1才のスコティッシュ・フォールドのCくん!
急に元気がなくなり、よだれが出て、歩き方が変とのことで、来院。
どれどれ。。。。ふむふむ。。。
口内、結膜などの可視粘膜が、蒼白!!
エコー検査では、脾臓の腫大が顕著!
血液検査では、赤血球数減少・ヘモグロビン濃度減少・ヘマトクリット減少と
明らかな「貧血」です!
貧血は明らかですが、
骨髄には原因がない「再生性貧血」か
骨髄に原因がある「非再生性貧血」かを、調べましょう!
MCV(平均赤血球容積)とMCHC(平均赤血球血色素濃度)を
見ることにより、判断できます。
MCVが高値で、MCHCが低値。。。。
容積が大きく、色素がうすい・・・
よって「大球性低色素性貧血」です。
網状赤血球は、赤血球の再生を定量的に示す方法です。
特に急激に貧血をおこしたときに、高値になります。
猫の網状赤血球の正常値は、5-20%ですので・・・・
骨髄は正常、再生性貧血です。
「再生性貧血」で、「大球性低色素性貧血」となります。
このタイプは、出血しているか?溶血しているか?です。
出血はありません・・
クームステストは、陽性!!
クームステストは、赤血球に結合している抗体、
あるいは抗体と補体の組み合わせを、
赤血球凝集反応として検出する試験です。
診断名は「免疫介在性溶血性貧血(IHA)」と分かりました。
免疫介在性溶血性貧血は、
赤血球表面の自己抗原あるいは薬物や微生物に向けられた
抗体が付着することにより、赤血球の破壊が起こる疾患です。
犬では時々みますが、猫では少ないかな!?
また出血傾向は見られませんが、血小板数も低値なので
「エバンス症候群」と言えるかもしれません。
免疫抑制量のステロイド剤に、反応してくれて
貧血も改善して、元気・食欲も戻りました!
真っ白だった鼻の頭も、ピンクになってきました。
今回は血色素尿は見られず、血管外溶血だったのも良かったです。
ん?何ですって、N先生!
猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスは、確認したのかですって?
ふふっふ、分かってますよ!!