鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

連載中の「ぷらっとウオーク」などをまとめました。

鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・初夢 高知博物科学館ネットワーク

2013-12-30 | 「ぷらっとウオーク」 2012年~2015年

初夢 高知博物科学館ネットワーク   

                        情報プラットフォーム、No.316、1月号、2014、掲載

 都道府県立の美術館は完備してきた。すでに県立美術館を持っている高知で、よく聞くのは「科学館がない。なんとか作りたい」の声である。他と同じものでは面白味がない。

この提案は、資金負担の少ないユニークな構想の科学館、「高知広域・広領域 博物科学館」を創るものである。「広域」とは、点在する様々な領域の各種の施設や企業活動である。「広領域」とは、単に科学・技術として縦割りではなく、 歴史・文化に関わる活動にも拡げたいとの思いからである。

むしろ表題の名称の方が相応しいかも知れない。この構想を理解して頂くために、参加 して欲しい構成メンバーとしての機関・団体・グループをカテゴリーに分けて以下に示した。ここでは、連携の一例を挙げて構想を説明したい。

  甫喜ヶ峰風力発電の風車の直径と平山・新改水力発電の水車の直径と比較し、発電量の桁違いを知り、それを考えさせるプログラムである。ま た、高知県技術者協会や森林総合センター情報交流館などが日頃取り組んでいる「ものづくり」の活動は科学館としては欠かせない。

各点を線に、 線を網目状に組みあげるには、マスコミなどの広報・宣伝に加えて、インターネットの最大限の活用が必須である。連携を密にするための共同機能 はNPO組織が有効であろう。また、それぞれの地域に根ざした、広い領域での経験を積んだガイドによるボランティア活動が全体を盛り上げるだ ろう。日常的なガイド養成も必要である。

  {エネルギー資源の比較

鏡野疎水の水道橋と逆サイフォン、香美市女夫ヶ池小水力発電。風力発電(葉山村の風車群、野市の風車、甫喜が峰 の風車、室戸の風車)。水力発電(早明浦ダムと旧大川村役場、魚梁瀬のロックフィルダム)。

揚水発電(稲村ダム-大橋ダム)。石力発電(鳥形 山の石灰岩採掘場-須崎の大阪セメント工場)。バイオマス火力発電(太平洋セメント内)。太陽光発電(例えば、安芸市域メガソーラー)。

  {地球・宇宙の営み

稲生の石灰岩、白木谷の石灰岩採掘場、円行寺蛇紋岩採掘場、日本地質百選の県内5ヶ所(龍河洞、横倉山・佐川の地 層、久礼メランジュ、室戸岬の斑糲岩、竜串・見残し海岸)、室戸ジオパーク、佐川町地質館、横倉山博物館、高知大学地質学教室、高知コアセン ター、芸西天文学習館、宇宙利用推進研究会、宇宙少年団高知分団。 

歴史・文化遺産を知る

キラメッセ室戸鯨館、馬路村森林鉄道、藤村製 糸、手結港可動橋、中村時計店、四国自動車博物館、歴史民俗資料館、埋蔵文化財センター、いの町紙の博物館、社寺仏閣と社寺林(例:嶺北の古 寺と巨樹)、絵金蔵、地方仏研究会の活動。

  {伝えたい高知の偉人

細川半蔵や山本忠興、寺田寅彦や牧野富太郎、竹内明太郎や岩崎弥太郎、泉井守一や樫尾忠雄や垣内保夫。

  {里山で生きること

秋葉山のアサギマダラ、潮江天満宮のミカドアゲハ、五台山のサシバの渡り、四万十市トンボ公園、「にほんの里100 選」の棚田(馬路村相名と四万十町里川)、黒潮実感センター、牧野植物園、野市動物公園、桂浜水族館。

  {自然の恵みは何処

森林率84%の高知県内各地が展示場。おおとよ製材、とされいほく、土佐の森救援隊、西島園芸団地、ミモト園芸、エ コアス馬路村、徳弘養殖(春野)。

  {高知のものづくり

技研製作所、日本高度紙、垣内、高知丸高、穂岐山刃物、新高知重工、県内製造業、ならびに県公設試および県内各大学 など。

  {多様なリサイクル

エコサイクル高知(日高村)、高知市清掃工場、大前田商店RPF固形燃料製造工場(南国市奈路)、エコデザイン研究 所(高知市土佐山)。 

 

ご感想、ご意見、耳寄りな情報をお聞かせ下さい。

鈴木朝夫 s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

〒718-0054 高知県香美市土佐山田町植718

Tel 0887-52-5154、携帯 090-3461-6571 

 

ブログ  鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 目次

鈴木朝夫の講演・出版の記録 目次

こんな祝う会も・・・鈴木朝夫先生の叙勲を祝う会 


鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・皆が行く方向、皆と進む方向

2013-12-16 | 「ぷらっとウオーク」 2012年~2015年

皆が行く方向、皆と進む方向      

                        情報プラットフォーム、No.316、12月号、2013、掲載


   名古屋では中日ファンが、広島では広島ファンが多いのは当然である。しかし東京では巨人だけのプロ野球ではないのに巨人ファンが多すぎる。「巨人の優勝が 日本人を幸せにするのです」と言い切るほどである。「アンチ巨人は隠れ巨人ファン」と言われると私の巨人嫌いの度はさらに増してくる。高知で は阪神ファンが多いのでほっとしている。

  小学生の頃、「欲しがりません勝つまでは」の標語の下、出征兵士を送る歌「我が大君に 召されたる・・・いざ征け つわもの 日本男児」を信じて唱っていた。中学生になった年に敗戦、昨日の先生が急に民主主義に豹変するのを目撃した。以来、皆が一斉に進む方向は極度に警戒する癖 が付いている。巨人嫌いもこのような幼児体験から来ていると思われる。毛語録を片手の紅衛兵やホメイニと叫ぶデモ隊の映像は見たくもなかっ た。

   日本中が熱中するイベントや番組、例えば、紅白歌合戦、大河ドラマ、オリンピックゲーム団体戦の中継などは意識的に見ない。「なでしこジャパン」も「侍 ジャパン」もその絶叫が好きになれない。私のこのような傾向は「合成の誤謬」に陥ることを極度に警戒するために生じている。皆で盛り上げるこ とを否定する積もりはない。でも、熱狂することはない。皆と行かない様にしている。「天の邪鬼(あまのじゃく)」と云われることも多い。

    「合成の誤謬」とは経済学の分野でよく使われる言葉である。皆が買いに走ることでインフレがどんどんと進行する状態や、皆が節約することで急速にデフレに 落ち込んでいく状態は「合成の誤謬」による現象と説明し、さらに「個人が合理的な行動をとっても、多くの人が同じように行動すれば、全体とし て悪い事態になること」と一般化している。「劇場で座席の上に立ち上がれば、公演がもっとよく見える。だから観客全員が座席に立ち上がれば、 みんな公演をよく見ることができる」は「合成の誤謬」のよく使われる例である

  流言飛語や風評被害には、何らかの仕掛け人が居る場合が多い。「情報操作」が行われている。「今年の流行色は赤」のようなファッションや「巨人・大鵬・ 卵焼き」のような流行語は「意図的な合成」と名付けてもよいであろう。

  土佐宇宙酒計画では「酵母菌は本当は宇宙に行ってないらしい」の風評に対抗できるだろうかと議題になった。「宇宙飛行士アームストロング は月面に着陸していない」との本が堂々と出版されている。一地方の地域産品では、このような風評被害から逃れられない。考え出した対抗策は、 宇宙実験を2度行うことであった。「2度とも宇宙に行っていないらしい」との話は誰も信用しない。

  民主主義とは原則的に多数決であり、合理的な合成が基本である。民主的な政治とは合成の落とし処を得るための手続きである。しかし、結果として意図したこ ととは逆方向へ行ってしまう「合成の誤謬」の可能性も高く、このことは古今東西の数々の歴史が教えている。民主主義は、また衆愚政治と呼ばれ る所以でもある。

  情報操作による意図的な作為の可能性も高い世論調査や意識調査のようなアンケート結果も警戒が必要である。事柄を見抜く力「メディア・リテラシー(情報を 評価し識別する能力)」の涵養が市民社会の大原則である。また、議論を尽くすことも重要であるが、結論に至らないこともある。指導者には柔軟 性だけではなく、決断力が求められる。

  土佐人気質の「いごっそう」や「はちきん」では「付和雷同」や「合成の誤謬」は起こり得ないと言い切れるだろうか。原稿締切直前の4日の朝刊の一面は「東 北の底力、楽天イーグルス 日本一」である。この一文を締めくくるに相応しい見出しである。

 

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鈴木朝夫 s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

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