しい少女に成長しました。
16歳でシヴィの国王サンチャヤと結婚しました。二人は心から愛し合い、やがてウェットサンドン王子を儲けました。
生まれた赤ん坊は「お母さん、私は何を与えることができますか?」と話しかけ、神々を驚かせました。
8歳になった時、「もし誰かが私の心を求めたら、彼に私の目、私の肉を与えるでしょう。」と話しかけています。
ウェットサンドン王子は自分の所有物を人に与えることで満足をしました。
16歳で王位を譲られで、隣国の王女、マディーと結婚をしました。王国は繁栄し、二人は幸せに暮らしていました。息子ジャリィ、娘カンハチナが生まれました。

何年も前、ウェットサンドン王子がまだ赤ん坊のころ、王国に若い白象がもたらされていました。白象は王国に慈雨をもたらし、王国を繁栄させました。

近くの王国カリンガでは長い旱魃で人々が苦しんでいました。皆の祈祷や国王の天へのお供えも空しく雨は降りませんでした。
カリンガの人々の多くがシヴィ国の霊験ある白象とウェットサンドン王の慈悲を知っていました。国民は国王に白象を貰い受けるため8人のバラモンを遣わすことを薦めました。

バラモンがシヴィに着いたとき、ウェットサンドン国王は白象の上から施しものを与えていました。貴重な白象は貴重な宝石と豪華な装飾で覆われていました。
ウェットサンドン国王はバラモンの要望を聞くや、すぐに承諾を表す水を彼らに灌ぎました。
(ウェットサンドン王が瓶から水を灌いでいるとこです。バラモンは梁の陰で見えません。壁画は3段に分かれて物語が描かれていますが、上段は汚れがひどく、鳥のフン害で白くなっています。)

(バラモンが白象を連れて帰るところです。)
シヴィの国民は、彼らに繁栄をもたらした白象の喪失を嘆き悲しみ、元国王のサンチャヤが王権を取り戻し、ウェットサンドン国王の追放を要求しました。
サンチャヤは心が痛みましたが、人々の激怒が大きく同意せざるを得ませんでした。

ウェットサンドンの追放に1日間の慈悲が与えられました。
その1日間でウェットサンドンは全ての所有物を700に分類して、700人に与えました。
遠くからも人々が贈り物を受け取りにやって来て、夜になってもまだ配っていました。
親の許しを得て、妻と2人の子供たちと一緒に最後の夜を過ごしました。

日の出とともに追放された家族は四頭立ての馬車に牽かれて都城を出て行きました。

都城の門が閉じるると、すぐに4人のバラモンが現われ、四頭の馬を求めました。

そして、即座に馬はバラモンに与えられました。
神々は、馬車をひくため牡鹿に姿を変えた4人の神を遣わしました。

しかし、すぐに馬車を求めて5人目のバラモンが現われます。

バラモンに馬車を与えたウェットサンドンとマディーは息子と娘を抱き旅を続けます。
彼らの旅は、ウェットサンドンの叔父が支配するチェッタに寄り、都城門の横の小屋で一泊しました。
叔父は館に彼らを招待し、ウェットサンドンに国を譲るつもりでしたが、叔父の意図を知ったウェットサンドンは都城内へ行くのを拒みました。
翌朝、国王はウェットサンドンと家族を森の近くまで見送り、川の畔で休息をとった後、食料を授けて分かれました。
4人は大きなムチャリンダ湖を迂回して、ヒマラヤ山脈のふもとの丘へ向かいました。森の中の細い道が彼らをヴァムカ山麓まで導きました。

神々の王サッカは、彼らが到着することを予測して、ヴィッサッカマに命じて蓮池の畔に二棟の庵を建築させました。
ウェットサンドンが先に庵に入ると、4組の隠者の衣服が折りたたんであることに気づき、サッカが彼らを見守っていることを悟りました。
彼らは7カ月間、草の根や森の果物を食べて生活をしていました。

カリンガではもたらされた白象によって旱魃は終わっていました。村にはチューチョックという醜いバラモンが住んでいました。彼には、働き者で若くて美しい妻アミッダーがいました。
アミッダーが水を汲みに井戸に行くと、居合わせた村の女性たちから悪口を言われたり、からかっていじめられます。とうとう彼女は水汲みに出かけることを嫌がって止めてしまいました。



チューチョックは寛容なウェットサンドンの噂を聞き知って、2人の子供を奴隷として貰い受けることで、妻をなだめました。
ウェットサンドンを見つけるために出発します。

森を通過するとき、チェッタ国王によってウェットサンドンを探す不審者を見張るように置かれていた、番犬や猟師に攻撃を受けます。
(ひび割れに漆喰を塗りつけただけの補修で絵柄が消えています。)
チューチョックはサンチャヤ国王の命令でウェットサンドンを迎えに来たと、見張り人や猟師を騙して通過します。
森の修行者にも同じ嘘を伝えて、ウェットサンドンの居場所を聞き出します。

(背面の壁画になります。)

チューチョックはマディーが森へ出かけるまで庵に近づくのを待ちます。
庵でウェットサンドンを見かけたチューチョックは歓喜しました。

チューチョックの異常な要望は、バラモンに水を灌いで受け入れられました。

二人のやり取りを聞いていた子供たちは、急いで蓮池の葉陰に隠れてしまいました。
ウェットサンドンは子供たちを蓮池から探し出し、チューチョックに与えました。

バラモンはツタで子供たちの手を結び付け、鞭打ちながら連れ去りました。
ウェットサンドンの目からは涙があふれ出しました。彼は泣きながら庵に入り、深い悲しみにおちてしまいます。

マッディーが泣き叫びながら連れ去られる子供たちに遭遇するのを防ぐため、3人の神はライオン、トラ、ヒョウに身を変え帰り道を塞ぎます。
ウェッドサンドンは帰宅したマッディーに真相を告げることができませんでした。
子供が見当たらず、取り乱した母親は夜明けまで彼らを探しました。朝になり彼女は気を失ってしまいます。
マッディーを介抱したウェットサンドンは、バラモンに子供を与えたことを告げました。彼女はウェットサンドンの徳を称え賛同しました。

サッカは最も素晴らしい贈り物として献身的な妻が残っていて、ウェットサンドンは人に乞われれば、彼女も与えてしまうであろうことを知りました。
マッディーを他人に与えるのを避けるため、サッカは醜いバラモンに身を変え、庵を訪れました。
妻を請うバラモンにウェットサンドンは承諾の水を灌ぎます。妻も夫の願望を果たすため承諾をします。

神はウェッドサンドンに最高の慈善能力があるのを認め、マッディーを返しました。


カリンガへ戻るチューチョックは森で迷い、神々によってシヴィの国へ導かれて行きました。
シヴィに入ると人々に見いだされた、チューチョクと子供たちはサンチャヤ国王のもとへ連れていかれました。

国王は孫を見出して大喜びでした。チューチョックを罰するどころか、大邸宅を建て、多額の褒賞金を与えました。
豪華さに慣れていないチューチョックは差し入れられる食べ物を食べ過ぎ死んでしまいました。



国王はジャリィに息子を十分に愛さなかったと責められます。
そこで国王はウェッドサンドンをシヴィに連れ戻すことにしました。国民も彼の追放を後悔して迎えることに大喜びでした。
国王は将軍に命じて、森まで馬車で行ける平坦な道路を造らせ、王族の行列を仕立てて迎えに行きました。
ウェッドサンドンにシヴィに戻り、もう一度王位に就くよう懇請しました。1カ月間森で祝祭を営んだうえで、ウェッドサンドンは王にふさわしい服装、マッディーは美しい衣装と宝石で盛装して、華麗な行列を連ねて帰国しました。





王座についたウェッドサンドンは生涯、貴重品を人々に分配しました。
生を終えると、天上界に菩薩として転生しました。
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■北側壁面です。「ラム・ラック物語」、ラーオ版の「ラーマキエン」が描かれています。












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■堂内です。





















地獄の釜茹です。岩の上から僧衣を垂らすのは、天界と地獄を自由に行き来して、地獄で苦しむ人を助けるプラ・ラマイです。

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寺院の入り口で軽食を取りました。

一串が20バーツの蛙です。写真撮影だけで買ってはいません。



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