ショスタコーヴィチ・フェスティバルのソナタの演奏を聴きなおしている。音程も幅もテンポも大味不安定で聴きづらい場面が多々あり、衰えは隠せない様子だが(当時は年齢かとおもっていたが今になってきいてみると練習か健康状態のせいであるように思われる)、右腕は雄弁で、大きく歌い、ひたすら歌い、あのオイストラフを思わせる骨太の赤銅色の音からは師匠であり友人であったショスタコへの思いのたけが、あらわれている。弦のソナタというものを私は好まないし、このときも余り興味を惹かれなかったのだが、どうにもやはり、こうなってしまった今、ここに何も感じるなというほうが無理がある。このとき、曲りなりにもショスタコとの約束をはたしたロストロ先生、もう引退なのかと思ったら指揮中心ではあるが精力的な活動を続けていた・・・だがそれも余りきかれなくなったのはここ数年。
スヴェトラもいない。「あの」ロシアは遠くなってゆく。
スヴェトラもいない。「あの」ロシアは遠くなってゆく。