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【社説】 内部告発 『良心』を無駄にするな

2007年08月28日 | スクラップ
2007年8月27日

 北海道の菓子「白い恋人」の賞味期限改ざん問題で当初、内部告発のメールを会社側は黙殺した。消費者の健康被害が起こってからでは遅い。企業は告発者の良心や正義感を無駄にしてはならない。

 よくもこれほど不正が、ぼろぼろと明るみに出てくるものだ。北海道はつい先日、製造元の石屋製菓(札幌市)に、日本農林規格(JAS)法に基づいた行政処分をした。

 賞味期限の改ざん発覚は、「白い恋人」が、予想を上回って返品されたのがきっかけだ。四月下旬に社内で賞味期限を一カ月延ばして表示することに決めた。これ自体が消費者を裏切る背信行為である。

 だが、六月下旬と七月中旬にそれを告発するメールが届いていたのに、社側が黙殺、握りつぶしたのは、さらに許されることではない。

 バウムクーヘンから黄色ブドウ球菌、アイスクリームからも大腸菌群が検出された。これが今月上旬にあった匿名の告発により、保健所が把握し、問題が明るみに出たのである。社内で分かっていたにもかかわらず、自主的に届けることをしなかった。この隠蔽(いんぺい)体質は悪質だ。

 それどころか、賞味期限の改ざんは約十年も前からの“慣行”で、クッキーやパイなど別の品目でもあったのは、あきれるばかりだ。

 内部告発は、食品加工卸会社・ミートホープのミンチ偽装問題でもなされていた。このときは農林水産省の出先機関などに不正の通報があったが、事実上、放置されていた

 公益のために内部告発した者に対して、解雇などを禁じた公益通報者保護法が昨年四月に施行された。同法では「不正目的でない」会社への通報について、告発者は保護されるが、マスコミなど外部への通報の場合は「証拠隠滅の恐れ」や「急迫した危険」などの要件がいる。

 外部通報のハードルが高いのだ。同法には施行後五年をめどとした見直し規定がある。「白い恋人」のケースを考えても、この要件の緩和や廃止を検討すべきだろう。

 「企業の論理」が優先しがちな現状がある。告発しようとしても、人事上の報復などを恐れて、従業員は尻込みしたりもする。“企業風土”の改革も必要だ。内閣府では今月末から全国十五カ所で説明会を開くが、法をもっと積極活用できるよう周知徹底すべきだ。

 内部告発は「密告」という陰湿な言葉で語られるべきではない。会社ぐるみの犯罪にブレーキがかかるのは明らかだ。良心に基づいた正義の行動は、消費者ばかりか、倒産など企業が致命傷を負うのさえ救う。



東京新聞
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