湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆アイヴズ:祝日交響曲

2016年08月29日 | アイヴズ
○ドラティ指揮デトロイト交響楽団(DA:CD-R)1978/11/25放送live

ドラティはこの曲の初演者。恐らくかなり手を入れており余りに聴きやすすぎる。この曲は私はほんとに好きなので、長すぎる、散漫、テンション低い演奏が多いという点で不満があったところを覆してくれた素晴らしく聴きやすい演奏だから、◎にしたいが、主旋律をしっかり作り上げそこを中心軸にしてちゃんと演奏できるように整えてしまったところが「これがアイヴズだ」とは言い難い部分もあるので○にしておく。ドラティは自分的には好きな即物主義タイプにも関わらず余りに耳に残らない演奏が多く、職人的にこなしてしまうドライさというか、「どれでも同じさばき方」をするところが全く引っかかりが無い(凡庸といえば凡庸)ので、勢い任せで乗り切れる程度の長さの曲でないと聴かないのだが、これはその勢いがアイヴズの曲が内面で懇願している「勢い任せでやってください」というお願いとうまく噛み合っているからかもしれない。とくに構造的な手法の鮮やかさと本来の意図である祝祭的な盛り上がりの作りかたに重きを置いたところに成功の秘訣はあると思う。「聴きたいノイズ」がまるきり聞えてこなかったりカオス的音色も払拭されているが、一回こっきりCD化されただけということでもわかるとおりのバンスタの迷演を聴くよりはよほどこちらを聴いたほうがいい。まずトーマス、次ドラティ。演奏も完全に組曲として一楽章(一祝日)ごとに拍手やナレーションが入るが、各楽章本来の「4つの祝日風景を音に落とした」というアメリカ人的愛国心をしっかり描いたものとしては素直だろう。

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