湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ラヴェル:弦楽四重奏曲

2006年02月03日 | ラヴェル
○パスカル弦楽四重奏団(concert hall)LP

1楽章は凡庸。しかしこれは明らかにラヴェルである。ラヴェルではない勘違い(決してネガティブな意味ではないよ)の多い時代なだけに安心して聞ける面もあるが、つまんない、という印象のほうが強い。カペーのスタイルを彷彿とする。2楽章はかなりやばい。ピチカートがずれてる・・・これが何と終始ぎくしゃくしたテンポ感の中でえんえん続くのだ。再現部まで。これは・・・である。しかし、その次の緩徐楽章、ここで初めてこのフランス派の先達の威力が発揮される。このラヴェル旋律の持てる感傷性を引き出せるだけ引き出した、余韻のある非常に心根深い演奏ぶりで、音楽の美しさと、ほのかな哀しさに涙する。これができたから半世紀以上あとの現在も名前が残り続けているのか。。即物的印象の大きい演奏録音もある団体だが、この歌い上げ方・・・けして「情に溺れて」はいない・・・はほんと、白眉だ。そして4楽章は見事に盛り上がる。ブダペストあたりの現代的で厳しい演奏とは違うけれども、古いロシアンスタイルのようなデロデロぶりとも全く違う、フランス派のカッコイイ盛り上がり方をすべらかに堪能できる。総じて○。前半楽章で投げ出さないこと、逃げ出さないこと、それが大事。
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