鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・本当の男女共同参画社会に向けて

2015-09-13 | 「ぷらっとウオーク」 2012年~

本当の男女共同参画社会に向けて       

                                             情報プラットフォーム、No.336、9月号、2015、掲載

  「男女共同参画社会基本法」は1999年(平成11年)6月23日に公布・施行され、その後、県庁にも男女共同参画課が設置された。その理念 と実際の仕事の内容を知ったときは複雑な思いであった。競馬の「斤量」を連想したのである。速い馬の斤量を重くして、競争を面白くする、迫力を持 たせるのである。この重さは、獲得賞金・過去の成績などで馬毎に異なる。出馬表には競走馬毎に58(kg)とか56(kg)と斤量が出ている。

  男性優位の現代社会では、社会的弱者とも言える女性を支え、支援するだけでは共同参画社会が実現できるとは思えない。強者に重しを背負わせな ければ実現は難しく、基本法が発効してから15年経っても大きな変化は起きていないことがそれを証明している。

  解決策の一つを家庭的視点で述べれば、"イケメンをイクメンにしよう"、"ジョチュウを減らしダンチュウを増やそう"となる。「夫に妻と同等 の産休・育休を義務づけ、出産にも立ち会うこと」というものである。勤務先の視点で言えば、「パタハラもマタハラもなくそう。そしてワーク・シェ アリングを徹底しよう」となる。担当者が休暇中はことが進まないのでは皆が、県民が迷惑である。夫婦共に産休・育休を分担し、高知県庁から始め て、その他の公的機関へ、そして民間企業へと広げていくことにする。これこそが本当の男女共同参画家庭であり、"イゴッソウを越えたハチキンの高 知" だからこその可能性の高い施策となるであろう。ここで、イクメンとは「育メン」、ダンチュウは「男厨」、パタハラは「父性(パタニティー)・ハラスメン ト」であり、マタハラと対になる。

  二つ目の解決策を社会的背景から見れば、県議会を始めとする市町村議会のアンバランスの解消である。フランスなどの地方議会のように、男女に定員を「割り 当てる」クオータ制(quota)や男女の「等価性を維持する」パリテ制(parite、parity)を採用することで男女比を保つ方法があ る。小選挙区制では男女に定員を割り振ることには馴染まない。一方で政党中心の比例代表制は名簿の順位を男女を交互に並べることで解決する。名簿 に女性候補者を規定のように揃えられない政党には、女性当選者が足りない分だけ、政党助成金を減額する方法もある。このような画期的な仕組みは、 当然のことながら、様々な反論を生み出す。共同参画推進派の論理は、人類は女性(はちきん)と男性(いごっそう)との異なる2分割から成ってお り、普遍的に男女の2つの混成である、と要約できる。これに対して反対派は、普遍性の名の下に男女の差を認めない論理を展開している。現職議員 (男性議員と置き換えても同じ)の既得権を死守するための理屈といっても良いだろう。

    定員37人の高知県議会をパリテ制で考えてみよう。欧州と異なり、無所属の候補者が多い我が国の場合、議席を男女に割り振るのが妥当であろう。まず、1人 区を廃止し、偶数定員の大選挙区に組み替える必要がある。従って、議員定数を36人とすれば、18人の女性議員が誕生することになる。県議会です ぐに進まないならば、1自治体・1選挙区の市町村議会から始めてはいかが。「時期尚早」の反論があれば、実行する価値があると考えよう。地方創生 の目玉として、高知を真の男女共同参画社会に仕立て上げたい。

  先のエッセイ{風が吹けば桶屋が儲かる}(本誌、No.310、7(2013))では、家族団欒の家庭が増えれば、離婚率が減り、少子化に歯 止めが掛かり、非行率は低下し、心豊かな故郷創生になるとしている。向こう三軒両隣のお付き合いも深まり、子どもも年寄りも元気な地域となり、U ターンやIターンも次第に増え、生活基盤としての高知県への関心も高まり、従来の低い投票率は解消するだろう。男女共同参画で始まる地方創生の提 案である。

 

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