湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ストラヴィンスキー:交響曲ハ長調抜粋

2006年10月15日 | ストラヴィンスキー
○ストコフスキ指揮NBC交響楽団(DA:CD-R)1943/2/21live

1楽章の途中から始まり中間楽章の途中で何度も切れたり断続的な録音となっている。原盤のレコード(複数のものを繋いでいると思われる)の状態が極めて悪いらしく、音はきついなあ・・・。鄙びた懐かしい感じはまるでSPの悪い復刻を聞いているようで(良い復刻は生々しくてLPなんかよりぜんぜん明晰だったりする)、でも木管と弦楽器の音色がとても妖しく美しい。弦のポルタメントとかストラヴィンスキーとは思えない雰囲気を出している。主としてストラヴィンスキーに内在する「叙情性」に力点をおいているように思える。確かにストラヴィンスキーは演奏の仕方次第でいろいろな側面を見せる。金のためにハルサイをディズニーに売ったストラヴィンスキー、その買い主から伴奏指揮を頼まれたのがストコだったわけだが、音楽を一種崇高で宗教祭儀の一つと考えているような節のあった(だからこそ世俗音楽に嫌悪を示すこともしばしばであった)ストラヴィンスキー自身はこういう演奏は嫌うだろうけれども、逆にストラヴィンスキーを身近なものとして聴き捉える事も十分可能なのだ、世俗音楽として演奏しても実に魅力的に聞こえるのだ、と思わせるストコの手腕には敬意をはらっておくべきだろう。録音か演奏かどちらのせいかわからないが結構アバウトな感じに聞こえる演奏であり、状態からしても最高はつけられないが、古典の翻案編曲にも力を入れていたストコだけあってこの曲の新古典的側面が出たときはきっちり古典ふうのアーティキュレーションを導入している(ように私には聞こえた、3楽章。ちなみに途中で録音が切れて4楽章にいってしまう)。ストラヴィンスキー独特のパウゼはここではしっかり挿入されている(ストコは流れを分断するようなパウゼの無視などけっこうやったりするのだが)。終楽章の喧騒はストコならではのハイスピードでアンサンブルの饗宴を繰り広げる。ストラヴィンスキーの並ならぬ才能がアメリカの穏健作曲家たち・・・ピストンとか・・・追随者を大きく突き放すものであったことがよくわかる楽章である。逆にいうとストラヴィンスキーもまたワンパターンをもっていて、その範疇から出ない作品ということでもあるのだが、それは素晴らしい個性である。木管がやや単調な吹き方をしているが弦は美しい。拍手はかなりまばら。

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