◇魚類が進化、陸上がった両生類祖先
ポーランド南東部のデボン紀中期(約3億9500万年前)の地層から、4本足で歩いた最古の動物が付けたとみられる足跡化石を、ワルシャワ大とスウェーデン・ウプサラ大が発見した。これまでの四足歩行動物の化石の記録は、不完全なものを含めて約3億7700万年前だった。脊椎(せきつい)動物は4本足を得て海から陸へ上がり、現在の多様性を持つようになった。進化の過程を探る発見として注目されそうだ。7日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
研究チームはしっぽを引きずった痕跡がなく、左右に体をくねらせて歩いた様子がうかがえることから、4本足で歩いたと結論づけた。発見した足跡化石は400個以上で、何歩も続けて歩いた跡があった。また、足跡のサイズも長さ数センチ~数十センチと多様で、歩幅や指の数も異なるため、複数の種類が存在していたとみられる。
このうち幅約20センチ、長さ約40センチの範囲に9歩の足跡を残した個体は全長40~50センチと推定。別の化石では、一つの足の幅が最大26センチで、全長2・5メートルに達していた可能性があるとみている。
魚類は、前後のひれが前脚と後ろ脚になり、両生類に進化して陸へ上がった。今回見つかった化石の動物も、両生類の祖先だったと考えられる。
化石が見つかった地層の場所は、堆積(たいせき)状況から、当時は浅い海だったとみられる。研究チームは「干潮時に浜辺に残った魚などを得ようとしたことが、陸へ上がるのに必要な四足歩行の進化を促した」と推定している。
真鍋真・国立科学博物館研究主幹は「魚が陸へ上がるきっかけを考える上で興味深い。この時代に種が多様化していることを考えると、四足歩行の起源はより古い可能性がある」と話す。【永山悦子】
毎日新聞 2010年1月7日 東京朝刊
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