湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

マーラー:交響曲第10番~Ⅰ

2007年06月26日 | マーラー
○テンシュテット指揮ボストン交響楽団(WME:CD-R)1982/8/15live

さすがにこの作曲家の作品になると「莫大茫洋」にはならない。もっとも、テンポは遅い。点描的な音響効果が散りばめられた現代直前の曲といった側面に目を向けているようにもとれる丁寧さもあるが、きほん客観的に構築しつくした音楽を即興でロマンティックにずらしていくといったテンシュテットらしい方法論が聴いてとれる。だから、最後に近づけば近づくほど板につき俄かに神さびてくる。名演とまではいかないが何かしらのものを残す演奏、といった程度か。他録と同じと言えば同じなんですけどね。録音あまりよくない。○。

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エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ第3番

2007年06月26日 | 北欧・東欧
◎作曲家(Vn)リシェ(P)(東芝EMI)1949・CD

名演!録音リマスタリングもクリアでいい。エネスコの表現はほんと標本にして飾りたいくらいのもので(おいおい)民族的な表現の模範といっていいだろう。今の技術の観点からして決して巧いとは言えない細かいところはあるものの、それも瑣末と思えるほどに全体の流れと表現の機微が完璧である。自作自演でしかなしえない部分というのもあるだろう。◎。

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チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」~Ⅰ

2007年06月26日 | チャイコフスキー
ホロヴィッツ(P)スターン(Vn)ロストロポーヴィチ(Vc)(sony)1976/5/18カーネギーホール85周年live・CD

祝祭的な大舞台において小規模アンサンブルというのはえてして失敗しがちである。とくにアンサンブル専門ではなくソリストの寄せ集めであったとしたらおのおのの個性が衝突してしまいその場のライヴとしてはスリリングに楽しめたとしても録音としてはなかなか難しい結果となりうる。この演奏はスターンが足を引っ張っている。必ずしも嫌いな表現ではないのだが奏法(音色)が単調で粗く弓を弦に押し付ける耳障りな雑音の混在に力みすぎて音程にならない場面はしょうじき絶対音感のない私のような人間ですら辛く感じるし、スピードに不安定な起伏がつき過ぎて聞きづらい。ロストロは引きのスタイルで全く危なげなく実に余裕たっぷりにつけているが自己主張が無さ過ぎて印象に残らない。いや、巧すぎるのだろう。ホロヴィッツはこの三人の中ではずば抜けて芸術的であり、曲がそうであるということもあるのだけれども細かく詰め込まれた一音一音に意味があり、尚且つ全体の流れを損なわない。結果としてスターンがすべてを支配しようとしているのにホロヴィッツの音楽を聴いてしまう。録音バランスの問題も否定できないか。らしくないミスもロストロ以外にはきかれ、この史上最大のコンサートと称されたアメリカ的な記念碑に、やや稚拙な文字が彫られたかのような、少し残念なかんじをおぼえた。遅いので練習の伴奏用に使える側面はあるかも、明日聴きながらつけてみるか。ロストロにはゴリゴリのソヴィエト・トリオによる物凄い演奏があるが全く違う。ルバートしているのに結構生硬なテンポが練習に向くような気が。それにしても、全員鬼籍に入ってしまったのか。

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フランク:交響曲

2007年06月25日 | フランス
◎コンドラシン指揮バイエルン放送交響楽団(PHILIPS)1980/2/8ミュンヒェンlive

このライヴ録音はtahraが復刻した3年前のACOのものに比べてギスギスしているとか内容的に落ちるとかいう評価もあるようだが、しょうじき、フランクの交響曲を聴いて楽しかったと思えたのはこの演奏を置いて他に無い。何というか、コンドラシン晩年に西欧諸国にやたらと残されたライヴの中には独特のテンションにオケがついていかなかったり逆にオケに引きずられてコンドラシンらしさが失われてしまっているものもあるように思う。でも中にはこの演奏のように、指揮者とオケが拮抗し結果いい方向でギリギリの緊張感が生まれてくるものがある。ひたすらスピードと力技にまかせロシア式の分厚い響き(でも色彩感は薄い)を求めるコンドラシン、テンションは高いけれどもどちらかといえば堅実に技巧的な場面はしっかり表現するバイエルン、その両者が歩み寄るというより戦いどちらの長所も兼ね備えた偉大な結果に結実しているように思う。フランクはほとんどドイツだ(言い切る)。バイエルンの表現は西欧的な表現でロシアのやり方を拒否する。しかし特に音楽が盛り上がる場面のブラスにおいては、コンドラシンの指示が異常な表現力を持つロシア吹きに近いところに持っていかれ、まるでロシアの国民楽派を聴くような錯覚に陥る。それもけしてスヴェトラのような「ロシアもの」になりきることは無いから全体のフォルムがかなりの表現の幅を持った形で保たれる。コンドラシンのスピードは音楽を新即物主義的にぎゅっとかためてしまう特性があるがこの曲はそういう方向だとかなり色あいが渋くこじんまりと感じられわけがわからなくなりうるもので、ブルックナーをやるような、ハーモニーのうつろいを重厚壮大に響かせる表現方法をいやおうにもとらないと曲にならない。バイエルンの頑固がそれを可能にしている、と言い切ってしまおう。これはけしてスピードという魅力に流されない演奏として特徴的な名演だ。もちろん、最後はすさまじいスピードになるが。

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ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

2007年06月24日 | ドビュッシー
○ロスバウト指揮南西ドイツ放送交響楽団(SWF)

意外にねっとりしたテンポで音楽は進む。音響的にはやや重いが硬質で通りはいい。とにかくフレージングに溢れる法悦感が凄く、ロスバウドの余り知られていない一面を垣間見せる。現代音楽専門指揮者というのはともすると客観主義一辺倒のように見られがちだがかつてはかなり個性的な解釈を「分析的に」施すのが特徴であったのであり、セル的な見られ方カラヤン的な見られ方をするロスバウトも、解釈においては個性の投影に躊躇はなかった。マーラーの7番あたりにはその真骨頂が聴けよう。○。

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ショスタコーヴィチ:交響曲第7番~Ⅰ、解説

2007年06月24日 | ショスタコーヴィチ
◎バーンスタイン(P)、語り、指揮NYP(KENYON&ECKHARDT,FORD)1959/10/25のCBS放送・モスクワLIVE・LP

バーンスタインによるレニングラード・ショスタコーヴィチとその周辺や同時代音楽にかんする解説がA面、一楽章のみの演奏がB面に収録されている。A面は最終日のモスクワ音楽院ホールにおける講演というアナウンスが入る。バンスタがこの時期によくやっていたていのもので、基本的にはレニングラード全楽章の抜粋を中心に構成され、コープランド「ビリー・ザ・キッド」をはじめピアノと管弦楽をまじえたさまざまな曲の手短な説明だが、これはこれでなかなかにききごたえがある。派手な両国国歌から音楽は国境を越えて人々を結び付ける、たとえばポーギーとベス、と言ってサマータイムをピアノでかなで、アメリカで一番人気はロシアの曲といってピアノでかなでるのはラフ2にチャイコンの有名な旋律。笑いがもれたところでレニングラードとビリー・ザ・キッドを対照した本題に入る。ソヴィエトに敬意をはらいつつもアメリカを誇示するような調子が面白い(コープランドの演奏はやや荒いが)。

しかし聴き物はやはり(1楽章だけではあるが)B面のほうだろう。NYPの「いい意味で悪いところ」が出ている。即ち、「いつも本気ではなく、いつも集中しているわけではない」この老獪なオケ、流して演奏したようなバラケ具合を見せるアメリカでのライヴ演奏のレベルに比べて、「明らかに違う」のである。ベルリンのトップオケかとききまごうような質量、音色の揃い具合、密度の高いアンサンブル、これをいつもやれと言われたら酷なのかもしれないが、オーマンディ同様この時代モスクワでアメリカ人が演奏するという国家を背負った状況において、NYPはベストメンバーとトレーニングで万全に臨んだのであろう。とにかくNYPにしては極めて精度が高くスリリングである。そして重く硬質な表現もみせる。後年のバンスタのみせた音楽表現の幅というものはそれほど無いにせよ、テンションが高い位置で行き来しているさま、一番の聴き所は戦争の主題の全てを蹂躙する行軍の描写である。異常なスピードで、あきらかに娯楽的ではなく、ひたすらの非人間的なメカニカルな表現である。ここに生易しい軍歌は聴かれない。軍靴の鳴り響く音がひたすら背筋をぞっとさせるのである。人間の主題の表現は過度の思い入れが無いぶん、コントラストが極端にならないでバランスがとれている。正直1楽章だけでは何とも言えない。だが、マスターから直接落としたと思われるこの録音自体も素晴らしくクリアで、モノラルとはいえ生々しい・・・生々しいといっても脂肪のぶよぶよした生々しさではなく、人の死に、物の壊れる肌触りの生々しさだ。◎。

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ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番

2007年06月22日 | ショスタコーヴィチ
○ボルツァーノ三重奏団(WESTMINSTER)

2楽章など遅く確かめるようなところもあるが、ワタシ、この団体は好きですねー。アンサンブル専門団体は音色や奏法が揃ってきわめてまとまりがいい。アウンの呼吸で自然にひとつの音楽を作れるのである。アンサンブル団体はオケがそうであるようにソリストの寄り合いではなく独立したひとつの表現形態だ。なつかしい色気のある暖かな音で統一され、耳やさしい。しかし技術的に集中すべきところでは不足なき力を発揮している。楽しめる。

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タネーエフ:カンタータ「ダマスカスのヨハネ」

2007年06月22日 | ロシア・ソヴィエト
○ゴロワノフ指揮ソヴィエト国立放送管弦楽団・合唱団(MELODIYA)1947

エイコーラーの主題の変化形のような旋律からはじまり、悲劇的な音楽から崇高な宗教的世界に昇華されてゆくドラマ的音楽。オーパス1番。オペラティックで鈍重だが合唱が重厚にうねりだすとゴロワノフならではの劇性がうまいこと働いてきてしっくりくるようになる、ただ極端に音が悪い。

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ラヴェル:ピアノ三重奏曲

2007年06月22日 | ラヴェル
○ボルツァーノ三重奏団(WESTMINSTER)

繊細で美しいのである。かといって怜悧に整えられた演奏ではなくオールドスタイルに近い感じのする演奏だ。フランスの団体かのような音の透明感と温かみがあり、メンバーの技量もセンスもマッチしていて変な突出や歌いこみは聞かれない。ラヴェルはこれが基本的には正しい筈である。○。

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<御礼>先生恐縮ですっ

2007年06月22日 | Weblog
まさか丁寧にサイン会の参加お礼ということで、

こんなマジな画を送っていただけるとは、、、絶句。。


今さいこうにのっていらっしゃる葉介先生、こんな本気のファンサービスはうれしいですが(住所を聞かれたのはこの絵をプレゼントしようという意図だったのでしょうか・・・整理番号一番だったせい?会社休んでよかった)、ファンとしては一個人のワタシごときにこんな素晴らしいものをお送りいただくのは物凄く恐縮で、、そのサービス精神を新しい作品作りにどんどん出していってほしいていうかたも多いのではと、別方向への恐縮も。。小瓶の酒いっぽんでは申し訳がたたないので、もうすぐ祭の絵金の名を冠した酒瓶と、ツマミに絵金の映画をダビングして差し入れさせていただきます。。


で、この写真のどれでせう?て瞭然か。本棚がますます昭和初期チックになってきた。。田中貢太郎の下には戦前のフランス音楽書とか史蹟めぐりの本などあります。関東大震災あと昭和初期の大東京市周辺ガイドブックが3冊以上、、、当たり前だけどこれ持って出掛けてもちっとも役にたちません。石神井川が蛍の名所て。銀座にゃ市電が走ってるし有楽町は有楽原て原っぱになってる。
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モントゥ追加

2007年06月22日 | Weblog
形態が違うとはいえロザンタールやミュンシュの10分の1、マルティノンの3分の1の二束三文だったわけですが。。
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メンゲルベルク追加

2007年06月22日 | Weblog
PC破壊ちゅうなので携帯で撮ってこちらへとりあえず。
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ストラヴィンスキー:クラリネットのための三つの小品

2007年06月21日 | ストラヴィンスキー
○パネッラ(CL)(ensayo)

なかなかに面白い小品集なのだが、この曲は弦楽四重奏のための三つの小品のあとに収録されており、またその流れで面白く聴くことができる。演奏団体やメンバーが違うにもかかわらずこのエンサーヨのストラヴィンスキー集はパレナンに象徴される客観性と明るさ透明感が統一意識として通底しており、その範疇で過度にのめりこむことも過度に飽きることもなくすんなり聞ける。○。

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ストラヴィンスキー:ピアノ・ソナタ(1924)

2007年06月21日 | ストラヴィンスキー
○エスピノーサ(P)(ensayo)

まだノりまくってた頃のストラヴィンスキーの物凄い知能指数が感じられる曲のひとつで、アンサンブル曲ほどの物凄い計算は無いものの、旋律とリズムのかもす特有かつ汎用的な叙情性は比類ない感興をあたえるものである。ペトルーシュカからの三章もいいけど、ピアノ曲としてかかれたものはやっぱり違う。メカニカルな律動にひたすら酔うという意味ではけっこう素っ気無く乾燥した解釈のこの人のスタイルでも十分楽しめる。もっと何かプラスが欲しいし力強さや技巧の余裕からでる面白みも欲しいし、かといってピアノスコアに忠実というガチガチのスタイルでもないところがちょっとハンパな小粒な演奏にも思った。

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ストラヴィンスキー:兵士の物語組曲

2007年06月21日 | ストラヴィンスキー
○ガンファン指揮室内楽団(ensayo)

かなり生硬さを感じさせる演奏。意図かもしれないがスコアの立体構造の忠実な再現に全力を注いでいるようで、ヴァイオリンなど速弾きが無理なのかそういう趣旨でやってるのか?と迷うようなところもある。音も無個性というか、フランス的である。リズムの正確さへの傾注はクラフトのスタイルを思わせるところがあり、低弦のツィンバロンというよりアフリカの打楽器的な響きを「リズム旋律」として楽しめるが、普通に歌い踊るリズムとは言えないかもしれない。いちおう○にはしておく。爽やかで薄いのがいいと感じることもある。

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