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特集:女性のための漢方セミナー 気になる体の不調、これって更年期?

2008年02月01日 | スクラップ
 ◆漢方薬を味方に体力・気力回復

 「女性のための漢方セミナー」(毎日新聞社主催、日本医師会、大阪府医師会後援、株式会社ツムラ協賛)が昨年12月、大阪市北区中之島の同市中央公会堂で開かれました。7回目となる今回のテーマは「気になる体の不調、これって更年期?」。更年期の症状は多様で、個人差が大きく、「原因不明の病気では」と悩む女性も多いようです。パネルディスカッションでは、漢方独自の舌を診る診断方法などを交え、更年期の症状緩和に役立つ漢方薬の具体的な利用法などが紹介されました。(敬称略)

 
◇出席者

岡留美子さん  心療内科・精神科医師、岡クリニック院長
志馬千佳さん  産婦人科医師、越田クリニック産婦人科医長
香坂みゆきさん 女優
毛利聡子さん  キャスター

 


◇鼻炎や風邪にも--香坂


 毛利 香坂さん、今まで漢方薬を飲まれたことがありますか?

 香坂 葛根湯(かっこんとう)と鼻炎用の小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を飲んだことがあります。小青竜湯は私に合っていたようで、鼻水はそこそこ止まるけど乾きすぎず、愛飲していました。葛根湯はあまり効き目が分かりませんでした。飲むタイミングに問題があったようです。

 志馬 葛根湯は飲むのに少しコツがいります。風邪の引きはじめでゾクゾクして首が凝るようなときにすぐ飲んで、体が温まったらゆっくり休んでください。起きたときはすっかり元通りになっていることもあります。

 香坂 飲んだら安心してドタバタ動き回るのではだめなんですね。性格上、飲んで休むことができなくて……。

 毛利 風邪でもいろんな薬があるのですね。

 志馬 先ほど香坂さんがおっしゃった小青竜湯も本来は風邪の薬で、鼻水によく効きます。例えば、だいぶ良くなっているけれど少し症状が残っているときは柴胡桂枝湯、のどがカラカラでせきがよく出るときは麦門冬湯(ばくもんどうとう)というユリ根が中心の薬などが飲みやすく、体もすごく楽になります。

 毛利 会場の皆様の質問で多かったのが「毎日長く飲まないと効かないのですか」という疑問でした。

 志馬 大きく分けて「長く飲んで効果が分かるもの」と「飲んですぐ効果が出るもの」の2種類があります。速効性がある漢方薬は意外と多く、頭痛・胃痛などの痛み止めは、15分ほどしたら効いてきます。

 毛利 香坂さんは漢方薬にどんなイメージをお持ちでしたか?

 香坂 私も長く飲む必要があると思っていました。ただ、「長く飲める」というのは「優しく効く」というイメージにつながる気がするんです。

 ◇「お友達先生」を見つけて--香坂みゆきさん

 親に感謝しなければいけないのですが、基本的には健康体です。言うことをきかない息子2人の世話で頭が痛いときもありますが、不調はほとんどありません。ただ、若いころは肩凝りの意味も分かりませんでしたが、最近は気になるときがあります。

 更年期については、友達と話題の一つとして話す程度です。周囲の友達も考え込むほど深刻な人は少ないですね。不調なとき「更年期よ」と笑ってすませられるくらいですから。まだ本格的な更年期ではなく「プレ更年期」の時期ではないかと思います。

 つらくても頑張ってしまう人が多い気がします。今日お話を聞いて、体調が悪いとき、すぐ相談できる「お友達先生」を見つけておくことが、将来にとっても大事ではないかと思いました。

 あと、女性ならではの病気もいろいろありますので、しっかり健康診断を受けるようにしたいと思います。病気は早く見つけて、やっつけて、強く頑張っていきましょう。

 


◆基調講演

◇人生リニューアルの時期--岡留美子さん
◇症状さまざま、心も体もケア


 更年期とは45歳ごろから55歳ごろまでの、閉経の前後10年を言います。なお、日本女性の平均閉経年齢は50歳ぐらいです。この時期、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが急激に減少します。そのため、ホルモンを調節する脳の視床下部が混乱し、体温や発汗、脈拍などをつかさどる自律神経も乱れてしまうのです。

 更年期の症状で一番多いのは「のぼせ」と「ほてり」。「ホットフラッシュ」ともいい、体が急に熱くなったり、突然冷えたりします。動悸(どうき)や冷え症などの症状や、頭痛、めまい、耳鳴り、やる気が出ない、眠りにくいなどの神経性の症状を訴える人もいます。さらに体がかゆい、しびれるなどの悩みや、肌の乾燥、唾液(だえき)量の減少、目が乾きやすいなどの症状も目立ちます。

 さらに、肩こりや腰痛が出たり、関節が痛む人もいます。食欲がない、便秘や下痢をしやすいなど消化器系の異常や、頻尿や残尿感、陰部のかゆみなど泌尿器や生殖器系の症状も出ることがあります。

 更年期には、こうした全身にわたるたくさんの症状が出ますから大変です。もちろん、人によって程度の差があり、ほとんど困らない方から更年期障害になって苦しむ方までいろいろおいでです。

 では、こうした更年期の女性に、漢方薬がどのように味方になるのか、お話ししたいと思います。漢方医学は心と体を分けずに全体として考えます。ですから体も心も揺れ動き、症状が全身に出る更年期にはぴったりなのです。

 漢方では、その人の体質や状態を見て「証(しょう)」を判断し、証に合った薬を使います。症状が同じでも証が違えば別の漢方薬を処方します。逆に一つの漢方薬を違う症状に使うこともあります。

 また、生命活動のもととして「気・血・水」の三つの要素があると考えます。気は体全体を動かすエネルギー、血は血液自体やその流れ、水はリンパ液や尿など血液以外の水分を指します。一つでもバランスが崩れると不調が出ると考えます。更年期はまさに「気・血・水」が乱れる時期なのです。

 国が保険で認めている更年期障害のための代表的な漢方薬には次のようなものがあります=表参照。他にもいろいろあり、私たち医師は患者さん一人一人に合う漢方薬を選びます。

 次に更年期症状の方にどのように漢方薬を処方するか、何人かのケースを合わせて具体的に説明しましょう。Aさんは40代後半の主婦です。動悸とめまい、冷えとのぼせの症状があるうえ、不安感が強く夜もなかなか眠れない状態でした。ご主人の病気や子どもの将来、老いたご両親の問題など、多くの心配ごとをお持ちでした。

 まず、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を処方しました。これはAさんのように、気遣いで身も心も疲れ果てている方に役立ちます。これを飲んだAさんは、元気が出て動悸や冷えがよくなり、夜も眠れるようになりました。

 お子さんの進路の問題で胃痛や胃液があがる感じがする時期には、四逆散(しぎゃくさん)をお出ししました。これを飲むと「胃がすっきりするだけでなく、心の中の葛藤(かっとう)が消えていった」そうです。

 柴胡桂枝乾姜湯で冷え、のぼせは改善したものの、真冬だと冷えて眠りにくい日もあります。その時期には、サフランも一緒に処方しました。料理にも使うサフランは高価なものですが、医師がお薬として処方するものなら保険がききます。精神安定作用もあるので夜もよく眠れ、血の流れが滞っているのを治します。さらにこれを飲んでいるとお肌もとてもきれいになるのです。

 ご両親が病気のときは、介護疲れと心労から、のどのつまった感じがして、めまいが出ました。この時は気の巡りをよくする半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を活用しました。ほかにも時々の症状に応じて漢方薬を使い分けてきました。

 Aさんは最近、いきいきとした表情で診察においでになります。薬に頼るだけでなく、健康維持のためにウオーキングやプールで泳ぐようにしているそうです。診察の際のやりとりを参考にしたら、家族ともうまくコミュニケーションが取れるようになり、同窓会を企画するなど外の世界でも活躍されているようです。更年期は英語でメノポーズといい、閉経という意味です。日本語ではメノポーズに「更年期」という言葉をあてたのですが、これは「人生を新しくするとき」という意味です。すてきな呼び方だと思いませんか。生まれ、成長し、子孫を残す時期を経て、新しく生まれ変わるのです。

 変化の時期は、安定していたものを崩すわけですから、一時的には揺れ動いてしんどいかもしれません。でも、それを経て初めて新たな安定を得ることができます。更年期は、老年期という穏やかな安定期にはいるための準備期間です。これから更年期を迎える方は、これから人生がリニューアルできることを覚えておいてほしいと思います。今、更年期のさなかにある方は、人生をどうリニューアルしていくか考えていきましょう。

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◇更年期障害のための漢方薬

柴胡桂枝乾姜湯
当帰芍薬散
加味逍遥散
桂枝茯苓丸
温清飲(うんせいいん)
五積散(ごしゃくさん)
通導散(つうどうさん)
温経湯(うんけいとう)
三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)


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 ■人物略歴

 ◇こうさか・みゆき

 女優。1977年、歌手デビュー。明るいキャラクターで幅広い層の人気を集め、テレビドラマやバラエティー番組で活躍。94年にタレントの清水圭氏と結婚し、現在10歳と5歳の2児の母。

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 ■人物略歴

 ◇おか・るみこ

 東京大学文学部、大阪大学医学部卒。心療内科、精神科、神経科医師。病院の精神科勤務を経て97年、岡クリニック(奈良県生駒市)を開業。児童から女性、高齢者まで幅広く診察している。



毎日新聞 2008年2月2日 東京朝刊







特集:女性のための漢方セミナー 気になる体の不調、これって更年期?(その2止)

 
◆漢方薬を味方に体力・気力回復

◇「証」で異なる処方--志馬/医師との対話が大切--岡

 毛利 漢方薬は「体に害がない」「中国の医学」というイメージが強いようなんですが。

 岡 それは誤解です。主に植物など自然の生薬を組み合わせてできているので、そう思われることが多いようですが、漢方薬も薬なので副作用が出ることがあります。また漢方医学は中国で生まれましたが、日本で独自に発展した伝統医学です。

 毛利 苦い、飲みにくいというイメージもあります。

 志馬 昔は自分で煮出して煎(せん)じ薬として飲むものでしたが、最近はエキスを顆粒(かりゅう)状にしたものが主流です。病院で処方する漢方薬は飲みやすいものが多くなっています。

 毛利 症状と体質によって処方は違うのですか。

 岡 漢方ではその人の体質と症状をひっくるめて「証」という概念でとらえます。更年期障害の場合、むくみやすく「虚証」の方には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を、イライラが強く発作的に汗が出て体質的に「中間証」の人は加味逍遥散(かみしょうようさん)、のぼせやすくて丈夫な「実証」の方には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、より実証で便秘がちなら桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を、という具合に使い分けます。ですから病院に行って、自分がどの証なのか診断してもらい、適切な漢方薬を選んでもらうことが大切です。正確な診断のためには患者さんと医師のコミュニケーションが大変大事になってきます。

 毛利 では会場の皆様も一緒に体質チェックをしてみましょう。当てはまるものに○印を付けてください=左上の表。

 志馬 一般に胃腸が丈夫で体力があり、がっしりした方は「実証」。反対に胃腸が弱く、体力がなく、やせて筋肉が少ない方は「虚証」。その間ぐらいの方を「中間証」と呼んでいます。

 毛利 香坂さんは4点。中間証ですね。

 志馬 もしイライラの症状があるのなら加味逍遥散が合いそうです。ですが、症状は同じでも証によって薬が違ったり、違う症状なのに同じ処方ということは漢方ではよくあります。これを「同病異治(どうびょういち)」「異病同治(いびょうどうち)」といいます。病院で診察を受けて自分にあった漢方薬をしっかり選んでいただきたいと思います。

 毛利 また、漢方薬は高いイメージがあるかもしれませんが、健康保険が適用になるんですね。ところで、先ほど香坂さんを診ていただきましたが、いかがでしたか?

 志馬 おなかを触らせていただいたのですが、とても健康な状態でした。漢方独自の舌を診る診察もさせていただきました。健康な舌はピンク色でむくみがなく、舌の上のコケが薄くて均一です。不健康な舌はむくんで縁に歯形がついたり、裏の静脈が怒張して血行が悪いことがあります。香坂さんの舌は健康ですが、少し静脈の怒張があるようです。もし便秘気味なら血行も良くする大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)が効くと思います。

 香坂 私はないですが、便秘に悩んでいる女性は多いですよね。

 毛利 受診のときに、何か心がけておくことはありますか。

 岡 やはり医師とのコミュニケーションが大事ですね。お困りの症状があったら恥ずかしがらずに、全部おっしゃってください。また、触診の時、痛いところがあれば我慢せず伝えてください。ほかの科の薬を処方されている場合は、それも教えてください。何でも話せる関係が良い治療につながります。

 毛利 漢方外来は増えているそうですが。

 岡 全国に大学の医学部が80あるんですが、そのすべてで漢方医学の講義が行われています。医師の7割が漢方を処方する時代になりました。漢方外来も増えつつあります。漢方外来では西洋薬と漢方薬の良いところを組み合わせ、お互いに補いあえるよう活用しています。最近増えているうつ病の治療では、抗うつ薬でつらい気持ちを和らげます。また、うつの時は体力が落ちているんですが、漢方で体力・気力を回復します。

 志馬 ばい菌が入ったというような感染症には、抗生物質が非常に効き、漢方薬はかないません。でも、風邪をひかないように予防したりするのも、漢方薬の得意な分野です。

 

◇正しい知識を身に着けて--毛利聡子さん

 最近、漢方医学に対する関心の高まりを実感しています。特に更年期には漢方薬が非常に真価を発揮するという心強いお話を、岡先生からうかがいました。

 本日ご来場の皆様に、事前にお悩みを聞いたところ、実にさまざまな質問が寄せられました。ただ、更年期の症状があっても、家族に打ち明けられなかったり、相談する場がない方が多いのではないかと思います。

 漢方薬は一人一人の症状や体質にあった処方をしてくれる、いわばテーラーメードの医療といえます。そのために、ぜひ医師に診ていただいてください。皆様には、漢方薬についての正しい知識を身に着けていただき、体と心の改善に役立ててほしいと思います。

 

◇一人で悩まず医師に相談を--志馬千佳さん

 つらい症状を抱えている患者様の中には、更年期症状と思わず、原因不明の病気ではないかと悩んでいらっしゃる方も多いようです。先日、来院された46歳の女性は、3週間ごとに月経のような出血があり、体がしんどく、動悸(どうき)もする。がんや心臓病ではないかと心配されていました。

 そこで血液検査や画像検査などをしたところ、子宮筋腫があり強い貧血と分かりました。貧血がなぜ更年期と関係があるかといいますと、卵巣の機能が衰えて早めに月経がくるようになり、子宮筋腫のため出血も多く、貧血になってしまったのです。そこで鉄剤と月経の出血を少なくする〓帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)、貧血による疲労をとる加味帰脾湯(かみきひとう)、ストレスの薬の大柴胡湯(だいさいことう)を飲んでもらいました。数週間ですべての症状がなくなりました。

 しんどいなあと思いながら我慢して毎日過ごしている方が多いと思います。電車の中で、会話を小耳に挟んで「あの薬が効くのに」と残念に思うことがあります。いろいろな症状に合ったさまざまな漢方薬があります。どうか体調とうまく付き合って、楽しい更年期を迎えてください。

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◇あなたのタイプをチェック!(女性用)

虚証? 実証? 中間証?

 (1)どちらかというと体力がある            2
 (2)寝汗をかきやすい                -2
 (3)意欲、気力が充実し、積極性がある         2
 (4)胃腸が丈夫である                 2
 (5)夏バテしやすく冬は風邪をひきやすい       -2
 (6)顔色がよく、皮膚につやがある           2
 (7)冷たい物を食べると下痢しやすい         -2
 (8)おなかに弾力があり、骨格ががっちりしている    2
 (9)食が細く、食べるのが遅い            -2
(10)月経初期に痛みが強く、血塊が出たり経血量が多い  2

 合計点数 0点以下→虚証、2~6点→中間証、8点以上→実証

 *表は目安



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 ■人物略歴

 ◇しめ・ちか

 滋賀医科大卒、京大大学院医学研究科婦人科学産科学講座入局。産婦人科医として各地の病院で診療に従事。2000年ごろより漢方療法に力を注ぐ。越田クリニック(大阪市)産婦人科医員を経て07年より現職。

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 ■人物略歴

 ◇もうり・さとこ

 山口放送で記者兼キャスターなどを経て、96年テレビ大阪に入社し、ニュース番組や生ワイド番組のキャスターを務めた。04年に退社後は、フリーアナウンサーとして活動している。



毎日新聞 2008年2月2日 東京朝刊

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1 コメント

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腰が痛いのは、辛いですね。 (腰痛アドバイザー)
2008-02-06 18:55:08

腰が痛いのは辛いものです。
私も14年間悩まされました。

私が考案した腰痛解消法をお試しください。

【3分腰痛解消法】で、検索すると見つかります。

腰をお大事に。
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