湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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マーラー:交響曲第6番

2005年05月24日 | マーラー
○ラトル指揮ベルリン・フィル/ウィーン・フィル(EN LARMES:CD-R)2005/4/2合同演奏会LIVE

RVWと比べてオケが弾き慣れている。やる気も違う。
やや鈍重なところもあるが、性質の異なる二楽団が一緒にやっているのだから大目にみるべし。初めてでこの曲にしてはこの演奏、なかなか聞けるのである。録音の瑕疵が気にならないほど。

全般、現代の演奏にしてはかなり揺れるのに非常にスムーズな聴感の演奏に練り上げられている。ラトルの解釈に円熟味を感じる。だが遅くて客観的なわけではない。テンポ設定が巧みで面白いのだ。特殊打楽器による宇宙的な音響も録音でこれだけ聞こえてくるのは珍しい。

ラトルは前から古典的な型式感を一応大事にしている。一楽章の提示部の繰り返しや二楽章にアダージオを持ってくるところにうかがえる。85分弱という演奏時間がバーミンガムの録音から殆ど変わっていないのは凄いが、上記二点に限らず基本線は同じなので不思議はない。

一楽章は厳しい発音にまだまだ序盤戦といった解釈をのせてきている。アルマの主題へのテンポ変化などじつに巧みだ。この楽章は計算がそれと見えないように自然に反映されているので気持ちいい。コーダの全く揺れない突進はユニーク。ラトルは少々熱くなりすぎたようだ。余りの速さにオケが唯一ばらけているのがここ。

穏やかで明るいアダージオは最近の演奏らしいところだがスムーズな割に表現は結構揺れている。弦の厚い響きやフレージングが聞きもの(後者ややどっちつかずだが)。

スケルツォはかなり烈しい刻みがびっくりさせる。この楽章は攻撃的だ。行進曲部分はみなそうだがラトルのリズミカルな処理の上手さが光る。しかし一番気合いが入ってるなあ。。面白いルバートも聞ける。音が増えるとザッツ不揃いになる所が気になる人は気になるだろうが、この曲でライヴなら普通のこと。音の長さの不揃いはブラスに目立つが混成楽団ゆえの仕方ないところだろう。ピッチを合わせても奏法まで完全にあわせるのは土台無理な話だ。

だいたい一本で練習してても、弾きまくりで曲になるくらい音が詰まっている曲だからライヴで完璧に揃ったアンサンブルはありえないのだ。5番も弾きまくりだがここまでマニアックに造り込んでいないし7番になるといわゆるオケ譜で一本で弾いててもわけがわからない(シンフォニーとしてはむしろ妥当な譜面だろう)、逆にオケ曲としての合理性がある。6番は詰め込みすぎがゆえに楽しめる。しかもそのうえで込み入った構造がある。難しいんです。

4楽章、元々余程酷いオケでないかぎり楽しめるボリュームたっぷりのドラマである。管楽器各々に音色的な齟齬が感じられるものの、激しく盛り上がるさまにはどうでもよくなってしまう。ラトルは全面的にではないがときどき非常にマーラー的な独特の響きを轟かせる。ホルンが咆哮するたびに「ラトルらしくない昔のマーラーだ!」と感じる。高弦に比べて低弦はパワーに迫力がありベルリンの力かと思う。行進曲主題の力強さとつんざくような重低音には胸がすく。コンマスソロがドイツ臭くて情趣がないのは御愛嬌。最後まで緩徐部も賑やかに?めくるめく聞いて、ピチカートで心臓が止まるまであっというまだった。客席からブラヴォの出る演奏でした。○。

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