湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」

2018年03月07日 | Weblog
クレンペラー指揮ケルン放送交響楽団(weitblick)1966/3/17・CD

音は何とかレストアしたようなステレオで、ボロボロな所もあるが聴けるレベル。クレンペラーは各セクションをバラバラにし単純化してガツと積み重ねるようなやり方をする。それは各声部が互いにしっかり正確に、凝縮された音を松葉を排した丸太の如く強く打ち出すことで全体のバランスが保たれ、特有の太筆描きの迫力が発揮されるたぐいのものだ。だがここではそれが裏目に出ている。管、打はよい。弦楽器がイマイチすぎる。この時期のこのオケなので弱体は仕方ないが、とくにヴァイオリンのバラケ味が強すぎる。各セクションを乖離させ再構築する方法に対し、もっと小さく、各楽器が乖離してしまっており、SP時代の録音のようだ。往年のロシアオケのような音色の不統一感が、パワーに裏付けされることなく提示され気持ち悪い。それゆえに全体的に薄くなってしまっている。ドイツ的な音にならず、ニュートラルなイギリスオケのように響くのはこのオケというよりこの弦楽器の非力さゆえだろう。クレンペラーのやり方が剥き出しになっているのでわかる人にはわかりやすいと思うが、自身スピードと力強さが持ち味の時期も過ぎており、老境の「振ってるんだか振ってないんだかわからないくらい」スコアの書き込みをそのまま音にしようとした記録に聞こえなくもなく、もちろん録音が悪いせいかもしれないが、私は終盤も終盤まで惹かれなかった。いや、ブラスやティンパニ、木管ソロはビシッと良いのだ。
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