湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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マーラー:交響曲「大地の歌」

2008年02月07日 | マーラー
○ケーゲル指揮ライプツィヒ放送交響楽団、ソウクポヴァ(A)ゴールドベルク(T)(WEITBLICK)1977/4LIVE・CD

最初はどうにも客観性が気になる。巨大な四角い枠組みだけの建物を見ているような、鉄骨の間に風の通るような1楽章。オケもやや不安定でブラス陣の音程が低いように感じる。弦はしかし装飾音にアタックをつけびしっと揃えるところがいかにもケーゲル流でかっこいい。丁寧さの美質は2のような楽章にあらわれる。くぐもった音楽のアク抜きがなされ聴きやすい。抑制の美質は3にもあらわれる。弦がとにかく前に出ないが、しっかり下地を組んでいる。4では緩徐部で歌と共にかなり無茶なテンポ・ルバートが入るが、いかにもケーゲルらしく凄い。このような沈潜は巧いがプレストのドライヴは抑えられるかんじだ。5もヴァイオリンの下降装飾音のアタックが強烈だがテンポ的には落ち着き響きも抑制的、だからこそ室内楽的アンサンブルがしっかり楽しめる。歌はじつにそつない。告別も調子は同じで心象的な響きが印象にのこる。明るいが沈む光景に歌が載る。後期マーラー的な特殊な音響を鋭く読取り、異常にはりつめた空気の中に点描させる。とつとつとしたハープの響きがじつにいい。雰囲気的なところから自ずと感傷の沸き上がるような、ワルターとは反対の方法で同じ域にたっしたような演奏である。歌とオケのバランスも理想的。長長しいが、浸りきることができる。

後半になるにつれ起伏が板につき素晴らしくなる演奏。たしかに他には聴けないたぐいのものだろう。録音もけしてよくはないが実像であろうものに非常に近づいているのではないか。

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