湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ショスタコーヴィチ:交響曲第5番「革命」

2017年08月16日 | Weblog
ニコライ・マルコ指揮シドニー交響楽団(SLS)録音時期不明live

凄まじい録音の悪さで恐らく40年代のものか。ノイズに慣れていればマルコの調子良い時の音楽の力強さと元来この曲の持つ「ひたすらの」旋律の力で十分楽しめる。オケはショスタコならではのソロ剥き出しになると弱い部分もあるが、合奏は聞き取れる限りでは弱みはない。録音操作してこの音、である可能性もあるのでそれも錯覚かもしれないが、まあ、音盤は楽しめれば良いのである。ショスタコの非構造的な極度に単純化された書法を逆に強みととらえられるのは同じロシアの指揮者だからだろうか、ただの旋律とリズムと和音の筐体に、マーラー的な緩急をもって強靭な、もしくは柔らかく叙情的な表現を流し込んで、ショスタコという箱からははみ出ないが、期待される通りの革命であり、羽目を外すこともない。後年のBBCなどでやったようなきっちりした教師的解釈の部分は四楽章冒頭の固いテンポに現れてくるが、音は迫力があり前へ行かないからといってさほど悪い印象はない。最初の軽薄な盛り上がりより、その後の悲劇的展開に重点を置いているのは、オーソリティの見識だろう。緩徐部のテンポが冒頭と逆に早くて、木管が前のめりになってしまうのは初めてマルコ特有の解釈といえるところか、即興か(その後のまっとうな流れからして即興臭くもある)。ちょっとヴァイオリンが薄い感があるし萎縮したようなブラスの音も、フィナーレには惜しいが、これは単に録音のせいだろう。響きがいびつなのも録音のせいだろう。拍手は普通。
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