湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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DEAD-MUSICS!

2008年04月23日 | Weblog
このサイト(ブログはあくまで未だ「出張所」です)にはかつてDEAD-MUSICS!という名前をつけていた。MUSICを複数形にしたのは単なる語感であり英語的には間違っている。だがDEADには意味があった。もともと音盤は「化石」である。わかりやすく言えば音盤は作りあがった時点ではとうの昔に「死んでいる」ものである。あくまで音楽はホールやスタジオで生まれている。もっと言うなら貴方の指の先や肩の上などから生まれ出ずるものこそ音楽である。楽譜が読めるなら、あるいは音楽的記憶力に優れているなら脳内でもいい。それら空気中に生まれ空中を伝わったものを符号として電気的に写し取ったもの、それを更に何人もの人間といくつもの工程をへて再現させるように作ったものが音盤である。だから死んでいる。そこには情報量の決定的な減衰がある。減衰していないように聞こえるのは死骸にサイボーグ手術を行ったからである。フランケンシュタインの怪物のようなものだ。

この「割り切り」が前提となっていた。

したがって、ここで扱うものは原則「死んだ作曲家の作品」を「死んだ演奏家が演奏した音盤」としていた。まだ元気でライヴが聴ける音楽家についてはライヴを聴きに行きなさい、ということだ。

最近なんでもありになっているので誤解されるかたもおられるようだが、基本的には今も現役演奏家は対象外である。人生の、つまりは芸術世界の完結していない音楽家について安易に論じることへの抵抗もある。

・・・しかし、私自身の楽曲の好みが完全に19世紀後半から20世紀の作品に偏っていたため、海賊盤が大してなかった頃は音盤自体が限られており、サイト(これも大元は情報カードに手書きしていたデータなのでネット以前に書いたものも含んでいるが)のデータとしてはすぐに枯渇するのが目に見えていた。だからなんでもありになったのだが、それでも原則部分はぶれないようにしている。物故した云々については20世紀音楽という言葉とすり替え、ひとまず外している。

だがまさか・・・こんなCD-R海賊天国になろうとは・・・地獄と呼んでしまおうか。枯渇なんてしそうにない。枯渇しても掘り上げられた資源を「消費」するだけでこっちの人生が終わってしまいそうだ。エアチェックの習慣のない人間であるために寝耳に水の音源が後から後から殖えていく。うーん。

海賊ライヴ盤を違法性を鑑みず何故聴くかといって、サイボーグ手術がなされていない可能性が大きいからだ。サイボーグ手術は私の脳内でやる。今の正規盤はメジャーマイナーに限らず余りに、サイボーグとして出来すぎている。誰しも音盤は脳内変換して自分好みの音として聴いているものである。その脳内の部分を別の知らない誰かにやられてしまうのは厭だ。たいてい、そういうものは識別可能なくらい「やりすぎている」。気持ちが悪い。だから敢えて正規を持っていても、海賊盤に手を出したりもするのだが・・・

・・・でもま、そろそろ、今度こそやめたい。まこと音楽は安易に取り組むと死にいたる。

※ホームページは閉鎖しました
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7 Comments

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Unknown (けん)
2008-04-24 13:26:39
買わない、聴かないが一番。
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死に至る病 (管理人)
2008-04-24 15:13:55
最近はわりと聴かないんですけどねー、やっぱり昔、盤が少なく再版も滅多にされなかった頃の癖で、二度と手に入らない恐怖が購買意欲に直結してしまいます。聴かないけど増える、最悪。エロイカなんて十年聴いてないのに、少なくとも十枚はあるのです。
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表題から連想して (けん)
2008-04-26 13:59:47
大阪は試練の時だね。
オケの補助金もカット。
でもね、俺は思うのだ。
補助金が必要なオケはもう無くそう。
そこまで無理してオケ活動が必要なのかと。
日本全体で見てもね、オケへの補助金をカットして他に回せばもっと有効活用できる。
オケに補助金を出しても特定の人間にだけの援助だ。
意味がない。
根付かないのならそのまま無くせばいい。
必要なら残る。
演奏者には酷だが、大半は聴いていないのだから。
プロを志すものもそういう現実は分かっているはずなのだから。
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やっぱりさ (けん)
2008-04-26 14:09:40
自分の食い扶持は自分の力で稼ぐべきだよ。
ジャズメンが補助金をもらって活動って話はあんまり聞かない。
あるのかな?
よその地域の芸術を日本が存続させるために税を使う必要なんてないな。
発祥の地ががんばれば良い事だし。
だいたいオケが多すぎる。
実体のないオケもありすぎる。
主要メンバーが一桁で、あとはトラだけのプロオケはずいぶんある。
そんな団体にまで補助金。
そらいかんわな。
自分たちの力だけでやっぱりやらないと。
大阪の話は日本全体の話だな。
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この話題 (管理人)
2008-04-26 15:34:05
まんま猫末期の(苦笑
地域桶は都市部でしか聴けない現状を補うために発達したはずなのに都市部に増えるばかりでは意味無いです。補助金はいろんな形がありますしクラに限ったことではないですが、たいして増えない需要、実証されない「効用」に対して編成の大きさ等元来の性質上お金がかかりすぎるわけで、、、多すぎたら減るのは仕方ない。口減らされたプロは外国行くかアマ教師に転じるかジャンルや楽器替えするか、、そうとう抵抗がありましたね猫で在阪桶ネタ出たとき。今の状況でも言い張れるのかな。
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楽器の話 (けん)
2008-04-26 16:28:03
大体日本のオケ弦楽器奏者は無駄に高い楽器を使っているよ。
VPOとしてやっている時のあの楽器なんて高いのでも50万円だったかな。
チェコかハンガリー製の楽器だ。
楽友協会の舞台の袖に楽器が置いてあるけど、それでもあの音量と音色。
結局楽器じゃなくて腕。
で、一言。
こう言う投稿を猫でするとそんな東欧の安物楽器使うはずがないと来る。
何も知らない楽器も弾いた事のない人たち。
とんでもない。
あそこはいい楽器を作るのだから。
安定しないオールドよりも東欧製のほうがはるかにまし。
そういやぁ以前マがタクシーにストラを置き「忘れた」けど、あれは確信犯だな。
音程は安定しない、ウルフは出る、ほっとけば ひびが入るような気を使う楽器より新作の方がはるかに演奏に専念出来る。
彼が低弦のハイポジをあんまり使わずにさっさと移弦するのは楽器の都合じゃないかと俺は考えるね。
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楽器の話はいろいろ (管理人)
2008-04-26 17:05:00
書きたいのは山々なんですが旅先ゆえまた今度にしておきます(*_*)身につまされますねえ安定しない楽器の苦労は。東欧の弦の音は余り好きではないんですが、わりと王道ですよね。安くても手に入るルートがない、ということもありそう。気候からして日本では東南アジアや中国がいい、とかいろんな説もありますし、使い分けというのもありますし、プロでもどこでどう使うかでしょうね。美音楽器はオケじゃ使えない。
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