湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ドビュッシー:前奏曲集第1番~10.沈める寺

2009年09月18日 | ドビュッシー
○バシュキーロフ(P)(MELODIYA)

多分全曲に近い録音を行っているのではないか、バラバラでB面埋めのように出てくる前奏曲集抜粋の中の一曲。これはもうマイクが近すぎることも含め、珍演に近い「豪壮な寺」である。最初こそ美しく(でもリアルに)すべらかに入るものの、次第にスクリアビン末期作品をやるようなふうに熱があがっていき、しまいにはバシュキーロフの叩き付ける最強音が耳をつんざく。気合の余りの荒い息遣い、余りに強い打鍵に白鍵の隣に当たってカチャカチャ鳴る音まではっきり聴こえ、水面こそ油を打った様に静かだけれども、いざ潜ってみるとゴテゴテな大伽藍がカツオの群れの中に威容をはなち、海流がぶち当たって烈しく渦を巻くさまが壮絶、そういったドビュッシーとは程遠い世界を想起させるのである。しかしまあ、ほんと、単にマイクセッティングのせいかもしれないが、優秀録音もあいまってなかなか楽しめる演奏。他の曲はけっこう曲想にあわせて変幻自在なんだけどね・・・技術は完璧。センスが問題か。○。

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