ジャンドロン(Vc)スクロヴァチェフスキ指揮ORTF(ina配信)1969/2/12live
二楽章でジャンドロンの美しいフレージングを堪能できる。詠嘆の表現、柔らかい弓の返し、繊細な松葉の付け方、とにかく音が美しく、歌い回しにも清潔な艶がある。少し高めに音程を取っているのが意外とハマっていて、「ピアノ的な音程感」に慣れている向きは聴きやすいのではないか。ヴィヴラートもここぞというところでの縮緬っぷりに震える。ただ、技術的な問題も否めない。左手指の不安定さは、早めのテンポで情緒的に展開されていく解釈には時折馴染まない。はっきり言えば三楽章がコケまくりなのだ。ブラヴォが飛ぶも、ブーイングも聞こえるのは仕方ないだろう。しかしこういった生演奏の記録ではこの程度の雑味は些細なこととして、全体としてみればロストロポーヴィチの音を細くして女性的な優美さを加え、またカザルスのように意志的な演奏として評価はできると思う。オケは同曲に適した表現をとっている。あけっぴろげなブラスの発音ぶりなど、破音寸前の感じ、東欧の香りがする。もっとも、フランス国立はそれに応える単純なパワーは無いので、あくまでバックオケという位置からははみ出してこない。
二楽章でジャンドロンの美しいフレージングを堪能できる。詠嘆の表現、柔らかい弓の返し、繊細な松葉の付け方、とにかく音が美しく、歌い回しにも清潔な艶がある。少し高めに音程を取っているのが意外とハマっていて、「ピアノ的な音程感」に慣れている向きは聴きやすいのではないか。ヴィヴラートもここぞというところでの縮緬っぷりに震える。ただ、技術的な問題も否めない。左手指の不安定さは、早めのテンポで情緒的に展開されていく解釈には時折馴染まない。はっきり言えば三楽章がコケまくりなのだ。ブラヴォが飛ぶも、ブーイングも聞こえるのは仕方ないだろう。しかしこういった生演奏の記録ではこの程度の雑味は些細なこととして、全体としてみればロストロポーヴィチの音を細くして女性的な優美さを加え、またカザルスのように意志的な演奏として評価はできると思う。オケは同曲に適した表現をとっている。あけっぴろげなブラスの発音ぶりなど、破音寸前の感じ、東欧の香りがする。もっとも、フランス国立はそれに応える単純なパワーは無いので、あくまでバックオケという位置からははみ出してこない。