の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

イサーンのシム(布薩堂)・ワット ポーターラム

2014年05月23日 | マハ・サラカーム
■イサーン中央部の寺院には特徴的なラーオ語の「シム」と呼ばれる布薩堂(ウボソット)があります。
1900年代初期に、フランスの植民地であったベトナム、カンボジア、ラオスで建築技術を学んだベトナム人によって建設された、煉瓦造りの小さな布薩堂です。かっては出家儀式などの重要な宗教儀式が執り行われた施設ですが、現在はシムに替わる中央タイ様式の画一的なウボソットが建立され、布薩堂本来の機能は果たしていないようです。
シムが他の布薩堂と特に異なるのは、外壁面に地元で採れる藍等を基調にしたラーオの地方色をおびた宗教画が描かれていることです。
描かれているのは仏伝図ですが、仏伝図以上に多いのが「ヴェサンタラ・ジャータカ」、ラーオ版の「パー・ウェットサンドン・サドック」(パー・ウェット)です。他には「シンサイ物語」、ラーマキエンのラーオ版「パー・ラム・サドック」が描かれています。

まず訪れたのが、国道2381号線から国道1045号線を数キロ南へ向かい農村集落内にある寺院「ワット・ポーターラム」です。

■「ワット・ポーターラム」には「シム」と並んでやはり煉瓦造りの礼拝堂が建っていましたので、そちらから紹介します。

























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「シム」の外観です。

「シム」の入り口です。階段の両脇には素朴な形の「シンハ」(獅子)が並びます。

 



壁画職人は「ワット・プーミン」の壁画を意識しているようです。他ににも数カ所「ワット・プーミン」の壁画から触発された場面があります。


■南側の壁面です。「シンサイ物語」が描かれています。
「シンサイ物語」はラーオの地方ジャータカの一つです。
昔々、ペンチャン王国にクサラット王とチャンタ王妃が住んでいました。王にはスモンタという大変美しい妹がいました。
ある日、クムパンというヤック(鬼)が巨大な鳥に身を変え、ペンチャン王国を飛んでいると宮廷にスモンタを見出しました。クムパンは一目で惚れ込み、スモンタを拉致して彼の町へ連れ去りました。
国王はスモンタの探索にでましたがとうとう見つけ出すことができませんでした。
しかし、長い探索の旅で新たに7人の新しい妻を得ました。
やがてクサラット王の妻二人、チャンタ王妃とルン王妃がインドラ神への願いが通じて神秘的な力を持った男児を出産しました。
一人の妻はシホという名の体の一部が象、一部がライオンで、もう一人はシンサイと呼ばれ、生まれつき神秘的な剣と弓を持った男児とサン・トーンという体が巻貝の双子です。
同じころ、他の6人の妻たちもごく普通の男児を出産しました。
6人の妻たちは、神秘的な力を持った者が世継ぎになることを恐れ、占い師を通じてシホ、シンサイ、サン・トーンと二人の妻を都から追放するように国王へ画策しました。
国王は占い師の言質を信じ、軍人に命じて5名を森に追放しました。

シンサイは7歳になったとき、年齢以上の聡明さと武術を身に付け、ガルーダやナーガを打ち負かし、忠誠を誓わせるようになっていました。
一方、普通の6人の王子も普通に成長しました。そこで国王は6人の王子たちに誘拐された妹のスモンタを見つけ出し、連れ戻すように命じました。






6人の王子は森を進むと、シンサイ、サン・トーン、シホにであいました。お互い話をしたうえで、9人は兄弟であることを知りました。
6人の王子は、3人をだまして、叔母探しに連れ出しました。

6人は自分達に危害がかからないよう、3人の後ろから進みます。
3人の行く手には、猛毒蛇、鬼、巨大象等のすざましい生き物が襲い掛かってきますが、ことごとく打ち破って進みます。
シンサイはクムパンの町へ着きました。クムパンはちょうど食料を探すため出かけた後でした。

さっそくスモンタを訪れ、ペンチャンへ戻るように告げましたが、スモンタは長年連れ添ったクムパンに恋愛をしていて戻ることを望みませんでした。

そこへ戻ってきたクムパンと3王子の戦いがはじまります。長い戦いの末にクムパンは殺されてしまいます。しかし、時間をかけクムパンは再生し逃げてしまいました。
サン・トーンはクンパンを追いかけるため、自身を色々な形態に変化させて、最後にシンサイはクムパンを殺害します。
クムパンの死を知ったスモンタは深い悲しみにつつまれ、そして、いやいやペンチャン王国に戻ることに応じました。

乙女が実る、「ナーリーポーン」という木です。シンサイは実っている果実(乙女)を獲得して交わることができますが、ヤックには果実を得ることができません。

■西側(背側)の壁画です。「仏伝図」が描かれています。


イーサンの生活風景が描かれています。

太子の王宮生活です。だらしない寝姿の官女たちを見て出家を決意します。

愛馬に乗り御者と共に城を出る所です。馬の足音がしないようヤクシーが馬の足を支えています。

瞑想をする仏陀と魔衆の攻撃が描かれています。



■北側の壁画です。「ヴェサンタラ・ジャータカ」です。「ヴェサンタラ・ジャータカ」は堂内へも続きます。
自分のものは全て人に与える布施王子のお話です。国に繁栄と慈雨をもたらす白象を他国に与え、国を追放され森で暮らす王子と妃、そして2人の息子と娘ですが、最後には子供や妻も与える王子の物語です。
「お話の詳細は次回に記載します。」












この図は正面右側に描かれたものです。森を進むヴェサンタラ王子と妻、子供たちです。

水汲みに来て、近所の女たちにいじめられ泣いているのはバラモン「チューチョク」の美しい妻「アミッタダー」です。彼女は外へ出て働くことをいやがります。そこで、チューチョクはヴェサンタラの子供を奴隷にするため貰いに出かけます。



■シムの内側です。









チューチョクが二人の子供の手を結び付けて引き立てていくところです。

中国人の商店です。長い髪の毛を後ろで束ねたのが中国人です。




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