湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ドヴォルザーク:交響曲第9 番

2017年03月17日 | 北欧・東欧
○カイルベルト指揮聖チチェリア音楽院管弦楽団(ARCHIPEL)1952/4/27

音はあまりよくない。1楽章、実直で安定した演奏ぶりである。細かい揺れは皆無でやや詰まらないと感じる向きもあるだろう。ブラームス臭もしないから不思議なものだ。2楽章は案外ニュアンスの篭った演奏だがそれはソロに限ったことで、全体的には寧ろサラサラした淀み無い解釈と言える。後半になるとさすが弦の国といった震えるような弦楽アンサンブルから喧嘩をへて陶酔的なまでのテンポ取りと、感情表現が表立ってくる。ここにきてはじめて面白いと感じ始めた。しかし音の悪さは3楽章でもいかんともしがたいものがある。廉価盤にしてはかなり良質なリマスタリングで改善してくれるレーベルなのだが、元が悪すぎるのだろう。原音が痩せてハスキーになりがちなのは諦めるしかない。峻厳で、斬り付けるような激しいアタックや非常に粒だった発音は、リマスターのせいもあるがかなり強烈な印象をのこす。やはり弦楽器、とくにヴァイオリンの強靭さが目立つ。激しさを繋いだ4楽章にもそのまま受け継がれる。このイタリア最高峰のオケにしても弦楽器の凄絶さにかんしては特別だ。これがこの指揮者なのだろう。音作りなどドイツ式なのだろうが、そういう流派とか関係無い特別なものを感じる。4楽章の弦は興奮するし、泣ける。下手くそにやるのが難しい名曲だが、少なくともこの楽章は最後のプレストにいたるまで完璧に演じ上げられている。素晴らしい。恐らく放送音源。「恐らく未出」の文字があるがどうだろうか?

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