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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ラフマニノフ:交響的舞曲~Ⅱ

2007年06月17日 | ラフマニノフ
○ゴロワノフ指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(MELODIYA)1949

CD化もされた1、3楽章と別に収録されたもの。録音が良好でゴロワノフの真実により近い生々しいものを聴くことができる、としておこうか。分厚い管弦楽を駆使し重厚な響きをうねらせてゆくが、ライヴ的な乱れはなく均一な音量・厚みが保たれ、メンゲルベルクに近い芸風のように感じる。楽章が緩徐楽章なだけに爆発的ではないが、雄こんで感傷に沈潜しない表現はガウクなどにも共通するロシア的な男らしい解釈と言っていい。比較的クリアなゴロワノフは珍しいので機会があれば。

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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

2007年05月15日 | ラフマニノフ
○クライネフ(P)イワーノフ指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(MELODIYA/ETERNA)

透明感ある芸風のクライネフと重厚なロマンチシズムをたたえたイワーノフのミスマッチの魅力が楽しめる。終楽章の乱れぶりにはやや首をかしげさせられるが、非力で生硬な音ではあるもののタッチでカバーし続けるクライネフの繊細な表現にはまるでラヴェルの協奏曲をやるような雰囲気があり、ロシア的な陰鬱さやあけすけさを放つイワーノフを一種閉鎖的なロマン派の世界から救っている。垢抜けた調子が前半でとくに目立ち、硝子のような音が何とも言えないフランス的な情緒をかもし出して特記できる。残念なのは繰り返しになるが3楽章で、非力さをカバーするかのように律せられた演奏ぶりがかなりロマンティックなほうに崩れてしまい、結果としてオケとも分離スレスレの状態に陥っているところがある。左右が分離しすぎ一部音域が聞こえにくい録音が悪いのかもしれないが、ちょっと辛い箇所があった。しかし全般、主としてイワーノフの領域としていかにもチャイコの末裔たるラフマニノフといった側面が引き出され、今現在やや少ないロマンティックなスタイルのラフ2を楽しめるところもあるし、かといってロシアロシアしないソリストの冷たさがちょうどいい温度感を保っているといったところで、好意的に聞けた。○。

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ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲

2007年04月04日 | ラフマニノフ
○ルビンシュタイン(P)サバータ指揮NYP(ORIGINALS他)1950live・CD

ルビンシュタインの音の美麗さはこの録音状態でも伝わってくる。その表現は異常なレベルの技術の上でしか成り立ち得ない洒脱さを持っている。フランス的といってもいい。サバータもドライヴの仕方に野暮さが少しもなく、この二人の相性はいい。録音はORIGINALSではノイズが取り除かれ残響が付加されてまるでサイボーグのように生まれ変わっているが、ルビンシュタインの音にはあっていると言ってもいいだろう。そのスマートさゆえ少し小粒な感じもおぼえさせ、同曲の魅力を最大限に引き出しているとは言えないが、ラフマニノフ後期の洗練をよくとらえており、また第18変奏を突出させるのではなくそれまでの旋律的な流れと全体設計の上にさりげなく配置し、全般として大きくうねり時に囁くようなラフマニノフの抒情の中の一輪の華とする感覚はしっくりくる。パガニーニを揶揄するかのようなロマンチシズムを発揮する楽想を敢えてそれほど際立たせないスタイルは面白い。○。

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Comments (2)
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ラフマニノフ:パガニーニの主題による変奏曲

2007年03月15日 | ラフマニノフ
○ワイエンベルク(P)アンチェル指揮ACO(RCO)70/1/21LIVE・CD

あけっぴろげで憂いが無いのがオケのほうであることを意外にかんじるかたもいるだろう。アンチェル最晩年のライヴであるが音色もへったくれもないスヴェトラのロシアオケものライヴのような、強引で下品な荒いアンサンブル、確かにアンチェルらしい気合いの入った表現であるし、力感なりの印象はあるのだが緩急、とくに弱音の表現が悪い。この座りの悪い変奏曲をしかしバリ弾き感傷無し(私は大好物でございます、フランセもシャーンドルも)のワイエンベルグは、音色こそ揺れないもののタッチに絶妙なゆらぎをつけて、ミケランジェリの無味無臭ともあきらかに違うなめらかな音の流れをつくっている。第何変奏か忘れたが例のチャイコ風主題のさりげない提示など粋のひとことである。感情はむやみに押しつけるものではない。ラフマニノフ本人の芸風がそうであったように、ほのかに思い出させるくらいが丁度よいのだ。この演奏ではここだけが突出して違和感をおぼえさせることがない・・・オケのわざとらしいリフレインさえなければ。名ピアニストとはこおいう表現ができる人のことを言うのです。眉ひとつ動かさず、聞くものの深いところを動かす。
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