湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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<追憶:20世紀ウラ・クラシック・ベスト>

2009年07月01日 | Weblog
<追憶:20世紀ウラ・クラシック・ベスト>
ヴォーン・ウィリアムズ(英国)ヴィオラと小管弦楽、合唱のための「フロス・カムピ(野の花)」(1925/27)
日本人の心にひびく民謡調の牧歌を書いたこの人が、苦心して作り上げた歌詞のない合唱を伴う幽玄な曲。初演リハーサルで演奏家たちがいたく胸を打たれていたと伝えられます。穏やかすぎる世界から心象的な風景に没し、深い思索へいざなうヴィオラ協奏曲です。荒野を思わせる複調性の響きに第一次大戦の影を感じるところもあります。古い録音のほうが時代の迫真味があるように思います。トゥルシの弾いたものは「イギリスの靄のかかった荒野、浮かんでは消える幻影、最後に陽さす光景・・・歌劇「天路歴程」に通じる美の極致」古い録音でも胸に迫るものがあります。プリムローズの達者な演奏、リドルとデル・マーのいずれも作曲家と交流のあった者の透徹した演奏、後者は新しいステレオですが、それぞれの良さがあります。新しいものではソリスト失念しましたがアブラヴァネルのものが作曲家の工夫を効果的に浮き彫りにして素晴らしい。ハンドレー盤のパルマーはプリムローズ同様達者すぎて引っ掛かりがないかも。L.フックス(妹)はこの曲をレパートリーとしており起伏の大きな異例の演奏を残しています。 20ura
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フランツ・シュミット(墺)交響曲第3番(1928)
この人こそ「末流ロマン派交響曲」を私に意識づけた人です。同年のシェーンベルクと別の形で演奏困難な書法と言われながら、耳にはブラームス、ブルックナー、マーラーを昇華させたような、3番は特に美しく柔らかい曲調です。作曲技法を置いておけばわかりやすさにおいてはっきり保守的です。この曲は作曲動機から伺えるとおりシューベルト的とされることがあります。ひときわ歌謡性が強いが、くどくならない。演奏時間も短くきっぱりしています。この人はウィーンで多くの音楽家を指導し、その中にカラヤンもいました。チェロやピアノに優れた演奏家でもあり、それもあって難しさとなっていると思われますが、一部の指揮者には注目され集中的に録音されています。ヤルヴィはシカゴで正規録音しましたが、ベルリン・フィル客演時には木管ソロが重要となるこの曲がぴたりとはまり、終楽章での強烈な推進力は素晴らしいものでした。ペシェクも技術的にはyoutubeにあるような同曲非正規ライヴ録画のレベルですが(ビシュコフがよくやっていたようです)熱い演奏。ファビオ・ルイージは現代的な演奏スタイルで、渋い音のオケもあまり曲に向いていず好悪分かつかもしれません。 20ura
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フランセ「弦楽三重奏曲」
この人は生前に見ておきたい作曲家として意識していたのに、高齢で亡くなってしまった。ベル・エポックの夢を現代まで伝えるフランスの職人的作曲家・ピアニスト、かつてイベールの息子と呼ばれていましたがプーランクに似たところもあります。非常な多作家で日本人も初演や録音を多くしていますが、記憶に残る曲は晩年にはそう多くはないかもしれません。これは良い時期の作品でメカニカルなアンサンブルを小粋に楽しむようなものです。ハイフェッツ、パスカル(パスクワーレ)、ピアティゴルスキーが録音しており、ウィットもあるにはあるにせよ、火花を散らす激烈な演奏を繰り広げました。プーネット(Vn)リドル(Va)ピニ(Va)による古い演奏は、対極のイギリス的な美しさを持っています。アルベール・ルーセル弦楽三重奏団は真面目過ぎるかもしれません。シベリウス三重奏団は構造を浮き彫りにしフランセの技巧の素晴らしさをわからしめます。ジャリ(Vn)コロー(Va)トゥルニュス(Vc)は音色にメリットがあり、これぞフランスという印象で「エスプリ」という言葉のほうが似あいます。 20ura
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