デュラン(fl)フェンビー指揮ボーンマス・シンフォニエッタ(EMI)1979初出・CD
「ラ・カリンダ」をフルート協奏曲にするという荒業は違和感を禁じえない。原曲もディーリアスらしさという点で初期的な面がある作品だが、オケの粗さ、フルートの技巧及び音色の限界が曲の自然な爽やかさを損ねている。「アリアと舞曲」はむしろディーリアスの典型的な分厚い音楽で、アリアの方は夕景をロマンティックに彩るようなもので細かい技巧を要求する部分はなく、不協和ぎりぎりのハーモニーや独特の進行が編曲をものともしない個性を発揮している。最後のフルートのトリルは良い。舞曲もディーリアス的な不格好な田舎踊りで、リズムの重さと響きの軽さ、旋律線の平易さは末尾でフェンビーの薄い個性が出てしまってるところもあるが、こちらもフルートを徒に使わずききやすい。