の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

ブン ワット パー古窯・2

2021年12月31日 | 陶磁器(タイ)


古窯址の名前となった沼、ブン ワット パーです。
ノッパカオ窯址の解説板には沼の土手近くに1号窯から5号窯の説明があるのですが痕跡すら見当たりません。









気がつくと沼で水草を採取している人がいました。聞くと「そこだ」と教えてくれるのですが、行き当たりません。見つからない旨を伝えると、舟を下り案内してくれました。





案内されたのはここです。ブン ワット パーに取り付けられた道路と畑の間に出来た幅5mほどの凹地の土手です。凹地は雨期の水がたまり池になっています。その土手に防水シートで覆われ埋め戻されている窯の一部が露呈しています。
納得です。埋め戻しておかなければ雨期には池の底に没してしまう場所です。



道路側から見た写真です。
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芸術局が発掘状態をユーチューブで公開しています。そこから画像にコピーしたので掲載しておきます。







1号窯です。全長9.4m、幅2.9mの大型の窯です。







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畑の中には耕作で掘り起こされた陶片があります。
何点か持ち帰りました。







鉄分を含んだ陶土で成形し化粧土を塗りつけ、型押しや線刻を施したよく焼き締まった陶片です。
印花文はスパンブリーのバン バン プーン窯と酷似しています。
陶片を比較検討してみようと翌週スパンブリーに出かけてきました。(次回記載予定)

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下は10年前にバン バン プーン古窯の物原で拾った陶片です。よく似ている印花文と波文を添えておきます。




ブン ワット パー古窯・1

2021年12月30日 | 陶磁器(タイ)

バンコクの北300kmにピチットがあります。ナコーン サワンとの県境沿いのヨム川とナーン川の間に蛇行するヨム川が流れを変え、取り残された沼「ブン ワット パー」(タイ語で沼をブンと呼びます)があります。
ブン ワット パーの南端に2018年4月から発掘調査がされた古窯址が有り、第一期の1号窯から5号窯は2020年、第二期の6号窯が2021年に調査を終えました。
16、000㎡に6基の窯が確認され、6号窯は地主の名前から「ノッパカオ窯」名付けられ覆屋保存されています。

タイでは今年に入りコロナ感染が爆発的に広がり、越境禁止などの厳しい行動規制を実施、9月に台風13、15号の襲来で各地の河川が大雨で氾濫、大洪水で道路が寸断されていました。
11月になり行動規制が緩和、洪水も収まり、スコータイに所用が出来て途中にあるブン ワット パー古窯址を訪問しました。




ブン ワット パー沼を目指して行くが一帯は人家が少なく、人の往来もまれで、窯址を探すより窯址の所在を尋ねる人を探すことに時間を費やしました。



6号窯址(ノッパカオ窯)は畑の中に屋根を設けて保存されているのでなんとかたどり着けました。





全長6.5m、全幅2.6mの横焔式地下窯で、タイで発見された完全状態で最大の窯です。
この一帯はブン ワット パーの土手で冠水被害を免れたようですが、降雨が掘削壁の土を流し、焚口が埋まっています。窯下部は今も水を含み緑色をしています。

現場に設置された解説によると活動期間はスコータイ王朝初期の13世紀から15世紀で、窯構造はシンブリーのメナム ノーイ窯、イサーンのメナム ソムクラーム窯そしてシー サチャナライの61号窯との共通点を指摘しています。陶土 (? 作陶技法のことか) はスパンブリーのバン バン プーン窯、コ ノーイ窯とよく似ているとしています。









ノッパカオ窯の北100mに2020年に調査を終えた1号窯から5号窯があります。(次回記載)
また、発掘による出土品は多くないようです。解説板の写真では青灰色の波状線刻文の焼締壷や褐釉壺、そして中国青花、青磁片が掲載されています。