湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

2018年04月24日 | Weblog
アーベントロート指揮レニングラード・フィル(SLS)1951/1/30レニングラードlive

録音はホワイトノイズの下でこもっているが聴けなくはない。冒頭からアンサンブルが崩壊気味でやばいが、一楽章のうちになんとか整ってくる。アーベントロートは他にも録音記録があるが、どうもすこし即興的にやる癖があるようで、そこを掴むのに時間がかかったようだ。デジタルに速度を変えたり妙に歌心を出したりエキセントリックな解釈はオケの心も掴んだようで、沈潜する二楽章はバッチリ。アーベントロートの衰えも込で聴くものがある。ガシガシいく三楽章ではやはりほつれはあるがシェルヘンのような重い音にデジタルな解釈は(シェルヘンの悲愴はよくないが)それなりに奇演好きにアピールする部分もある。おおむねはまともだけれど。四楽章アタッカ、もう最初から歌いこむ。冒頭の雑然とした様が嘘の様なレニングラード・フィルの充実ぶり。雑味の混ざる点では二楽章が最も上手くいっているが、何かアーベントロート自身の滅びゆく運命すら思わせる感情的なものがあり、とにかくこの悲愴は全般、最晩年的な雰囲気に満ちている。良い意味でも悪い意味でも。もっと輝かしい音をしていたはずだが録音はいかんともしがたい。下降音形でソリスティックにオーバーなフレージングをさせ、感情的にドラマティックに終わらせるのもアーベントロートらしさだろう。
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