ポッケ動物病院の独り言

病院での出来事・日々気づいたこと・趣味・その他なんでも

免疫介在性溶血性貧血

2010-11-25 | ペット

   

1才のスコティッシュ・フォールドのCくん!

  

急に元気がなくなり、よだれが出て、歩き方が変とのことで、来院。

  

どれどれ。。。。ふむふむ。。。

    

口内、結膜などの可視粘膜が、蒼白!!

  

エコー検査では、脾臓の腫大が顕著!

  

Pb200013  

   

血液検査では、赤血球数減少・ヘモグロビン濃度減少・ヘマトクリット減少と

明らかな「貧血」です!

  

貧血は明らかですが、

骨髄には原因がない「再生性貧血」か

骨髄に原因がある「非再生性貧血」かを、調べましょう! 

  

MCV(平均赤血球容積)とMCHC(平均赤血球血色素濃度)を

見ることにより、判断できます。

  

MCVが高値で、MCHCが低値。。。。

容積が大きく、色素がうすい・・・

  

よって「大球性低色素性貧血」です。

  

Pb200014_2

  

網状赤血球は、赤血球の再生を定量的に示す方法です。

  

特に急激に貧血をおこしたときに、高値になります。

   

猫の網状赤血球の正常値は、5-20%ですので・・・・

骨髄は正常、再生性貧血です。

 

「再生性貧血」で、「大球性低色素性貧血」となります。  

   

このタイプは、出血しているか?溶血しているか?です。

    

出血はありません・・

        

Pb200008

   

クームステストは、陽性!!

 

クームステストは、赤血球に結合している抗体、

あるいは抗体と補体の組み合わせを、

赤血球凝集反応として検出する試験です。

  

診断名は「免疫介在性溶血性貧血(IHA)」と分かりました。

  

免疫介在性溶血性貧血は、

赤血球表面の自己抗原あるいは薬物や微生物に向けられた

抗体が付着することにより、赤血球の破壊が起こる疾患です。

    

犬では時々みますが、猫では少ないかな!?

   

また出血傾向は見られませんが、血小板数も低値なので

「エバンス症候群」と言えるかもしれません。

   

免疫抑制量のステロイド剤に、反応してくれて

貧血も改善して、元気・食欲も戻りました!

     

Pb200001

     

真っ白だった鼻の頭も、ピンクになってきました。

  

今回は血色素尿は見られず、血管外溶血だったのも良かったです。

   

    

ん?何ですって、N先生!

猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスは、確認したのかですって?

  

ふふっふ、分かってますよ!!