の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

サンカロークの河豚(ふぐ)

2016年06月25日 | 陶磁器(タイ)
日本では「ふぐ」といえば海水魚ですが、世界的に見れば「河豚」に「河」という字があてられているように、淡水にもたくさん生息しています。
タイでも、メコン川やチャオプラヤ川を中心に主要河川には「プラ・パック・パオ」と呼ばれる淡水ふぐがいます。
シーサチャナライを流れるヨム川にもかってはたくさんいたそうです。普段はおとなしい魚ですが、水遊びや水浴で魚体に触れると鋭利な歯で肉を喰いちぎられるそうです。
また、体内には毒をもっており、食べると腹痛を起こしたり、ひどいときには死に至るそうです。

タオ・パ・ヤーン窯の「鉄絵メコンふぐ形双耳瓶」です。胴径11.5cm、口径2.7cm、高台径5.9cm、高さ7.9cmの大きさです。
身近な存在であった淡水ふぐが愛嬌のある顔で描かれています。

コ・ノーイ村の用水路工事で出土しました。

尻ヒレは破損しています。破断面の摩耗から察すると、地中に埋没するときに折れたようです。






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2015年1月20日付けの「メコン・フグ(淡水ふぐ)の瓶」で一度紹介しました、スコータイ窯の「淡水ふぐ(プラー・パック・パオ)」です。
絵付けがパ・ヤーン窯の淡水ふぐと酷似しているので再掲載しました。
全長8.8cm、全幅6.8cm、全高5.4cmです。

三カ所のヒレに穴があいており、紐を通して吊すようになっています。








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久しぶりのブログ・アップでおまけです。
コ・ノーイ窯で焼かれた「無釉の天人像頭部」です。寺院装飾の一部だったようです。
全長7.9cm、幅5.0cmです。



裏面です。

絵と文字が彫られているのですが、そのままでは解りにくいので天花粉をねじ込んでみました。
尻ヒレの大きな金魚のような魚が描かれています。文字は読めません。

樹下観月の図

2016年06月10日 | 陶磁器(タイ)


サンカロークの窯跡から出土した明代の青花です。
「柳の樹の下で、団扇を片手に観月する女性の図」と勝手に決めました。この手の品は、外側は馬に腰掛けた人物像が四カ所に描かれているの一般的です。


明青花の絵柄を模倣したと思われるパ・ヤーン窯の鉄絵樹下観月文碗の陶片です。


変化していきます。模倣したのは、オリジナルの明青花ではなくパ・ヤーン窯で作られた鉄絵碗でしょう。


窯印が入っていますが、樹を中心に持ってきたため、絵柄が左に寄ってしまいました。樹は椰子の木になったようです。


絵付師は左利きだったのでしょうか、左右が反転してしまいました。


パ・ヤーン窯で見つかった磁器片です。



オリジナルの青花もずいぶん変化し簡略化されています。


かなり飛躍していますが、本図の元絵も樹下観月図でしょう。
タイのトラックやバスに見るように、一般的にタイ人はごちゃごちゃと飾り立てるのが好きなようですが、そんなルーツはこんな所にあったのかもしれません。
人物の上が欠けてしまい全体が分かりませんが、雑然とした感があります。


樹下観月図が獅子が樹の下で倒立してしまいました。団扇はしっぽになってしまいました。
どのような発想か分かりませんが、あまりにも飛躍しすぎです。

謎の小瓶

2016年06月09日 | 陶磁器(タイ)

鉄絵で頸に蓮華文、胴の上部には魚鱗文、若しくは逆青海波のような文様を描き、底から1/3ほどを残し透明釉を掛けた小瓶です。
胴径6.5cm、高さ7.3cmで15、6世紀頃のパ・ヤーン窯で焼成されました。

何の変哲もない小瓶ですが、角度を変えると口から8mm下がったところに直径3.5mmの貫通穴があいています。

穴であれば、紐を通してぶら下げることぐらいしか思い浮かばないのですが、何を入れて、何処へぶら下げたのか興味深い小瓶です。





底面です。

カオ・ラーム(バン・セーン)

2016年06月07日 | チョンブリー

市場や道路を走っていると竹筒に入った餅米を蒸した食品をよく見かけます。地域によって用いる竹筒が異なったり、味のと違いはあるものの、基本は餅米をココナッツミルクで蒸したおやつのようなもので「カオ・ラーム」と呼びます。バンコク周辺では、チョンブリーのバンセーンが有名で、いまだに昔ながらの方法で作っている店があるとのことで、写真を撮りに出かけてきました。
バンコクから約80km、午前5時40分にスタートして午前6時40分に到着です。狭い路地を入っていくと早朝から「カオ・ラーム」を販売している店があり、車を停めて作っている場所を訪ねると、店の向で煙が上がっています。「何しに来た。」との問いかけに「写真撮影。」と答えると、家の中の荷車をどけ駐車スペースを確保してくれました。

まだ全体に火が回っていません。
真ん中に並んで立っている青竹が「カオ・ラーム」で中には黒餅米、「トゥア・デーン」と呼ばれる小豆によく似た赤い豆、ココナッツの果肉数片、そして「ナム・カティ」というココナッツ・ミルク入りの炊き汁が入っています。蒸すと書きましたが、炊くといった方が良いようです。炊きあがると甘い赤飯のようになります。
白い餅米を炊くときには、黒い豆が入ります。やはり甘いおこわです。





まだ燃えていない所へ椰子殻の種火を分けていきます。

3時間炊き続けます。











燃え尽きてきました。椰子殻の投入です。









彼の話では、ほとんどの店が炉で炊いているそうです。この近くににも店がありますが、ブロックで囲まれた炉で作業をしていました。
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「メー・ニヨム」というお店です。朝からたくさんの人が買いに寄っています。



売れると竹を鉈で割ってから客に渡します。

この老婆が店名の「メー・ニヨム」でしょうか、短い竹筒の「カオ・ラーム・チョット」の汚れを丁寧に落としていました。

「カオ・ラーム・チョット」です。
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店の裏では竹筒に餅米を入れています。

切った青竹です。節が中程にあって、ずいぶん上げ底になっています。

「カオ・ニョウ・ダム」(黒い餅米)、赤い豆、ココナッツの果肉を適当に詰めていきます。
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駐車のため庭を空けてもらい、長時間にわたりうろうろしたので、手ぶらで帰るわけにも行かず、ちゃんと買ってきました。
長い「カオ・ラーム」は3本が100バーツ、短いのは1個が25バーツです。ただ、竹筒が長いと言えども上げ底で、内容量はどちらが多いのかよく分かりません。



赤飯のようになった黒い餅米です。口のあたりには炊きあがったココナッツミルクがクリーム状になり、竹の香りが全体を包み、柔らかく炊きあがっておいしくいただけました。
店の説明では3日間ぐらい日持ちするとのことでした。

こちらは白い餅米と黒い豆です。

「カオ・ラーム・チョット」です。黄色い実は「ペックワイ」といいますが、どのようなものかよく分かりません。こちらには竹のスプーンも付いています。